活動する作家が次々とコミカライズを果たしている、小説投稿プラットフォーム『テラーノベル』。魅力溢れる作家さんや作品をもっと深掘りすべく、『Teller Novel more(テラーノベルモア)』は原作小説の制作エピソードやコミカライズの流れなど、今まで知ることのできなかった舞台裏をお届けしています!
今回は、コミックエッセイ電子書籍レーベル「LScomic」(KADOKAWA)でコミカライズされた『不倫マンション 住人たちの乱れた秘密』の原作者・春野せりさんのインタビュー第1弾! コミカライズされた感想や原作『マンション不倫』が生まれた背景などを詳しくお聞きしました。
ズバリ、コミカライズされた心境は?
Teller Novel more編集部(以下TNM編集部)
今回は『不倫マンション 住人たちの乱れた秘密』(※編集部注:原題『マンション不倫』)のコミカライズおめでとうございます! 原作もコミカライズ版もすごく面白かったです。コミカライズされてみていかがでしたか?
春野せりさん
はい。私は漫画が出来上がった時に原稿の方で読ませてもらって、原作を元に新たなエピソードも増えていたので、いち読者として新鮮な気持ちで楽しく読ませてもらいました!
TNM編集部
それはよかったです! 作家活動をするなかで、コミカライズはもともと視野に入れていましたか?
春野せりさん
最初の頃のテラーさんは、コミカライズの取り組み自体があまりなかったじゃないですか。なので普通に活字で読んでもらう想定で書いていて、コミカライズはまったく視野になかったですね。
はじめてのコミカライズは、本人も意外な作品!
TNM編集部
そうだったんですね。ご自身としてコミカライズなどに興味はありましたか?
春野せりさん
もちろん、そういう展開に繋がったらなっていう気持ちはありました! 初めてのコミカライズ作品がドロドロ系の復讐モノになるとは思っていなかったんですけど(笑)。
TNM編集部
春野さんは恋愛の作品が多いですもんね。
春野せりさん
そうですね。テラーさんでは8割ぐらいは胸キュン系の恋愛ものを書いてたんで。途中でホラーを書いてる時期もあったんですけど、ほかは本当にほぼ全部恋愛もので、ドロドロ系は書いたこと自体が初めてでした。
TNM編集部
そうだったんですね! ちなみに、コミカライズ自体も初めてですか?
春野せりさん
そうですね、コミカライズしたのは今回が初めてです。
TNM編集部
じゃあ初めて書いたドロドロ系で、初めてコミカライズされたと…(驚)!
今回のコミカライズはどなたかにご報告されましたか?
春野せりさん
最初は読んでくれていた友達や作家仲間に連絡しましたね。でも、普段私が書いてるジャンルと違ったので驚いている方もいました!
『不倫マンション』ってどんなお話?
TNM編集部
今回の作品『不倫マンション』は、どんなお話なんでしょうか?
春野せりさん
単に言えば、夫の仕事の都合で今のマンションに引っ越してきた主人公の女性が、マンション内の不倫でママ友同士の裏切り・ドロドロに巻き込まれて、ほかのママ友と一緒に復讐していく愛と裏切りが渦巻くお話かな。
TNM編集部
めちゃくちゃいい感じにまとめてくださり、ありがとうございます(笑)。
春野せりさん
新エピソードが加わってるんで、最後の方が原作とコミカライズ版で全然違うと思うんですよ。原作を読んでくれていた人がコミカライズ版を読むと、ちょっと違う感じの話にも見えるかもしれませんね。
TNM編集部
すでに原作を読んだ方も、また違う部分を楽しめるかもしれませんね。コミカライズ原作側の『マンション不倫』が生まれたきっかけってあるんですか?
春野せりさん
企画を出したのが3年ぐらい前だったんですよ。一番長かった担当編集さんの時に、不穏な感じというかドロドロ系の企画を出してほしいって言われて。書いたことないジャンルだったんですけど、その連絡をきっかけにとりあえず出してみて、企画が通ったっていう感じでしたかね。
TNM編集部
今伺っている限り、かなりざっくりとした依頼だったんですね(笑)。
春野せりさん
そうですね。今もそうだと思うんですけど、その当時から漫画やドラマでドロドロ系の作品って多いじゃないですか。そういうのが出始めた頃だったと思います。
ドロドロ系ジャンルへの初挑戦、つまずかなかった?
TNM編集部
今まで恋愛やホラーを書くことが多かったと思いますが、突然ドロドロ系の作品を頼まれて、企画をスムーズに出せるものですか?
春野せりさん
いや、書いたことなかったんで…。でも、書いたことはないけど元々漫画とかでは読んでたんで、逆に挑戦してみるか!って作ってみた感じですね。ただそれ専門に書いてたわけじゃないんで、内容的にめちゃくちゃドロドロしてる感じではなかったと思うんですよ。初めてそういう系統を読む人でも読みやすい感じで書きましたね。
TNM編集部
ドロドロ系に馴染みのない方でもライトに読めるようにしたんですね。たしかに、読者としてそれは感じました。たまにストレスになるほどドロドロのものもありますけど(笑)、この作品はスカッと気持ちよく読めた印象です。
春野せりさん
ありがとうございます。 私が普段書いているジャンルとかけ離れてたんで、めちゃくちゃドロドロにはできなかったんですよね。正直そこまではできなくて、読みやすいものにしようって思ってました。
日頃からインプットのためにドロドロ系ジャンルの作品を読んでいても、自分で書くってなるとやっぱり難しくて、その当時はどこまでドロドロ・裏切りができるかなって思いながら書いてましたね。
TNM編集部
春野さんが日頃から書かれている作品で培ったものを、初挑戦のジャンルでも活かしたんですね。今までの執筆ジャンルと違うことで苦労したところも多かったと思いますが、逆に楽しかったところはありますか?
春野せりさん
楽しかったのは、主人公の女性が復讐していくシーン。普段書いたことがなかったシーンだったんで、それはそれで新鮮な感じで楽しかったですね!
TNM編集部
うんうん。これまでのお話を聞いて、この作品は今まで春野さんが書かれてきたジャンルとは違うけれど、春野さんのカラーがすごく活かされた作品になってるんじゃないかなって思いました。
春野せりさん
ありがとうございます!
TNM編集部
ドロドロ系の企画が依頼されてから、まずはどういった作品にするかをご自身でご検討されたと思いますが、企画ができた後は編集担当に企画書を出すんでしょうか? 企画後の流れについて教えてください。
春野せりさん
企画書はもちろんありました。それがないと作れなかったんで。その後は、各話のプロットを変えたり、プロットが編集チェックを通れば執筆の方に進むっていう感じでしたね。
この作品を書いてる時はある程度執筆本数も落ち着いていたと思うんですけど、当時は企画とシナリオ執筆をいくつかの作品で並行してやっている時もありましたね。
TNM編集部
いろんな企画や執筆を並行してやってたら、頭の中がこんがらがっちゃいそうですね…。
春野せりさん
だから、切り替えは大事ですね! 全然違うジャンルとか媒体・分野だったら、勝手に頭が切り替わるかもしれませんけど、一緒のところで複数の作品を書いてると切り替えが必要かなって思いますね。
コミカライズ決定の連絡から、原作者は一体何をする?
TNM編集部
今回のコミカライズは、どのような流れで春野さんにご連絡が届いたんでしょうか?
春野せりさん
第一報はテラーノベルの担当編集さんから。担当編集さんと別の作品の打ち合わせをしていて、別件で話があるという感じで、『マンション不倫』がKADOKAWAさんでコミカライズされるというのを聞きましたね。
TNM編集部
驚かれますよね。
春野せりさん
びっくりしました。ちょうど別のドロドロ系の作品を書いてる最中に、今回のコミカライズのお声がけをいただいたんで、時期的にもびっくりしました。ただ、その時はまだ確定じゃなかったんで、出る予定ですっていうぐらいの感じでしたね。
TNM編集部
結構突然だったんですね。コミカライズの件について、春野さんはどういったご返答をされたんですか?
春野せりさん
本当に急だったんで多分驚いた感じの反応だったと思うんですけども、その場で「もちろんお願いします!」って即答させてもらって。そこから少し経って、コミカライズに向けて新しい登場人物が結構増えたんで、その設定とかプロットをもらって確認したりしましたね。
TNM編集部
具体的にどういったやり取りをされましたか?
春野せりさん
最初にテラーノベルの編集担当を介して原作キャラクターの設定をKADOKAWAの担当者さんに送ってもらったんですけど、あとは、さっきも言ったプロットや登場人物の設定を読むぐらいしか、私側のアクションは特になかったんですよね。
TNM編集部
じゃあ設定の確認段階では、やり取りは多く発生しなかったんですね。もう少し形ができてから、何かご意見された部分や気になる部分はありましたか?
春野せりさん
そこからネームを確認して、ネームの次に来たのはほぼ完成した原稿だったんですが、意見を言った部分はなかったんじゃないかな。キャラクター表みたいなものもなかったですし、届いたものを見るっていう感じの確認作業ぐらいでしたね。
ネームの段階ではキャライラストがしっかり決まっていなかったんですが、原稿ではじめてキャラのイラストを見た時も違和感はなかったし、こうしてほしいっていうのもなかったので。不倫してるキャラは本当にもう想像通り!っていうか、悪そう〜な感じに見えたし(笑)。
TNM編集部さん
見えました(笑)。
春野せりさん
全然、不満とか意見はなかったですね!
実際コミカライズされて、ギャップはあった?
TNM編集部
そうだったんですね。コミカライズが出てみて、ギャップはありましたか? ポジティブなギャップもネガティブなギャップも、どちらもお伺いできたらと思っています。
春野せりさん
ネガティブなのは特になかったんですよね。私の中では、マンション内で不倫してたキャラたちが実際に漫画になってるっていう、テンション上がる気持ちが一番大きかったですね。
TNM編集部
本当にそうですよね〜。私も原作を読んでからコミカライズ版を読んだので、同じ気持ちでした。
春野せりさん
そうなんですよね。逆に言うと、いい意味で想像とのギャップはあって。主人公ではないんですが、『陽菜乃(ひなの)』っていう登場人物に関するエピソードが原作よりもドロドロした話になってたんで、より一層そのマンション内での不倫が際立ってたように感じましたね。
TNM編集部
同感です! 今回のコミカライズは、原作になかった新たな展開も追加されていたと思いますが、その点は原作者としていかがでしたか。
春野せりさん
そうですね、新しいエピソードが結構入ってたと思います。制作の過程で新たに描いてくれた感じだったと思うんですけども、私もプロットを読んだ段階でエピソードが増えるのはわかっていたので、どういう話になるのかなっていう楽しみはありましたね。
TNM編集部
うんうん、それはよかったです! 今後もコミカライズが進行している作品はあるんでしょうか。
春野せりさん
今のところは聞いてないですね。
TNM編集部
じゃあ、今後はまた別のお話が来るのが楽しみですね。コミカライズだけじゃなく、原作の出版とかいろんな形がありますからね。
春野せりさん
そうですね、何か来たら嬉しいですね。楽しみにしてます!
読者に伝えたいメッセージ
TNM編集部
最後に、チャットノベルやコミカライズ作品をこれから読まれる方に向けて、何かメッセージがあればお願いしたいです。
春野せりさん
原作の方ですと、私自身がテラーさんで初めて書いたドロドロ系のお話で、そういうのが苦手だなって思う方や怖い方でも比較的読みやすい作品になってると思うので、気軽に読んでもらえたらいいかなって思います。よろしくお願いします。
コミカライズの方は、新エピソードが追加されて原作よりさらにドロドロとしてると思うんですよね。それもそれで新しいお話的な感じで、またぜひ楽しんでもらえたらと思いますね!
TNM編集部
これまでチャットノベルを読まれた方も、またコミカライズの方も読んでいただけると嬉しいなと思っています。
春野せりさん
また違いとかも比べながら読んでみるのも楽しいと思いますし。いい意味で陽菜乃がより悪者になってるんで(笑)。
TNM編集部
原作でもなかなかのキャラでしたけど、またそれがさらに色濃くなってると(笑)。今後も面白そうですね、ありがとうございます。
コミカライズされた感想からコミカライズの詳しい流れまで、たくさんのお話を伺えました。次回は、春野せりさんが作家になるまでのストーリーや作品制作のノウハウをインタビュー! 漫画・原作小説を読みつつ、次回のインタビューも楽しみに待っていてくださいね!
春野せりさんの作品はこちら
\コミカライズされた作品をチェック!/
漫画『不倫マンション 住人たちの乱れた秘密』を読む
\春野せりさんによる原作小説はこちら!/
原作小説『マンション不倫』を読む
原作小説『マンション不倫 -シーズン2 交換不倫編-』を読む
今回協力いただいたクリエイター
春野せりさん(テラーノベル公式作家)
フリーのシナリオライター。チャットノベルやビジュアルノベル、シチュボ含む音声作品のシナリオ、YouTube動画シナリオ、漫画原作、女性向けゲームのシナリオ等も手がける。