テラーノベルの公式作家として活躍する保刈愛李さん。2025年8月には、テラーノベルの公式作品である『100日後に離婚する2人』がコミカライズ&ショートドラマ化し、注目を集めました。
今回のインタビューでは、コミカライズ&ショートドラマ化をWで実現した率直な感想に加え、シナリオライターとして歩み始めたきっかけや、創作に込めているこだわり、そして作品づくりのヒミツを深掘りしました。さらには今後挑戦したいジャンルや“ちょっと意外な夢”なんかも…。
創作に対する真摯な姿勢が伝わる保刈さんのインタビューを、ぜひお楽しみください。
──このたびは『100日後に離婚する2人』のコミカライズ・ショートドラマ化、おめでとうございます。まずは自己紹介をお願いします。
初めまして、保刈愛李と申します。2015年からシナリオライターとして活動を始め、主に女性向けゲームのシナリオを執筆してきました。その後、ご縁があり、2018年頃からテラーノベルでも作品を書かせていただくようになりました。
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“ヤバい人”を書くのが好き!?『100日後に離婚する2人』の誕生をのぞき見

『100日後に離婚する2人』のあらすじ
永遠の愛を誓い結婚した藤堂弘人と島田みゆ。都内のタワーマンションで始まった若き夫婦の幸せな新生活は、早くも揺らぎ始める。二人に襲いかかる衝撃の展開とは――?
──今回、テラーノベルで公式作品として連載されていた『100日後に離婚する2人』が、コミカライズ作品・ショートドラマ作品としてリリースされました。率直なご感想をお聞かせください。
とにかく「嬉しい!」の一言です。
もともとコミカライズを目標に執筆していたので、決まったときは嬉しさと同時に安堵もありました。一方で、ショートドラマ化はまったく想像もしていなかったので、驚きと喜びが一気に押し寄せてきたような感覚でした。
──原作『100日後に離婚する2人』はどのようにして生まれたのでしょうか? 作品が誕生したきっかけやアイデアの根源について教えてください。
じつはこの作品、もともと担当さんが考えた企画なんです。
私が以前執筆した『偽りの世界』という作品を読んでくださっていて、そこに“ヤバい女”が登場するんですが、「この作品にも別の意味で“ヤバい女”が出てくるから、ぜひ保刈さんにお願いしたい」と声をかけていただきました(笑)
──この作品に込めたテーマや、読者に伝えたかった問いがあればお聞かせください。
テーマというほど大げさなものではないのですが、読んでくださる方がハラハラしたりスッキリしたり、感情が動いてくれたら嬉しいと思って書きました。
強いて言うなら「悪いことをしたら、後でちゃんと返ってくるから真面目に生きようね」って感じです(笑)
──執筆の際にとくにこだわった部分や推しポイントはありますか? 逆に、難しかった・苦労した点があれば教えてください。
私は“ちょっとヤバい人”を書くのが好きなので、みゆをはじめ、クセの強いキャラクターがたくさん登場します。そのあたりに注目していただけると嬉しいです。
苦労した点でいうと、じつはノベル形式の作品を書くのはこれが初めてで…。今まではゲームシナリオや、テラーノベルでチャット形式の作品しか書いてこなかったので、ストーリーというよりもその違いに苦労していました。
──漫画・ショートドラマとなった『100日後に離婚する2人』をご覧になって、印象的だった部分や気に入った部分はありますか?
漫画は絵がとにかくきれいで、ショートドラマも俳優さんが美男美女揃いなので、それだけでテンションが上がりました!
印象的だった部分というよりも全体的なことになりますが、漫画やドラマではキャラクターの表情や個性がとても印象的に表現されていて、みゆの性格の悪さやクセの強いキャラクターたちがより際立って見えるのが面白いです。また、ドラマは1話ごとの引きが強く、テンポもよいので、つい一気に全話見てしまいました。
「登場人物を作者の都合で動かさない」勝手に動き出すキャラ作りのヒミツ

──作品づくりは普段どのように進めていますか?
ゼロから作るときは、まずテーマやジャンルを決めて、そこから登場人物を考えます。その後ざっくりとあらすじを書いて頭を整理し、少しずつ肉付けしていくことが多いです。
──作品づくりにおいて、常に意識していること・大切にしていることは何でしょうか?
「登場人物を作者の都合で動かさない」ということは、とくに意識しています。
ストーリーの都合で無理にキャラクターを動かすと、「え、このキャラそんなことする?」と読者に違和感を与えてしまうからです。そのキャラクターらしい行動になるよう、構成を工夫しています。
また、先の展開を考えながら伏線を仕込むことも大切にしています。こうした積み重ねがあると、物語に奥行きが生まれると思うので。
──作品づくりでとくに「楽しい瞬間」はどんなときでしょうか?
大まかなあらすじを考えているときに、ピースがはまるようにストーリーがつながった瞬間や、キャラが勝手に動き出して予想外の展開に進んだときはワクワクします。「まさかこんな展開になるなんて…!」と自分で驚くこともあります。
──これまで作家として活動してきて、一番嬉しかった瞬間はなんですか?
一番と言われると迷うのですが…シナリオライターとしてデビューした時かもしれません。夢のスタートラインに立てたという気持ちが大きかったです。
新しいことが始まるときはいつも嬉しくて、コミカライズ化やショートドラマ化が決まったときも本当に幸せでした。
──保刈さんが考える、この仕事の“魅力”とはどんな部分でしょうか?
自分の考えた物語や言葉が、知らない誰かの心に届くことですね。「楽しかった」「ドキドキした」「怖かった」と、少しでも何か感じてもらえているなら嬉しいです。
本業ライター×副業シナリオライター。文章で生きる保刈愛李の創作の道のり

──現在は作家一本で活動されていますか? それとも、ほかのお仕事と並行していらっしゃいますか?
現在は身内が経営している会社で記事のライターをしているのがメインです。なので「本業ライター、副業シナリオライター」という感じです。
──作家として活動を始めるまでの経緯をお聞かせください。
女性向けゲームのシナリオコンテストに応募して最優秀賞をいただいたのがきっかけで、シナリオライターとして活動を始めました。
その後、テラーノベルのご担当者様からお声がけいただき、ノベル作品の執筆もさせていただくようになりました。
──作家として活動することには、どのような面白さや難しさを感じますか?
趣味で書くときは自分の好きなものだけを書いていればいいのですが、仕事になるとそうはいかなくて…。
書きたいものがあっても企画が通らないこともありますし。でも逆に、「今はこういうジャンルが求められている」と考えて新しい方向に挑戦することもあって、それが自分にとって新しい扉を開くきっかけになるので、そこは面白さだなと思います。
才能がない、つまらないと感じても。最後まで書き切ることが作家への第一歩

──原作の連載元でもある「テラーノベル」というサービスについて、連載中にどのように感じていらっしゃいましたか?
皆さん気軽に読んで感想を書いてくださるのは本当にありがたいです。もちろん良い感想ばかりもらえるわけではないので緊張もありますが、褒めていただけると最高に嬉しいです。読者の声がすぐ届くのは、テラーノベルならではの魅力ですね。
──もし保刈さんが作家を目指す立場だとしたら、テラーノベルをどのように活用したいですか?
とにかくたくさん書いて、コンテストに応募します。私自身もコンテストがきっかけでシナリオライターとして活動を始められたので、本当に大きなチャンスだと思います。
──これから作家を目指す方々へ、アドバイスやメッセージがあればお願いいたします。
作品を書いていると「自分って才能ないのかも」と思う瞬間があるかもしれません。でも才能がなくても、チャンスやきっかけ次第で作家にはなれます。
正直、私自身も文才があるタイプではなくて、運と人とのつながりでここまで来られたと思っています。だから「つまらないかも」と思っても、とにかく最後まで書き切ることが大事だと思います。頑張ってください!
保刈さんのこれから。そして、抱き続ける“ちょっと意外な夢”

──今後、作家として挑戦してみたいことや、新たに取り組みたいジャンル・テーマはありますか? また、最終的な目標や夢があればぜひ教えてください。
趣味として別名義でマーダーミステリーのシナリオも書いているので、今後はミステリーやサスペンス作品にも挑戦してみたいです。
最終的な目標については、かなり無謀な願いですが、いつか大好きなAqua Timezとお仕事したいです。シナリオライターを目指したときから、「いつか自分の作品の主題歌を担当してもらいたい」という大きな夢がありました。こんなよこしまな夢で恐縮です(笑)。この夢に関しては、叶えることよりも、持ち続けることで自分の活力にしています。
──最後に、読者の皆さまやこれから保刈さんの作品を読まれる方々へ、メッセージをお願いします。
ここまで読んでくださってありがとうございます。まだ私の作品に触れたことのない方も、気軽に読んでいただけると嬉しいです。また、コミカライズ版やショートドラマ版も、ぜひ楽しんでください。
今回ご協力いただいたクリエイター
保刈愛李(ほかり・あいり)
2015年よりシナリオライターとして活動を開始。これまでに女性向けゲームを中心にシナリオを手がけ、2018年からはテラーノベル公式作家として活動を始める。代表作に『100日後に離婚する2人』『偽りの世界』などがある。2025年には『偽りの世界』がコミカライズし、『100日後に離婚する2人』がコミカライズ・ショートドラマ化。現在はライター業と並行しながら、幅広いジャンルでの創作に挑戦中。
🔗 X(@airi_hokari)
🔗 テラーノベル作品一覧
『100日後に離婚する2人』はこちらから

©保刈愛李/テラーノベル/阿井/A-WAGON
保刈愛李先生による原作小説をチェック
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