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「三強」

第2話 - 2.動き出す太陽

2025年07月20日

#天才

#秀才

#凡人

#創作

#オリジナル

#少年少女

🌑MuNou🌕

土の道を自転車で駆ける橋夲司。

頭のくせ毛が風に逆立ち、半袖からのぞく腕は日焼けして赤くなっていた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「よっしゃあああああ!!秘密基地作りの始まりだああああ!!」

叫びながら自転車を漕ぎ進め、すでに集合場所にいた2人を見つけて手を振る。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「おいっすー!! 早くね?!」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「遅せぇんだよ。てめぇが1番誘っといて1番遅いとか、ナメてんのか？」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「ん……おはよう……司、帽子かぶった方がいいよ。もう陽射し強いから。」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「へっ、太陽に勝てる俺に帽子なんか必要ねぇんだよ！」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「もう少し脳みそにも勝ってくれ。」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「ふふっ……」

3人は山のふもとの草地を歩き始める。

緑に囲まれた風景が広がり、耳には風の音虫の音。

しばらく歩いた先、小さな空き地にたどり着く。

そこはすでに、木の枝や板、段ボールが雑に積まれていた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「ここが俺たちの秘密基地の予定地！昨日のうちに材料運んどいたぜ！」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……なにがすごいって、その努力をなんでテスト勉強に生かさねぇのかだな。」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……うん。でも……こういうの、楽しいかも。」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「そうだろ?!男はロマンなんだよ！基地作りに虫取りに冒険にっ!!」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「まぁ、運動にはなるしな。」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「よっし、じゃあ今日は虫取りだああああああああぁぁぁ!!」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「おい、作業は？」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「明日から明日から！」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……絶対終わんねぇな。」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「ふふ……」

3人は手分けして山の中に入っていく。

司は大きな虫かごと虫取り網を片手に、まるで軍人のように身を低くしながら茂みを進んでいた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「司一等兵、現在目標(カブトムシ)を追跡中……座標は南東、木の幹に接触ーー発見！捕獲ぅぅぅ!!」

パシン！

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……うわ、やっぱり捕まえるの上手いね。」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「ってかお前、よくそんなテンション保てるな……」

珠優は木陰でしゃがみ込み、ノートにスケッチしていた。

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「見て、蝉の抜け殻。綺麗だね……」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「なんで写生してんだよ……虫取れよ」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……うん、苦手なんだ。動く虫、ちょっと。」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……へぇ、天才にも苦手があるんだな。」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……だから、僕は天才なんかじゃないよ。」

その言葉に、皓汰の視線が一瞬だけ止まる。

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「…………」

一方、司はというと、なぜか全力疾走で茂みを駆けていた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「うぉぉおおおおっ!? 蜂!? 蜂だあああああああああぁぁぁっっ!!!」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……やっぱりバカだろあいつ。」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「でも……元気で、いいな。」

その時、3人の耳に聞きなれない音が届く。

ーーーガサガサッ、パキッ。

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……おい、今の聞こえたか？」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「聞いた！クマ!? ついに出たか!?」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「待って、あっち……！」

3人は音の方へと駆ける。

すると、木々の間に何人かの人影が見えた。

少年と、少女。自分たちと同い年くらいだろうか？その中にいたのはーーー

「……あんたら、誰？」

少女がこちらを睨むようにして問いかけた。

オッドアイの瞳が印象的な、元気そうで……でもどこか繊細な空気を纏う。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「お、お前らこそ誰だよ！」

「うち？」

伊原芙羽ｲﾊﾗﾌｳ

「伊原芙羽や。で、あんたは？」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「お、俺は橋夲司っ！秘密基地を作りに来た！」

伊原芙羽ｲﾊﾗﾌｳ

「……秘密基地作るの？面白そうやん！」

ぱぁっと笑う芙羽。それを見て、司は思わず照れたように頬をかいた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「ま、まぁなっ！」

伊原芙羽ｲﾊﾗﾌｳ

「うちも手伝ってええ？虫とか得意やで！」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「よっしゃ決定だ！もう”隊員”だな!!」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「おいおい、馴れ馴れしすぎだろ……」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「いーじゃん、仲良くなれそうだし！」

珠優はその会話を微笑ましく見つめながら、近くにいた少年に声をかけた。

司たちよりも少し身長が高く、オールバック気味の揺らしたその少年ーー

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「……なんだよ、こっち来んなよ。」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……あ、ごめん」

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「……君、名前は？」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「金宮、珠優。……君は？」

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「朗楽知智……で、君、HCPか？」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……え？」

知智はじっと珠優を見つめていた。不思議な気配。まるで、何かを見透かすような。

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「……ふーん。まぁ、いいや」

そう言って背を向ける。珠優は目を見開いたまま、何も言えなかった。

皓汰の前には、無言で草の中から草を拾っている少女がいた。前髪ぱっつん、ショートヘアー。全く喋らない。

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……おい、お前、誰？」

前上志緒ﾏｴｶﾐｼｵ

「……(無言)」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「聞こえてねぇのか？……おいって……」

前上志緒ﾏｴｶﾐｼｵ

「……前上志緒」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……あ、そ。俺、白井皓汰。」

前上志緒ﾏｴｶﾐｼｵ

「……(ぺこり)」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……ったく、喋れよ……まぁ、黙ってる方が楽ってのも、分かるけどな。」

志緒は顔を上げて、皓汰の目を一瞬だけ見た。そしてまた草に目を戻す。

6人は、徐々に自然と集まってきていた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「すげぇ……なんか、仲間って感じだな！」

伊原芙羽ｲﾊﾗﾌｳ

「なんやろな……夏の魔法って感じ？」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……」

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「……ふん」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「……こいつら、変な奴ばっか」

前上志緒ﾏｴｶﾐｼｵ

「……」

その時、太陽が地平線に落ちていき、空がオレンジ色に染まり始めた。

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「なぁ、お前ら……また明日も、来るか？」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……うん」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「しょうがねぇな……」

伊原芙羽ｲﾊﾗﾌｳ

「もちろんやでっ！」

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「……来るかは気分次第」

前上志緒ﾏｴｶﾐｼｵ

「……(こくり)」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「決まりだな!! これが……”三強”と……なんだ、名前あった方がいいよな！」

伊原芙羽ｲﾊﾗﾌｳ

「ふふ、”秘密の仲間たち”とかどう？」

金宮珠優ｶﾈﾐﾔｼｭｳ

「……”太陽の下で出会った6人”とか……」

朗楽知智ﾎｶﾞﾗﾁｻﾄ

「長い」

白井皓汰ｼﾗｲｺｳﾀ

「だな」

橋夲司ﾊｼﾓﾄﾂｶｻ

「ま、名前はまた考えようぜ！」

空に星が少しずつ見え始める。

次回予告「星の下の過去」

新キャラ紹介

(いはらふう)

伊原芙羽

12歳女うち 162cm ○ユーモア ‪✕‬自己非難

(ほがらちさと)

朗楽知智

12歳男俺 168cm ○博識 ‪✕‬二面性(危)

(まえかみしお)

前上志緒

12歳女あたし 156cm ○頑張り屋さん ‪✕‬無口

「HCP」とは？

HCP＝Hidden Capability Possessors (隠れた能力を有する者)

日本政府及び一部の国家間機密で使われている、超能力者の総称。

英語圏では「Hidden Csps(ヒドゥンキャップス)」と略されることもある。

・表社会ではその存在は完全非公開。

・世間では「都市伝説」や「第七教育施設」＝「少年院説」として噂される程度。

・実在を知るのは政府の一部機関・関係者・HCP本人のみ

HCPと一般人との関係

・政府がその存在を完全に消しているため、趣には知られていない

・一般人がHCPの力を目撃した場合、記憶改竄や保護措置が取られる

・ごく稀に、一般人とHCPが家庭を築くことで「覚醒因子」が遺伝するケースあり

HCP能力一覧

これが限界です💦

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