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昼下がりの光は、グラウンドの砂を金色に染めていた 打球音と掛け声が入り混じって、春の空気を震わせる
白羽汐莉(しらはねゆうり)
汐莉は笑って、鞄を軽く持ち上げた クラブチームの練習があるから、放課後はいつも真っ先に校門を出る その背中を、純はなんとなく目で追っていた
七瀬琉真(ななせりゅうま)
軽く伸びをして言う 風に髪が揺れて、汗ばんだ額に光が跳ねた
有馬純(ありまじゅん)
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
軽く笑いながらも、純の声には少し疲れが混じっていた
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
いつも通り言い返したつもりだった けどその一言のあと、ほんの少しだけ視界がぐらりと揺れた
グラウンドの熱気が足にまとわりつく ランニングを終えて、バットを握る手がじんじんと痛む 監督の声、ボールの音、仲間の笑い 全部、少し遠くに感じた
有馬純(ありまじゅん)
有馬純(ありまじゅん)
キャッチャーの構えが二重に見えて、スイングのタイミングがずれる 金属バットの芯を外れた音 ボールは高く跳ね、視界が白くなった
七瀬琉真(ななせりゅうま)
誰かが叫んだ 次の瞬間、腕をつかまれて引き寄せられる 琉真だった グラウンドの真ん中で、俺を支えながら必死に息を整えている
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
七瀬琉真(ななせりゅうま)
七瀬琉真(ななせりゅうま)
焦る琉真の声が、遠くでこだまするように聞こえた 汗と砂の匂い、琉真の体温 すべてが、やけに近くて、息が詰まった
保健室 カーテンの向こうで、夕陽がゆっくり沈んでいく 純はベッドの上で横になりながら、窓の隙間から射し込むオレンジの光を見ていた 椅子に腰かけた琉真が、腕を組んでため息をつく
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
その言葉の裏に、心配が透けて見える それが少しだけ、嬉しかった
有馬純(ありまじゅん)
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
琉真は一瞬だけ目をそらして、ぼそっと返す
七瀬琉真(ななせりゅうま)
有馬純(ありまじゅん)
カーテンが風に揺れて、ふたりの間の空気がふわっと動いた その拍子に、琉真の指先が純の手の甲にふれた 一瞬の沈黙 けど、その“ふれた”感触だけが、ずっと心臓に残ってた