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ハロウィンタウンの道化師

第3話 - 第3話　交渉

2024年10月27日

#瀬乃の小説コンテスト

#一次創作

#ファンタジー

#ハロウィン

七ノ井みる

クラウン

クリスマスタウンの奴らがそこかしこに居るな……。

ボス

ここはクリスマスタウンとハロウィンタウンの境界に近いからね。

ボス

しかし、ここはハロウィンタウンの敷地のはず……。

ラグジュ

そもそも、クリスマスタウンの民は一体何を望んでいるのでしょうか？

ボス

さぁ……。土地かな？

クラウン

やはり土地か。

ミーシャ

……ミーシャは何か仕事する？

ラグジュ

僕かボスが合図するまで待っていてくれ。

ミーシャ

分かった。ミーシャ、いい子で待つ。

クラウン

……。

ボス

……よし、ミーシャ。
あれを出してくれないかい？

ミーシャ

ミーシャの出番……？

ミーシャ

よっこいしょ……

ボン……

クリスマスタウンの民

な、何だ？煙か？

クリスマスタウンの民

突然何なんだ……ゴホゴホッ！

クリスマスタウンの民

煙を吸うな！危ないぞ！

クリスマスタウンの民

ハロウィンタウンの奴らの仕業か……！

クラウン

やっぱりミーシャの煙幕は便利だな。
ラグジュ、後で追加の褒美が必要になるな？

ラグジュ

そうだな。追加で魚クッキーを用意しよう。

ミーシャ

クッキー……！魚クッキーはいつ食べても飽きない。ミーシャ、魚クッキー大好き。

ラグジュ

そうか。

ボス

それじゃあ進もう。
止まっていられないからね。

クラウン

……ここが工場か。

ラグジュ

あぁ。

ラグジュ

数十年前まで、クリスマスタウンは工業が盛んだったらしいな。

ラグジュ

しかし、上からの命令により工場が減らされ、今は観光業に力を入れているらしい。

ラグジュ

ここも工場が減らされた時に潰れた工場だ。
まだ壊されずに廃工場として残っている。

ラグジュ

壊すのにも費用がいるから、潰された工場のうちのいくつかは壊されずに放置されている。

ミーシャ

よく分かんない……。

クラウン

そろそろ約束の時間のはずだが……。
それらしき人物は誰も───

クリスマスタウン警備隊

初めまして、ハロウィンタウンの面々。
私はクリスマスタウンの民。

クリスマスタウン警備隊

そして、貴方達の敵にあたる者です。

クラウン

お前があの手紙を出したのか？

クリスマスタウン警備隊

……？何のことだか。
私はただ上の指示でここに来ただけです。

ボス

（ではなぜこの者に……？
書いた本人が行けばいいものを。）

クリスマスタウン警備隊

そうでした。私はクリスマスタウン警備隊のメンバー。先程も言いましたが、上からの指示でここに来ました。

クリスマスタウン警備隊

貴方達に名乗るほどの名は持っていませんので、名は名乗りませんが。

クリスマスタウン警備隊

貴方達には交渉をしに来ました。

クラウン

交渉？

クリスマスタウン警備隊

えぇ、交渉です。
貴方達も経験はありますよね？

ミーシャ

（クッキー食べたい……おなかすいた……。）

ボス

それで、その交渉というのは？

クリスマスタウン警備隊

貴方達が大事に保管しているというからくり人形です。

クリスマスタウン警備隊

それさえ譲って下さればハロウィンタウンへの襲撃もやめる。

クリスマスタウン警備隊

これはボスがおっしゃっていたことです。

クリスマスタウン警備隊

ボスは約束は守る方なので、必ず襲撃はやめるように命じられるでしょう。

クラウン

……は？あれが欲しいのか？

ラグジュ

……ボス、どうします？

ボス

（あのからくり人形か……。しかし、彼らは何故あの人形が僕達の手にあると知っている？）

ボス

（何の仕掛けもない普通のからくり人形のはず……。）

ボス

（だが、それで襲撃が終わるのなら良いか……。）

ボス

分かった。ではその人形は貴方達に譲ろう。
……本当に襲撃を止めるんだね？

クリスマスタウン警備隊

はい。約束します。

ボス

では、交渉成立だ。

クリスマスタウン警備隊

はい。ありがとうございます。
では私はこれで。

クラウン

……ボス、本当に良かったんですか？
あれはなにか企んでる顔ですよ。

ボス

また何か企んでいるようだったらそれを止めるまで。それに、今は一安心だろう？

ボス

これ以上被害者を増やすべきじゃない。僕がそう判断したからね。

ラグジュ

では、急いで人形を取りに行かせますか？

ボス

いや、人形は僕が取りに行くよ。
あそこの部屋に入るには鍵が必要でね。

ミーシャ

お話やっと終わった……。
ミーシャ、疲れた。

ラグジュ

ほら、菓子を買ってやるから元気出せ。

ミーシャ

うん……。

クラウン

これで一件落着か。
あ〜、早く帰って寝るか……。

ボス

まずは襲撃された場所の復興かな。

ラグジュ

追悼もしなければならないですね。

クラウン

やることが多いなぁ〜……。

クリスマスタウン警備隊

（襲撃はなくなる……。“今だけは”。）

クリスマスタウン警備隊

（こちら側も被害は想定以上でしたね。
次に向けて準備もしなければ……。）

クリスマスタウン警備隊

ボス。依頼を遂行しました。
からくり人形はこちらの手に渡ります。

『ああ、わざわざすまんのぉ。』

クリスマスタウン警備隊

（ボスの計画に何故からくり人形が必要なのかは分かりませんが……。）

クリスマスタウン警備隊

（ボスならば、きっと我々に有利になるように使うはず。）

END……？

【作者から】

七ノ井です。瀬乃さん、小説コン開催おめでとうございます！ハロウィンがテーマということで、ほんとうに少しですがハロウィン要素を入れてみました。例えばハロウィンタウンとかミーシャのお菓子好きとか。ちなみにミーシャが魚クッキーを気に入っていたのには訳があります。これは後ほど。正直締切がすぐで焦ってしまいこのような短い連載になってしまいましたが、気に入っていただけるととても嬉しいです。さて、気になる終わり方は……？少し含みのある終わり方でしたね。実は私が考えていた設定で公開しきれていないものばかりなのです。改めまして、ここまで見て下さりありがとうございました。

Thank you for watching！