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主さんにしか書けない世界観惚れ込みすぎてます、、本当にすごい。何回繰り返し読んでもあっという間に引き込まれます、本当に好きです。続き楽しみにしてます🫣
ご本人様とはいっさい関係ございません。ひっそりとお楽しみください。
空港を出て二時間が過ぎた頃、腹が減ったと言って目を覚ましたテヒョンの為にサービスエリアで休憩することになった。
売店で買ったハッドグに齧り付く兄の口元をジョングクはじっと見る。顎や頬に髭がぼうぼうと生えていて熊のようだったからだ。
ジョングク
テヒョン
テヒョン
顎を摩りながらテヒョンは片眉を上げると、ジョングクにウィンクしてみせた。
ジョングク
テヒョン
テヒョン
テヒョンは溜息を吐くと食べ終わったハッドグの棒を口に咥え、つまらなそうに呟いた。それがジョングクには投げやりな態度に見え、眉間に皺がよる。
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョン
相手にする気はないといった調子でテヒョンはジョングクを見てニヤニヤと笑った。おまけに恋人がいるという情報で揶揄ってやると顔に書いている。
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョン
ジョングク
ジミンには「居場所が必要だから恋人を作った」とだけ話したけれど、別れたなんて知ったら今度こそ会ってくれなくなるだろう。
だから振られましたなんて報告をジョングクはしなかった。
テヒョン
テヒョン
ジョングク
テヒョン
テヒョンは大きく溜息をつくと、片手で頭を掻きながらいった。
テヒョン
ジョングク
ジョングクは姿勢を正し深く頭を下げる。
ジョングク
テヒョン
テヒョン
テヒョンの口ぶりはのほほんとしているが、逆に人を威圧する迫力があった。
若い頃のジョングクならばこの辺りで引き下がり、部屋に籠って泣いていたかもしれない。
けれど大人になったジョングクには、決して引かないという岩のような決意が生まれていた。
ジョングク
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョン
テヒョン
ジョングク
何を言っても闘志を燃やしてくるジョングクに、テヒョンは苦笑し口をゆがめた。彼はうんざりしたように肩をすくめて、「そろそろ行こうぜ」といった。
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョンは突然ジョングクの手からハッドグを奪い取ると、食べかけのハッドグにガブリと齧り付き四口で食べてしまった。
髭についたソースをペロリと舐め「ごちそうさま」と言ったテヒョンにジョングクは絶句する。
テヒョン
テヒョン
ジョングク
テヒョン
車に乗り込みエンジンをかけたテヒョンをうらめしげに睨む。ジョングクはのろのろと助手席に乗り込むと、テヒョンの肩を殴った。
テヒョン
ジョングク
テヒョン
車が発進すると、車内に曲が流れ出した。「何度サイコロを振ったとしても結果はいつも同じ」と歌っている。報われない恋の歌だ。
昔、お気に入りの映画のエンディングに流れる曲だと言ってテヒョンに何度も聴かされたのをジョングクは思い出した。
テヒョン
テヒョンの冗談を鼻で笑う。この嫌味な兄の首を絞めてしまわぬよう、ジョングクは目を閉じイヤホンを耳に捩じ込んだ。
ジョングクの選曲はBack in black。大好きな映画の挿入曲だ。「俺は戻ってきた」と何度も繰り返す声がジョングクを鼓舞し、報われない恋の歌を脳内から追い出すことに成功した。
高速のパーキングエリアから更に二時間半ほど走り続け、目的地に到着した頃には日が落ちていた。
目的地はジミンとジョングクの故郷である釜山。広安里ビーチ近くのダーツバーだった。
ジョングク
テヒョン
きっと二人だけの思い出の場所とかなんとかだろう。ジョングクは想像しただけで胸焼けがして頭を横に振る。
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョン
ガラス張りのドアから中を覗くテヒョンは、酔った人で賑わうバーの中にジミンの姿を見つけたようだ。「ビンゴ!」と指を鳴らし直ぐに建物の中へと入って行く。
ジョングクは空港での出来事を思い出し躊躇ったが、テヒョンが振られるかもしれないので後を追うことにした。
テヒョン
テヒョン
カウンター席の端で、酒の入った瓶を傾けていたジミンが二人に気づく。抱きつこうとしたテヒョンを片手で押し返し眉間に皺を寄せた。かなり酔っているようで目が据わっている。
ジミン
ジョングク
呂律の乱れた声でジミンは「余計なことすんなや」と言いジョングクを睨んだ。やっぱり来なければよかったとジョングクは後悔する。
ジミンがカウンターにお金を置き、出口へ向かったので残された二人は慌てて後を追う。足取りがかなり怪しいジミンがビーチに向かって歩き出した。
テヒョン
ジミン
ジョングク
ジョングク
テヒョンの腕を容赦なく引っ張るジョングクを見てジミンはケラケラと声を上げて笑っている。楽しそうに笑うジミンを見てジョングクはホッと胸を撫で下ろした。
テヒョン
ジミン
テヒョン
ジョングク
ジョングクを無視し「ビーチでしても良いけど?」と元気よく笑うテヒョンの腹にジミンの拳がヒットする。
ジミン
テヒョン
ジミン
テヒョン
ジミン
ジミンは喚きながらビーチの砂を掴んだかと思うと、テヒョンめがけて投げつけた。
テヒョン
ジミン
ジョングク
テヒョンのハーフパンツを引っ張り砂を入れはじめたジミンはかなり本気の目をしている。逃げようとするテヒョンの尻が見えそうになり、ジョングクは慌ててジミンを引き剥がした。
ジミン
ジョングク
テヒョン
ハーフパンツを上げながら呑気に笑うテヒョンをジョングクは睨んだ。
ジョングク
ジミン
媚びるジミンを面白くなさそうに見つめ、口を尖らせたテヒョンがジョングクの胸ポケットを指差した。
テヒョン
ジミン
ジミンの小さい手がジョングクの胸ポケットに伸び、テヒョンが空港で勝手に押し込んだパンツが引っ張り出されてしまう。
その存在をすっかり忘れていたジョングクは不自然なほど取り乱してしまった。
ジョングク
テヒョン
ジョングク
テヒョンのペースに巻き込まれ、ジョングクは余裕を失くしていく。ジミンの視線が刺々しい。
テヒョン
ジミン
ジミン
すすすっとジョングクから離れて行くジミンに「本当にちがうのに!」と縋るように手を伸ばしたが、払い除けられてしまう。
空いた肩を素早く抱き寄せたテヒョンは満足気に眉を上げてみせた。
ジョングク
テヒョン
テヒョン
ジミン
形勢逆転し、いきなり紳士ぶった態度になったテヒョンにジミンは絆されているようだ。ありえないだろうとジョングクは訴えるが酔ったジミンには届いていない。
ジョングク
テヒョン
テヒョン
俺の車なのに?と文句を言うジョングクは完全に無視された。
ふらつくジミンを二人で支えながら駐車場まで運んだ。ジミンを後部座席に押し込んだテヒョンは自分の太腿にジミンの頭を乗せている。見事な早業だ。
ジミンからホテルの名前を聞き出したテヒョンは優しく小さな頭を撫でた。すっかり絆されたジミンは飼い慣らされた猫のように目を閉じてしまう。
ジョングク
テヒョン
ジョングク
ジョングク
テヒョン
ジョングク
バックミラー越しに睨むと、テヒョンの目が笑っていた。こういう目をしているテヒョンは何か企んでいる時だ。絶対に触らせてなるものかとジョングクは決意を固めハンドルを握った。