テラーノベル
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幸せな日々は、長くは続かない
それを知りながら、生きていくしかないのだ。
でも
やっぱり、心のどこかで思っていた。
もしかしたら
少しの奇跡が起きて
ずっとあなたといられると、思っていた。
守神
それを決めるのは、雨の日の夜
守り神になる対象は
「二人兄弟」
そして、私はその対象に入っていた。
私は弟
兄は椿
二人のうちどちらかが、守神となり、この国を守るのだ。
と言っても、国全体で決める訳じゃない、ひとつの小さな町だ。
すごく、かっこいいと思う。
でも
守神自身はとても辛い。
お爺様の言い伝えでは、守神になると、意識があるまま、身動きが取れなくなると言う。
それも、100年間
だから兄弟は自害を選ぶらしい。
でも
私達はそうしなかった。
希望があったから。
それなのに
その希望など海に捨てて、兄は自ら守り神になると言った。
家族みんなが驚いた。
町民は誇らしげな顔をしていた。
自分らが生きる時代の守神は、こんなにも勇敢な守神。
とでも言いたいのか?
貴方たちは何の役にも立たないのに。私たちの気持ちも知らないのに!
椿
菊
ずっと黙っていた兄は、突然私の名前を呼んだ。
椿
菊
菊
嘘
お兄様が、苦しむ中、私は未来を想像できない。
椿
菊
椿
頬にそっと指を触れた。
すると、指が濡れた。
あ
本当に泣いていたんだ。
菊
そうと分かれば涙が止まらなくなる。
自分の嗚咽に嫌気がさす。
泣いてちゃ、お兄様をお見送りできない
椿
すると、兄は突然しゃがむ。
そして、守神の印である赤い紐で作られたリボンの髪留めを、私の前髪につけた。
菊
椿
椿
椿
椿
椿
椿
菊
菊
菊
力無く喋る私の頬を撫でるお兄様
椿
菊
椿
椿
そして、私の背中に触れた
椿
椿
その触れた手は、引き離された──
ここは、何処だろうか
電波の音がする
とても、不思議な気持ちになる
そして少し
肌寒い
菊
突然眼前に出てきた、熱帯魚
それに驚き、尻餅を着いてしまった
菊
菊
言葉につまる
まだ、そんな覚悟ない
菊
水
嫌な思い出しかない
溺れて助けを求めた私に、救いの手などなかった
何度も叫ぶ
助けて
助けてと
それでも、誰も助けてくれなかった
見て、また前を向いて歩き出す人たち
その時思う
世界はなんて冷たいのだろうか
その時感じた冷たさが、この空間には広がっていた。
最終的に助けてくれたのはお兄様──椿だった
だから思うの
水の守神となり、多くの人を救う
そう誓います
菊
コメント
2件
とっても短かった! 次は長くしたいです!