はちゃめちゃにお久しぶりです〜!作者です!
いつ振りでしょうか!!何年か経ってますよねこれ!!
お久しぶりです!!!!本当に!!!!!
今日も今日とて変わる事なく作者の性癖です。もうお手のもんですね。
さて、今回のお話はna+br×sh、学パロ要素が含まれております。r18とまでは行きませんが、ちょっとえっちなものも含まれます。
そしてnaさん、brさんのお口や性格がとてもとても悪いです。なんというか、とっても狡猾です。
「解釈違いや!」と言う方はどうか自衛なさってくださいね。
さぁ今回は前置きを短くしようと努力致しました。多分できてます。多分。
ちなみに本文ばか長いです。20分くらいお時間頂くかもです。すみません。
でも妄想楽しくて辞められません!!
はい!!
それでは、スタートです!!!
sh視点
「…あの!ぶ、ぶるーく君…っ!」
br「ん〜?…何、どうしたの〜?」
ふわっ、と緩いウェーブがかかった甘い香りの栗色の髪。
ぱっちりとした綺麗な二重、そして長いまつ毛。
スタイルも抜群、制服もばっちり着こなして。
そんな、誰しもがぽー、と見蕩れてしまうような、そんな可愛い可愛い女の子に呼び止められた。
そんなあいつを、見つけた。
「わ、私ね、その…」
br「…?大丈夫?…ゆっくりでいいよ〜?僕急いでないし…」
優しい眼差しで彼女を見つめ、ゆっくりでいい、とこれまた優しく語り掛け、あまつさえ背丈に合わせ軽く屈む。
そんな彼に、彼女はもともと赤かった顔をもっと朱に染めた。
そして、覚悟を決めたかのように息を吸って___
「…ッ!…わ、わたし…!
ぶ、ぶるーく君のそういう優しいところに惹かれ、て…!
そ、の…、す、きになっちゃって…!
ッもし宜しければ、付き合ってくれませんか…!」
………。
……え、告白?
お昼休みもそろそろ終わる、そんな時刻。
五時間目の移動教室や体育の準備、お喋りに花を咲かせる生徒達で溢れかえっている…廊下にて。
俺の耳が拾ったのは、震えた女の子の声だった。
…えぇ、マジもんじゃん…初めて見た…
………わ、皆急に静まり返るやん。…まぁそりゃそっか。
人様の一世一代だもんな。
『告白された方も嬉しいだろうなぁ、あんな可愛らしい子に好き、って言われるんだもんな、
きっと二つ返事で受け入れるんだろう』、と。
その場にいる誰しもがそう思っていたと思う。
しかし、現実とはどうやったって予測できないもので。
「…あ〜、ごめんね?僕もう好きな人居るから。」
「それじゃ」と、それだけを言い残し、踵を返してそいつは立ち去って行った。
『…えっ?』
その場に居合わせた、30人程度の生徒の声が重なった。
その声には、告白した女の子も含まれていた。
…まぁ、俺は言わなかったけど。
俺が通う、ここ、白尾学園には二人の王子様がいると言う。
他校の女子生徒でさえ周知、専らの夢のある噂だそうだが。
両者ともに容姿端麗、頭脳明晰、そして運動もできる。
誰にでも分け隔てなく接し、困っている人には迷わず手を差し伸べる。
話し上手で聞き上手。絵に描いたような完璧超人で、非の打ち所が見つからない、らしい。
…さぁ、果たしてどこまでが事実なのだろうか。
噂、というものは普通、人から人へと口頭で伝わっていくものである。
つまりどこかで改変が起きていても別に不思議では無いし、尾ひれだってつき放題というわけだ。
…事実、もう尾ひれがえげつないほどについている。
もうなんか、つきすぎてもはや本体見えてない。
俺は、その事を嫌というほど知っているのだった。
br「ね〜ぇ聞いてよしゃーーくーーん僕まぁ〜たよくわかんない人に告白されたんだけどぉお誰あれ興味ないってぇえあぁあ」
sh「うわうるさっ…」
br「あぁ〜マジでしゃーくんだけでいいよ僕…しゃーくんさえいればいいよほんとに」
sh「はいはい…おい邪魔だ抱き着くな」
br「あ、信じてないね?」
sh「フル無視やん…あー、んなわけねぇって信じてる信じてる」
na「ふは、ぶるーく塩対応されてやーんのw」
br「かっちーーーん。何なかむ、やるの?」
na「きゃ〜こわぁ〜い…ねぇ〜シャケ〜ぶるーくが怖いよぉ」
sh「おーおーそうだな取り敢えず両者抱き着くの辞めてもらっていいか???」
はいこいつらです。
こいつらが例の『二人の王子様』(笑)です。
信じられます?いや信じられんくても残念事実なんですけどね。
こいつら…なかむとぶるーくは、異常な程に世渡り上手、なのだと思う。
そして異常な程に猫被り。
二人のことを『王子様だ』、なんてもてはやし祀っている人達は、猫を被り倒しているお二人さんにまんまと騙されているって訳だ。アーメン、可哀想に。
だがしかしこいつらの性質はこれだけには収まらない。
『世渡り上手』、『猫被り』、ときて。
次は何が来ると思います?
はい、『女の子嫌い』、なんですね。
つまり、先程の告白時のあいつ…もといぶるーくは、もうそれはそれは見事ににゃんにゃん、と。猫かぶりまくりだった、と。
だがしかし、あんなの誰だって騙されるだろう。認めたくは無いが、こいつらは凶器レベルで顔面が良い。
そんなのに目を覗かれて微笑み掛けられてしまえば、どんな乙女だってたちまち恋に落ちてしまうものだ。
知らんけど。
br「…しゃーくん?考え事してないでさぁ、ほら、僕に構ってよ〜」
sh「その考え事の原因はお前らなんだよ、ばーか」
na「えっ何そのばーかって…かわ…かわぃ…」
sh「るっせーなもぉ!!んな事言うなら放って帰るからな!」
na「えっやだやだやだ!!」
年甲斐もなくやだやだ、って…。
そんなんだからモテるんだよ、ばーか。
俺の事可愛いとか言うくせに、自分の可愛さには鈍感でさぁ…
そんなことを考えては、少しむくれながら帰路に着くのだった。
br視点
よく分かんない女に告白された次の日。
朝からなかむと一緒にしゃーくんの家凸、わいわいと賑やかに登校。
今はお昼休みで、ジュース買いに行ったしゃーくんを待ちつつ自席に座ってなかむと雑談中。
何の変哲もない。いつもと変わらない。
br「……はぁ〜〜〜…」
na「乙、ぶるーく」
br「もぉぉおー!!絶対狙ってたでしょあいつ…!!」
はず、だったんだけど。
僕、Broooockと隣にいるNakamuは、所謂イケメンとかいう部類に属してる。
別になりたくもなかったけど、生まれつきのもんはしょうがない。諦めて受け入れてはいる。
同じクラスの男子とか、その先輩とかは羨ましがることがほとんど。「俺もイケメンに産まれたかったなぁ」とか。こっちからすりゃいい迷惑だけどね、正直。
そして性、とでも言うべきか、僕達はめちゃくちゃモテる。
すんごくモテる。
話した事もないような子からも、なんなら違う学校の子からも、未だに信じられないけど、女性教員からも。
外面しか見てない奴らがうじゃうじゃ寄ってくるんだよね。
でも、まだ良識はあったみたい。昨日、それに気付いた。
昨日告白してきたアイツ。
…多分、人が多い時間帯選んで告白してきたでしょ。
しかも、目撃者が多くなるように廊下で。
人が見てるから、僕が断るのを恐れるんじゃないかって魂胆だったんじゃない?
受け入れたら受け入れたでその場で正式カップル誕生だし、断ったら僕の印象悪くなるし。
いやぁ〜、策士だね。きもちわる〜い。
聞けば、アイツは所謂マドンナなんだと。しゃーくんにしか興味無いから知らなかった。別に知ったところで、って話だけどね。
…で、そんなマドンナが軽くあしらわれるようにフラれたとなると、一気にこっちが悪者みたいに見えるみたい。
登校してからひそひそ話が止まないんだよねぇ。
別に何言われても気にはしないけど、やっぱりうざいもんはうざい。
ひそひそひそひそ、僕が何も言わないのを良い事に好き勝手言ってくれちゃってさぁ?
流石の僕もそろそろイライラしてくるんだけど。
全ての元凶であるマドンナの腹に思いっ切り蹴りでも入れてやろうかなとか考え始めた時、
sh「めっちゃ眉間に皺を寄ってんぞ、ぶるーく…w」
僕の机の前に、ちいさくてかわいいさめさんが現れた。
僕の眉間に人差し指を当てて、「ほら、ここ」ってくるくるしてる。
それでも何も言わない僕を疑問に思ったのか、「ん…?」って首を傾げながらもふもふと頭を撫でてくれる。
…あ”ーー、やばい、好き。…大好き。
瞬間、さっきまでの最悪な気分が嘘かのように晴れ渡った。ハレワタールじゃん、しゃーくんってば。
br「んへぇ、えへ、しゃーくん!」
sh「笑い方やばお前…なに?」
br「んーん、相変わらずちっちゃくて可愛いねぇ♡」
sh「…うるさい、もう慣れたからな」
br「あは、…ありがとねぇ」
軽く頭を撫でながら髪の毛を梳くと、少し顔を染めて目線を逸らされちゃった。かわいい。すき。
na「暴力沙汰になる前にシャケが来てくれて良かったね、ぶるーく」
br「あは、そんな事するわけないじゃ〜ん」
na「嘘つけ」
sh「は?おま、何しようとしてたんだよ…」
br「ないしょ〜、しゃーくんこっち来て?」
ちょいちょいと手招きして、僕の膝に向かい合わせで乗るように促す。
また真っ赤になって「ばか!!!」って怒られちゃうかなぁ
でもそんなしゃーくんもか、わ、ぃい…ぇ、
sh「…ん、」
br「…………へっっ?…あれ?やけに素直だね…?」
sh「…なんか元気なさげだから。……今日だけ、特別。」
br「ヴッッッッッッッッッ」
ちゃんと向かい合わせで座ってくれたと思ったら至近距離で赤面優しい呆れ顔頂きましたあ”ぁ”わわわわ”わ”ゎ”ゎ”
na「あ死んだ」
sh「もうなんかこれも慣れたわ、末期」
br「かわいい(遺言)」
sh「そんな中身ない遺言な事ある?」
br「失礼な!僕の半生を体現したかのような素晴らしく尊くやはり偉大ででもやっぱりかわいくて構い倒したくなるようなそんな人間が存在するんだと言うことを暗示している遺言になんたる侮辱」
sh「ごめんなんて?」
br「失礼な!僕の半生を体現したk」
sh「やっぱなんでもないうるさい」
br「しゃあくんが聞いたのに…」
na「面倒臭い…ぶるーく、そんなことしてたらシャケに嫌われるよ」
br「大丈夫!その時は首掻っ切って自死するから!」
na「何が大丈夫なのか教えて貰ってもいい?」
sh「そんないい笑顔で物騒なこと言うなよ怖ぇよ」
br「心配しないで、しゃーくんも連れてくから…ね?」
sh「はーい先生この人リア狂でーす」
na「知ってまぁす」
br「…僕の扱い酷くない?気のせい?」
sh「気のせい」
na「気のせい」
br「ほな気のせいか…」
ふふ、思わずと笑みが零れる。
やっぱこの空気好きだわぁ、僕!
sh「?何笑ってんだよ」
br「んーん、…やっぱり僕しゃーくん好きだなぁ」
sh「知ってるし」
br「あは、だよねぇ。しつこいくらい伝えてきたもんね」
na「よ〜しよしよし、シャケは可愛いねぇ」
sh「子供扱いすんなッ…!!あと人見てるからやめろ!」
br「今更そんなこと気にするの?良いじゃん、誰にも迷惑かけ掛けてないんだし」
sh「俺に迷惑かけてんだけど…?」
na「ノーカン」
sh「何が???」
眉を寄せてなかむに抗議してるしゃーくんをぎゅ、っと抱き締める。
予想だにしない行動だったのか、しゃーくんの体が強ばるのがはっきりとわかった。
それを良いことに、動かないしゃーくんの胸に頭をぐりぐりと押し付けると、擽ったそうに身を捩る。
ぱっ、としゃーくんの顔を見るために目線を上にやると、決まりが悪そうな、恥ずかしくていたたまれないみたいな表情のしゃーくんと目が合った。
sh「…なに、急に」
br「…ふふ、いや?しゃーくん不足だったから、補給しただけ」
na「ずるい、ぶるーく。シャケ、俺もしたい」
sh「んぇ〜…、…いぃ、けど…」
na「やった!おいで〜!!」
sh「…ん、」
ガタ、と音を立てて席からたちあがり、ひょいと僕の膝からしゃーくんを持ち上げてそのままぎゅうと抱き着くなかむ。
おいで、とか言っときながら自分から迎えに行くスタイルね、なるほど。嫌いじゃない。
てかさ、2人はおんなじくらいの背丈だからいいよね。ぎゅーしやすそう。でも僕にもしゃーくんの不可抗力上目遣いっていう特権あるからね、それでバランスとってるから別に羨ましくなんてないもんね!!!!!!!
sh視点
慌ただしくも時は流れ、その日の放課後。
なかむは「呼び出しくらっちゃった……あれだったら帰ってくれてもいいからね」、なんて言ってたけど…。
あいつほんとに分かり易いよな、明らかに帰らないで、寂しい、待っててって顔に書いてんだわ。それにぶるーくもなんか用事あるって言ってたし。
普段のルーティーンの3人で馬鹿しながら帰る、っていうのを崩すのはなんだか気が引ける。かと言ってすることも特段無いし、と、図書室で暇つぶし用の本を借りた後の廊下にて。
「…あの、」
sh「…?はい、?なんですか…?」
「これッ、」
sh「手紙…?ぇ、何ですかこれ」
手紙らしき物を押し付けたと思えば、ぱたぱた、と急ぎ足で去っていく女子生徒。
突然の出来事で、急ぎの委員会の書類か?などと思ってみるが、封筒からして恐らく違う。可愛らしい花柄の封筒なんて、委員会で使うわけないし…
明らかに怪しいが、好奇心には勝てない。
教室に戻って自席に座り、かさり、と手紙を開けてみる。
sh「…うわ」
いかにも女の子らしい丸々とした字体で綴られている文章。
しかしその内容とのギャップに、思わず顔を顰める。
要約すると、『私たちの王子様に近寄らないで』、とのこと。
またか、と思った。もう慣れた、正直。
いや全然慣れたくもないんだけどこんなの。
手紙の最後に『空き教室で待ってる』、なんて果たし状じみた事も書かれていた。
はい!これ俺知ってます!進研○ミでやりました!!過去にもこれ、された事あります!!
その時は面倒くさくて行かなかったけど…それで反感買っちゃったんだっけ?後でなんかぐちぐち言われた気がする。そっちの方が面倒くさくて、あぁ行っとけばよかったかなって後悔した。
…じゃあ今回はちゃんと行ってみるか。
過去の反省は活かすべきだろう。人間は学ぶ生き物なのだ、うんうん。
「……え、ほんとに来たんだけど」
sh「…えっ来いって言ったのそっちじゃないすか」
呼び出しを食らった空き教室に入室2秒後、数人居る女の子の中のリーダーっぽい奴が若干引き気味で呟いた言葉に思わずマジレスしてしまった。
………うん?…、あれ?
…………………あー…
…そっか、
そうだよな。
あんな怪しい手紙、真に受けてのこのこやって来たんだもんな。普通怪しんで行かないよな。
そりゃ若干引くよな。
いや引くならまず呼び出すなよ俺真面目なんだから来ちゃうに決まってんじゃねぇか!!!
…相手の要求通りにしたにもかかわらず、何とも気が抜けるような反応をされ、若干複雑な気持ちが胸に広がる。
…なんだかなぁ。
「…何その顔、ふざけてんの?」
sh「……え?俺どんな顔して…」
「あぁもう、もちもちしないで顔を!そんなんだから王子様達が構うのよ!」
sh「は?え?なに、そんなん、って」
「はーーーーーーお前マジでそういうとこだから!!なんでその行動を無意識でできるワケ?天性の才なん??」
sh「?????」
???????
なんだなんだ、なんなんだ
なんか…思ってた感じじゃない。前の時みたいになんか、詰め寄られたりさ、暴言吐かれたりするもんだとばかり思ってたんだけど。
口は悪い感じするけど…別に貶されてる感なくね?え?お前らの目的is何?
「きょとんとしないで!そのくりくりの瞳で私を見ないで!!」
sh「は??え、あの、」
「なによ」
sh「お前らの目的って…」
「…あぁ、手紙に書いてあったまんまだよ。王子様に近付かないで欲しいの、私達は」
sh「そりゃまた…なんで?」
「…え?おま、ッゔぅん、…君、おかしいと思ってなかったの?」
…おかしい?
……何が?
ようやく落ち着いてきたらしいリーダーを横目に、うぅんと頭を捻ってみる。
彼女は『王子様』に近付かないでほしい、と。
そしてそれは、何かが『おかしい』から、だと。
…俺が『おかしい』のか?
でもそうだとしたら、彼女はきっと「君がおかしい」とはっきり言ってみせるはず。
……つまり、なかむとぶるーくが『おかしい』?
…確かにあいつらは、必要以上に俺に構ってくる。
でもそれは友達として『普通』の事、で……
…ん、
………あれ?
俺、あいつら以外にまともな友達、…居なくね?
…物心ついた時からずっと一緒に過ごして、俺もそれに満足してたし。
別に物足りなさや寂しさとかは感じてないし、だからこそ新しい友達が欲しい、って言う欲も湧いてこないし。
まぁ言ってしまえば、閉鎖的だった、って事で。
…え、ってことは。
……俺は、『普通』を知らない、ってこと、?
sh「…え、っと……」
「…君は麻痺してるかもしれないけどね、彼らちょっとおかしいの」
sh「…………」
「君に対する執着が異常っていうか、…君を人と関わらせ無いように囲い込んでる」
sh「…つまり、お前らは」
「…君に気付いて欲しかっただけだよ、これは勝手なお節介。
……ごめんね、私興奮するとちょっと周り見えなくなるタイプだから」
sh「…いや、まじでさっきと性格違いすぎじゃね?ちょっと所じゃねぇよ」
「だってしょうがないでしょ?ずっと君と喋りたかったんだもの」
sh「…え、俺と?」
「君とお話する為だけにBroooock君に告白だってしたのよ?彼女って言う立ち位置を利用して君に近づこうとして……まぁ、結果は知っての通り惨敗だけど」
sh「……………あ」
「…え?」
sh「……見た事あると思ってたんだよな………」
「…まさか覚えてくれてなかったの???こんな美人を????」
sh「ちが、違うんだって、なかむとぶるーくが他の人とあんま関わっちゃだめだ、…って…」
「王子様怖」
少し顔を青くさせる彼女の反応を見て、今までの状況の異質さをやっとの事で認識する。
…でも、正直未だに信じられない、ってのが本音。
長い、本当に長い付き合いの奴らだから、
…疑い切れない。
「…ねぇ、」
sh「な、なに…?」
いつの間にか目の前にまで来ていた彼女が、俺の両手を優しく取る。
そしてきゅ、と軽く握り込んで、
「何かあったら、すぐに私達を呼んで」
と真剣な眼差しで目を合わせてきた。
いつになく堅い雰囲気だったから、俺には黙って頷くしか選択肢がない、訳で。
「わかった」、そう口に出そうとした時
教室のドアが勢いよく開かれた。
br「ね〜、ちょっと?何してんの?」
na「何なの、君ら。シャケに触んないで」
今話題となっていたお2人さんがずんずん、と大股でこちらに歩いて来た。
その顔からはすっかり表情が抜け落ちていて、えもいえぬ圧を感じさせる。
俺の手を緩く握る彼女の手は、恐怖からか怯えからか、震えてしまっていた。
…正直、俺もこわい。
…なんでそんな怒ってんの?あと、なんでここに、
sh「…な、かむ、ぶるーく?なんでいるんだよ」
na「ん〜?いやぁ、シャケの声が聞こえたからさぁ、条件反射で来てみたら…何、これ?なぁ、お前ら何してんだよ」
条件反射て。なんだよそれマジだったら怖ぇよ。
「こ、れは、王子、様達のことを想っ、て…」
br「嘘つかないでくれないかなぁ?」
真っ青な顔色で何とか弁明を試みる彼女に苛立ってか、普段の数段低い声を出すぶるーく。
怒気を隠すこともせず、目を細めて女の子を睨んでいる。
br「な〜にそれ、僕らの為、って。吐くならもっとマシな嘘吐きなよね〜?
しゃーくんに変なこと吹き込んだでしょ?
ねぇ、そうなんでしょ?知ってるんだよウチら。
ねぇほら、何とか言いなってば、何黙ってんの」
「ぁ、…ッひ、」
ぶるーくは、気圧されてか小さく悲鳴をあげる女の子に更に容赦なく詰め寄る。
はぁあ、と大きく溜息をつき、冷たい目を向けて、
na「…ね、君らさぁ、俺らのこと大好きなんでしょ?
シャケにこ〜んな変なことしちゃうんだもんね?
愛の力なんでしょ?
ねぇ、じゃあさ、
今すぐ失せてくんない?
君たちが大好きな俺らのために、さ」
と言い放ったなかむに、涙目の女の子達はついに逃げ出してしまった。
………なんか…終わった、っぽい…?
でも俺は未だ現状を把握出来てないし、
…彼女の言った事が頭から離れない、し。
『彼らちょっとおかしいの』
そ、う…なのか、な、
…いや、そんな訳ない、
ずっと一緒に居たんだ、
そんな事する奴らじゃないって、俺がいちばん………
na『シャケ?また俺ら以外と話してなかった?』
sh『え?…あぁ、委員会の子だけど…』
br『もぉ〜、なんでウチら呼んでくれないの?』
sh『だって仕事だし、そのたびにお前ら呼ぶのは…』
na『だめ、ちゃんと呼んで?』
br『そうだよぉ、これ約束ね!』
いちばん、わかっ、て…
br『おっはよぉ!しゃーくん♡』
sh『…え、ぶるーく?なんでここに』
na『なかむも居るよ〜!』
sh『ッぅわっ、なかむまで』
br『今日は文房具買いに行くんだっけ〜?』
na『ね、ね、どうせならお揃いにしない?ね、いいでしょシャケ!』
sh『………ちょっと待て、…俺お前らになんも言ってないよな、今日買い物行くとか、何買うとか、』
br『…え〜?w言ってたじゃん、昨日』
na『そうだよ、何?w忘れちゃったのシャケちゃん』
sh『……そう、だったっけ、』
na『その歳で物忘れですかぁ?w』
sh『うっせうっせ、…もう、ほら行くぞ!』
na『はぁい、しゅっぱーつ』
br『しんこ〜〜う!!』
体温が、手の感覚が、まるで空気に蒸発して行くようにぼんやり、無くなっていく。
何とも言い難い違和感が、じくじくと心臓の辺りを侵食して、息が浅くなる感覚に陥る。
…あれ、あれ、ぁれ?
ぉかしぃ、おかしぃ?
なにかが、ぉかしい、?
sh「………ッなぁ、お前らって、
俺のこと、…どう思ってる?」
すっかり水分が枯れきって、からからの喉を何とか震わせ、問う。
ようやく絞り出した声は、情けない事にかすれて、どうしようも無く震えていた。
na「へ?なぁに急に、どうしちゃったのシャケ」
長い睫毛に囲われた大きな瞳をぱちぱち、と瞬かせるなかむ。
br「どーせさっきの女に何か言われたんでしょ〜?
ほ〜ら、おいで?ぎゅーしてあげる!」
ぱっちりとした綺麗な二重の瞳を垂れ下げて、形の良い唇で優しく微笑むぶるーく。
na「は?おいぶるっく、抜け駆けすんなよ!」
br「しゃーくんは傷付いてんの〜!それを僕が癒すことの何が悪いってのさ!!」
そんな生まれつきをものともしない、あるがままに生きている彼ら。
…ほら、いつも通りじゃん。
あの子が言ってた事なんて、杞憂でしかない。
sh「…ぇ、いや、俺別に傷付いてn「はー!?じゃあ俺がするもん!!」
sh「ぅぐぇっ」
双方から同時に抱き着かれ、潰れたカエルの様な声が出る。
ぎゅうぎゅう、
いっそ痛いまでの力で抱き締められる。
よしよし、
まるで壊れ物に触れるかのように、丁寧に丁寧に頭を撫でられる。
さす、さす、
肩甲骨から尾てい骨辺りを、繰り返し執拗に撫で上げられる。
こす、こす、
外の音を遮断するように耳を塞がれ、その裏の皮膚が薄い所を何度も何度も擦られる。
………ぁ、?
……な、にこれ、?
あたま、ぼー、っと、する、?
br「……あは、
しゃあくんってばぴくぴくしちゃってるねぇ♡」
na「耳感じちゃうんだ?
かぁいいねぇ、しゃーけ?♡」
sh「ッひぅ、…ん、ぅ」
心底愉しそうな、この学園の王子様。
綺麗に整った顔立ちには愉悦と、たまらなく愛おしい、と言う感情がありありと映し出されていて。
目の前に迫ったぶるーくの顔にも気付かないくらい、脳みそをぐちゃぐちゃにかき混ぜられているような錯覚がして、
禄な抵抗をする事も出来ず、そのまま唇を食べられた。
sh「…ッん、ふ、ぁ…んん、ぅ…ッ♡」
br「…っは、…あれぇ、しゃぁくん、
ちゅーだけでとろとろになっちゃってるねぇ♡」
ただ唇を合わせただけ、
少しだけ、そして緩く唇を食まれただけ。
それだけなのに、それだけなのに!
俺はばかになったようで、今まで経験したことの無い感覚に体を震わせるだけになって。
na「ねぇぶるーくばっかりずるい。俺もたべたい」
br「えへ、早い者勝ちだもんね〜!」
na「……ふぅん?…シャケ?こっち向いて」
少しつまらなそうな表情を浮かべたなかむに、くぃっ、と顎を掬われる。
sh「ふぁ…ッ?♡にゃ、かむ、ぅ…?」
na「はぁい、にゃかむだよ〜♡
しゃけ、べーって舌出して?♡」
sh「ん、べ、…?」
na「えらいねぇ♡ちゃんとお鼻で息するんだよ?」
は、な?
キス、なのに?
ぶるーくからの長すぎるキスから解放され、
それでもまだ若干の酸欠状態の俺の思考力なんてものはもうほとんど残ってなんて居なくって。
目を白黒させて居るうちに、なかむの舌と俺の舌がぴったりと触れて、ぬる、と口内に舌が入ってきた。
sh「ッんむっ…!?ん、ん”、♡…ぅ、んんッ、ふ、ぁ、」
びっくりして咄嗟に抵抗しようとするが、
上顎を擽られ、
歯列をなぞられ、
奥にまで引っ込めた俺の舌を追い掛けるようにしてなかむの舌が迫ってきて、
くちゅ、くちゅ、と卑猥な音が空き教室に響いてしまっては、
余りの羞恥に石の様に固まってしまうのもしょうがない、とおもう、
br「ねぇ〜僕暇じゃ〜ん?
…まぁいいや、しゃあくん?お耳食べていい?♡」
手持ち無沙汰なぶるーくが提案したのは、
理解し難いもの。
訳が分からない!
普段の俺なら、
そう言って拒否を示せたはずなのに。
もう、わかんないの
きもちよすぎて、もうなんでもいいの、
きもちぃ、
もっと、ほしい…っ♡♡
sh「ん”んぅ”…〜ッ♡、ふ、んぁ”…♡」
br「…無言は肯定だよねぇ?
…いただきまぁす♡」
ぺろり。
食前の言葉を述べたぶるーくは、
躊躇いもなく俺の耳を舐めた。
瞬間、背筋にぞわぞわぞわっ、
と悪寒に似たものが走る。
sh「ふ、あぁ、…っ!?♡♡ん”ぅ、っ〜〜ッ♡」
na「…ふふ、しゃけかわい〜♡♡」
br「よわよわだねぇ♡息、吹きかけちゃおっか♡」
ふ〜〜っ
sh「〜〜ッあ、っっ♡♡は、ぁ”…ッ♡ゃ、あ”っ♡」
na「や?いやなの?
こんなえっちなお顔してるのに?♡」
br「あ〜〜ん、」
ぱく。
sh「ッひっ♡♡ふ、ん”ぅ”ッ♡ッぅあんッ!?♡♡」
na「あ〜あ〜♡きもちぃね?声出ちゃうね♡」
br「はじめてでこんなに感じちゃうんだねぇ、
しゃ〜あくん?♡」
あ、
ぁ、
もう、なんも、
かんがえらんない、
sh「なか、ぅ、ぶ、ゅ、く、」
視界がぼやける。
初めての感覚に溺れて、沈んで、落ちていく。
na「……あぁ、そういえばなんだっけ?
『俺のこと、どう思ってんの』、だっけ?」
水色の彼が、愉しそうに笑う。
br「あは♡そんなの決まってるじゃんねぇ?」
赤色の彼が、甘い声色で囁く。
『大好き、』
『絶対に離さないよ』
『シャークん?♡』
いかがでしたでしょうか…!!
久々の投稿だと言うのに激重感情のお話になってしまった挙句、10000文字オーバーという奇行に走ってしまいました。
でも後悔はしておりません。楽しかったです。
因みに何故naさんとbrさんが空き教室に現れたかと言うと、しれっと、何食わぬ顔でshさんにGPSを付けていたからです()
作者のことはこれからも不定期に現れては、ソイヤッと駄文を放り投げる生き物だと認識してくださいませ。
そして性癖がちょっとかなりすんごくねじ曲がっているものだとも認識を宜しくお願い致します…作者はガラスハート故、どうか非難はお辞め下さいませ…
さてさて、作者は書き終えてすっきり、
満足致しました。
今回はこの辺りで。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
また次回、お会いしましょう!
コメント
5件
お久しぶりです😭😭 ずっとアマンタさんの投稿を待っていました…! 相変わらず最高です!!世間知らずなshさんも幼少期の頃から囲ってたbrnkもかわいすぎです😭 Twitterの方も実は見させていただいていて…いつもかわいすぎる絵に癒されています🥹 質問なのですがnmmnの絵などは描いていたりするのですかね、!?ほんとうにアマンタさんの絵柄が大好きで…もし描いているならば見てみたいなと…👉🏻👈🏻