【北村視点】
「傷つけたいです………山本の心を。」
「は?」
長谷川さんは、頬杖をついて驚いた顔をしていた。
月岡さんと藤本さんは長谷川さんを見ていた。
「ええんちゃうん?」
すると月岡さんと藤本さんは驚いていた。
「え、ええわけないやろ!!」
と、藤本さんが言った。
月岡さんは何か考えて下を向いていた。
「だってさぁ〜あ、やりたいこと〜?
やらな後悔するし〜?」
どこか棒読みだった。
「なんでもするけど?」
長谷川さんはノリが良かった。
でも、何も考えてなかった。
「じゃあ………………」
ある日、誰かに後ろから襲われた。
突然眠くなって寝てしまった。
「ん……………どこ、ここ。 」
椅子に縄でくくり付けられていた。
薄暗く少し臭い。
ドアも窓も見当たらなかった。
「北村さん………………。」
山本の声がした。
「死んでくださいよ………あなたなんて………。」
山本は、泣きそうな震えた声でそう言った。
なんでそんな事言うのかは分からなかった。
「俺が何しt……」
「うるさいんだよ!!!」
後ろにいたから顔は見えなかった。
でも、怒っているのは伝わった。
俺は何したか全く覚えていない。
「俺は………北村さんのことっ…」
続きは何も言われなかった。
抵抗できない中、
何度も殴られた。
次の日
「お前がいなければ!!」
そこでハッとした。
《あいつ》と同じことをしかけていた。
いや、していた。
胸ぐらを掴んだ手を緩めた。
「俺がいなければなんなんですか?
あなたがいなければ良かったんですよ!」
そう言ってどこかに行ってしまった。
あの時
「俺と話したかった?」
「そうじゃ!
山本は暴力的じゃけぇ
いっぱい殴らせとけばいいんじゃ、、。」
そう言って袖をめくった。
アザまみれだった。
「自覚は無いみたいじゃがな………」
そう言って泣きそうな目で、
困った眉で、
それでも笑顔で仲村は言った。
「山本を助けて………」
「それで、何すればええの?」
「山本に俺を殴らせてください。」
やっぱり王室三人は驚いていた。
「殴……あ?え、お…う、うん」
さすがの長谷川さんも戸惑いを隠せていなかった。
「きっと俺が何かしてしまったんです。
そうじゃなきゃ、あの山本が怒るはずない。」
王室三人は驚いた顔をした後、
長谷川さんはにっこり笑った。
月岡さんは困ったように笑った。
藤本さんは少し笑った。
「傷つけたいんやったら、
お前がいなければ、とか。」
「おみゃあのせいで死ねんかった!!!
おみゃあなんかいなければ!」
目元に雨が落ちて、
涙と雨の区別がつかなかった。
「死ぬん?」
そこには《あいつ》と仲がいい原田がいた。
「死ぬわけないじゃろ?」
適当に笑ってそう言うと、
原田は困った顔で言った。
「言いすぎたって。
おみゃあなんかいなければって
腹たってたけぇ、言ってもうたんじゃって。
全部思ってもない事じゃ。」
その瞬間腹が立った。
嘘だとしてもそんな事言うなよ……と。
同じことをして、
どうしたかったんだ?
忘れてしまった。
山本はきっと、
心の底から
お前がいなくなれば、と思ってる
「上手くいかんかったんじゃな?」
そこには悲しい顔をした仲村がいた。
「山本、 メンタルは強いし、
こーへぇ事言ってくるけぇ、
何言っても言い訳ばっかで暴力やめんかったんじゃ。」
一息ついてまた仲村は言った。
「何があってああなったんじゃろ…。
転校してきた頃にはもう暴力的じゃったけぇ、
他の子に聞いたら中学校の時くらいからって…」
中村は下を向いて泣きそうな顔をした。
気が付くと、俺の口が動いていた。
「俺は何がしたかったんじゃろ? 」
全部話していた。
辛かったことも、
悲しかったことも、
山本にしてしまったことも、。
「ん〜なんじゃろ?
俺はわからんけど全部がぜんぶ、
樹さんのせいじゃないと思うけぇ、
抱え込まんでええと思うんじゃ。」
“樹さん”……。
「え、変なこと言った?」
仲村は心配そうな声でそう言った。
「いや、《あいつ》にも樹って呼ばれてたけぇ、
懐かしくて………
海って、呼んでええ?」
仲村は………海は、
可愛い笑顔で言った。
「もちろんじゃ!」
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