──────あれから、数ヶ月後。
ぼくらは、Lizeを抜けた。
……と言うよりは、抜け出したと言えば良いだろう……そう、逃げたのだ。
その途中で、アンタレスに邪魔をされたが、悠さんと二人で逃げる事が出来た。
悠「ふぅ……。」
絢「危なかったですね。」
悠「だね〜っ!ギリギリセーフ……。」
絢「全くギリギリじゃないのですが……?」
悠「……あはは。」
絢「とりあえず……此処は何処でしょう?」
そう、ぼくらは、全く知らない土地に足を踏み入れていた。
その時は、ぼくは十六歳。
悠さんは、十五歳の時でした。
……どうしよう。
此処……何処なんだろう。
その時、向こうから『魔物のプログラムの鳴き声』が聞こえた気がした。
悠「……!絢くんっ!」
絢「行きましょう……!」
ぼくらが、見たのは、人間が、魔物のプログラムに襲われている所だった。
悠「……!」
絢「……。」
ぼくが……『償う』んだ──────!!!
絢「……『助け』ましょう……っ!」
悠「うん!」
そして、ぼくらは、魔物に向かって攻撃をする。
すると、運がいい事に、倒す事が出来た。
悠「あっぶなかったぁ……。」
絢「どうなるかと思いました……。」
襲われてた人「すみません、ありがとうございますっ!助かりました……。」
絢「いいえ。お怪我はありませんでしたか?」
襲われてた人「はい!ありがとうございます!」
その人は、笑顔になった。
……人を助けるって……いいな。
心の中でそう思えた。
そして、その人は、笑顔で去っていった。
絢「……。」
悠「人を助けるって……気持ちが良いね!」
絢「……はいっ……!」
ぼくは、笑顔で返事が出来た。
悠さんは、それを見て、嬉しそうに笑った。
悠「良かった〜!」
すると、悠さんから、ある提案が出た。
悠「ボク達でさ『人助けの仕事』やってみない?」
絢「仕事?」
悠「そうそう!折角……此処に出れたんだからさ……。人を助けようよ!」
絢「……!良いと思いますよ!」
悠「じゃあ、決定!……でもどうしよう。」
うーん……とぼくも、考えた時、ある建物を見かけた。
それは、『赤レンガの家』だった。
何か、紙もあった。
絢「……ん?……「誰か、此処を買ってください。」……???」
悠「古いけど新しい感じがある家だね。」
絢「そうですね。……それにしても……買ってください……か……。」
すると、一人のおじいさんが現れる。
おじいさん「おや……興味があるのかい……?その家に。」
悠「え……あ……はい……?」
おじいさん「丁度この家……廃棄する予定だったんよ。……自分の元の家なんだ。」
絢「……。」
おじいさん「もし良かったら……この家……興味あるならあげようかの?」
絢と悠「え?」
ぼく達は、驚いた。
そりゃあ……家をあげると言うのだから。
確かに……ぼくらには家がないし……困ってはいた。
その事をおじいさんに話すと、まさかの快く、受け入れてくれた。
つまりは。
……此処に住むことになったのである。
悠「優しいおじいさんだったね。」
絢「お金出してないけど良いのでしょうか。」
悠「お金良いよぉ〜って言うから、ビックリしたよ!」
絢「そうですね。」
家の中は、西洋の家のような美しさがあり、思わず息を呑んでしまうものだった。
此処で……過ごすのか。
あれから、ぼく達は『人助けの仕事』を『天音探偵部(あまおとたんていぶ)』と呼んだ。
ぼく達が、天に住む神様の血があるからだ。
そして、『天から音を雫のように零すぼくら』と言う意味がある。
……そうした理由は、言わなくても伝わると思う。
これは、悠さんとぼくが、決めた名前だ。
……今、天音探偵部として……。
──────『今のぼく』が居る。
【絢の過去。終了。】