──────周りの空間全体に『人を刺すような音』が広がる。
刺しすぎて、感覚が分からなくなった。
さっき刺した人も入れて、ぼくは、何人の人を殺したんだろう?
先程とは違って、ぼくは、片手にナイフ、もう片方の手には、ハサミを持っていた。
よく見れば、ぼくの服は、血塗れだった。
髪の毛にも血がついてる気がする。
あーあ。
ぼく……『悪い人になっちゃった』なぁ???
最悪だね。
最低だよね。
分かってるよ、そんなの……。
それなのに、ぼくの手は、人を殺す。
グシャグシャと響き渡る、人肉の音。
ビシャビシャと飛び散る、血の音。
グサグサと妖しく光る、ぼくのナイフ。
狂ったように聞こえてくる、ぼくの笑い声。
クロノス「全部……お前達のせいだ。」
そうだ……。
全部……全部全部……。
全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部……。
お前達のせいだ……。
──────ぼくは……悪くない……。
ぼくは、『泣いてるのに笑っていた』……。
なんでだろうね?
どうして泣いているんだろう?
ぼくって……何……?
ぼくって……誰?
どうして生きているの???
……消えちゃえ。
ぼくなんて……消えてしまえば……。
そう思って、自分の体をナイフで刺すが……。
クロノス「あれ……なんで……?」
刺しても、全く痛くなかった。
……だがその代わり、血が流れてる。
クロノス「どうして……?」
何回もグサグサ!!!と刺してみるが……。
それでもぼくの体は、消えようとせず、傷口ばかりが広がり、血が流れるだけだった。
クロノス「へっ……へぇ……ぼく……死なないんだ……。」
自分の体の凄さに驚きつつも、ぼくは、ナイフについた血を見る。
へぇ……じゃぁ……『切って縫っても死なない』のかなぁ?
やってみよう……。
ぼくは、ナイフで自分の指を切ったり、糸や針を使ってお人形のように、縫ってみたが……。
骨は硬くて切れず、針や糸を通しても、全く痛くなく、ただ血が流れていた。
……へぇ……死なないんだ……。
心の中で呟いた。
クロノス「全く……痛くない……。」
糸や針を取ると、ぼくは血塗れになった腕や足を見つめる。
……そうか……。
確かにこれなら……研究員達を……。
……『殺せる』からね。
ぼくは『死ねない』から。
……あはは……。
──────早く殺して早く死のう。それが一番だよ……。