『僕は人を殺させられました。』
裏切られたと分かった日から、いや、それ以前からずっと一人だったのかも知れない。
僕は誰からも愛されていなかった。
誰からも慕われていなかった。
両親にも、彼にも…決して。
「はっ…はぁ…っゔっ」
夕暮れの橋の上を走る。
街灯がまだ咲いていないそれは少し早く、過ぎ行く車の光で道が照らされていた。
それぞれの車内の人間達はこちらを不思議そうに見つめるばかりだ。
どうしてと考える前に僕は自分の落ち度や人から嫌われていることを再自覚した。
人間にはあり得ない青い髪に青い瞳など、横に並んでいるだけでも馬鹿にされ、蔑まれ、下手をすれば虐められるかもしれない。
なのに彼はそばに居てくれた。
それだけで、僕は本当は十分だった。
布団を頭の上まで被る。
産まれて来なければ、良かったのかな…
そう思うと同時に頬を伝う生暖かいものが白いシーツにシミを作る。
次の日、僕は普通に登校した。
誰の顔も見ないようにただただ下を向いて必死に学校へと足を運んだ。
ヒソヒソと何かを話す教室の中。
自分のことを言われているのではないかと少し自意識過剰気味になる小さな脳を窓へと逸らした。
青い空を見るとどうしても自分が惨めに感じる。
同じ青でもこれほどまでに差があるのかと思うとどうにも悲しくなってしまう。
「らっだぁ…君」
後ろから誰かの呼ぶ声がした。
振り返ると一人の女子生徒がそこに立ち、怯えた瞳でこちらを見ていた。
「…ん?」
「あ、あの…、呼んでるよ…」
震える手で指した方向には見覚えのある姿が立っていた。
「…ぐちt」
「よっす…!らだセン」
以前と変わらない表情で笑う彼は何も思っていなさそうな様子だった。
とりあえず場所を変えようと言うことで屋上へと足を運ぶ。
あの頃とは違い、二人の歩幅が合うことはなかった。
「あの時はすんませんでした…」
「…へ?」
彼が何に対して謝っているのか分からず、あの場に居合わせていたことを知られたのかと一瞬焦った。
が、彼が謝る理由は違ったらしい。
「いやぁ〜らだセンがあそこまで怒るとは思ってなくて。不謹慎でしたよね。ホント、マジすんません…」
「あ、…あぁいや別に大丈夫…だよ?」
必死に頭を下げる彼の意図が分からなかった。
何故今頃になって謝ってきたのか。昨日話していたことが本当なら僕のことが嫌いだろうに。
関係なんてもの、このまま、謝らないまま、自然消滅で良かったのではないだろうか。
「それで、らだセンにお願いしたいことがあるんスけど…」
「ん??」
コメント
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ぐっちの考えてることが読めない…!らっだぁ青くて怖がられてる自分と青くて好かれてる(?)空を比べるの切ないな、、。お願いってなんなんだろ?