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rb「シャオロン?着いたで」
sha「んー….おぉー….」
歩いて数十分。
自分の家の前でそうシャオロンに声をかけると、
眠そうに目を擦りながら軽く返事をしてくれた。
黄色の瞳は今にこぼれ落ちそうなほど蕩けており、
彼の眠気がよくわかる。
酔いがまだ抜けきっていないのだろう。
足取りもどこかおぼつかない。
俺はポケットから取り出した鍵で扉を開けると、
彼を中に入れ、居間に座らせ、水を汲み、手に直接渡した
sha「ん….ありがとぉ….」
rb「眠そうやな…寝室行くか?」
sha「ううん…まだ大丈夫。
それよりロボロ、俺とお話ししよ?」
rb「…ええで。でも夜も遅いし、ちょっとだけな?」
sha「うん…わかってる」
両手でコップを持ち、
ごくごくと水を喉に通すシャオロンの前にスッと座った。
口に上手く入らなかったのか端から零れ落ちる水が
やけに官能的に見える。
勿論好きだからそういう補正も入っているのだろうが、
シャオロンは動作一つが何というかこう…エロ可愛い。
sha「…..なんやロボロ、そんなに見てきて…
俺の顔になんかついとるん?」
rb「あぁ…いや何もないよ」
sha「…..そう?」
本人は無自覚なのだろうが….本当に罪な奴だ。
不思議そうな顔でこてんと首を傾げた可愛いシャオロンは
空になったコップを机の上に置いて話し始める。
sha 「なぁロボロ…お前好きな奴とかおる?」
rb「……急やな」
既視感しかないこのセリフ。
まさかこの手の質問を1日に2回聞くことになるとは
思わなかった。
俺らの間で色恋の話をするのは珍しい。
大先生は揶揄うために聞いてきたけれど、
シャオロンは何の意図があってこの質問をしたのだろう?
rb「…今は特におらんよ。シャオロンはどうなん?」
sha「え….俺?あー…うん。俺は….おるよ」
rb「そっか…..」
(知ってはいたけど…改めて言われるとやっぱくるな…)
sha「ロボロ…俺の好きな奴の話聞いてくれる?」
rb「…….ええよ」
シャオロンの好きな人…聞きたくないけど、聞きたい。
チグハグな思いが俺の心を駆け回る。
彼の心を射止めたのはどんな娘なのだろう?
さぞかし素敵な娘であることは間違い無いと思う。
清楚系かな…それとも可愛い系?
どれを取っても男の俺では敵いっこないのだが…
rb「どんな娘なん?」
sha「んふふ…気になる?
えっとまずな…めっちゃ優しいねん。
俺が落ち込んでたらすぐに飛んできて慰めてくれるし、
元気になるまで傍にいてくれる。
あと…声が好き。
落ち着いていて…それでいて芯があって…
ずっと聞いていたいなって思う。
他にも良いとこめっちゃあるけど、
でも兎に角…大好きやねん。言葉で表せないほど…」
rb「……..」
あぁ…やっぱ聞かなきゃよかった。
頬を少し赤くして幸せそうに語るシャオロンは
とても可愛いけど、
それは俺じゃなくて他の誰かに向けられたもの。
その事実だけで胸が張り裂けそうなほど痛い。
今言葉を発しようものなら涙声になりそうだ。
でも、彼の惚気に何か…何か言わなくちゃいけない。
rb「…素敵な彼女さんやね」
sha「…….ん?….彼女?」
何とか絞り出した俺の言葉に
シャオロンは不思議そうな顔で首を傾げた。
何か変なことを言っただろうかと先程の発言を振り返る。
あぁ…そうだった。
俺はまだ彼女の存在を知らされてなかった。
シャオロンはあくまで好きな人の話をしている。
もう既に付き合っているという事実は彼の口からは
言われてない。
rb「いや…その…大先生から聞いてん。
シャオロン、付き合っとる人がいるって…」
sha「……え…」
琥珀色の美しい瞳を大きく開け、
意味がわからないと言った様子で此方を見るシャオロン。
何に驚いているのかと聞こうと思ったが、
それよりも早くシャオロンが口を挟んだ。
sha「俺…付き合ってる人なんておらんねんけど…」
rb「……..は?」
その言葉に俺も目を見開く。
彼女がいない?
それはつまり…大先生の勘違いだったってことだ。
でも…それじゃキスマの説明がつかなくなる。
そういった相手がいないのに
いったい誰につけられたのだろうか?
(確かめた方が早いか…)
俺は席を立ち、シャオロンの隣にすとんと腰を下ろす。
彼はまだ困惑した表情で俺を見つめているが、
お構いなしに首元を掴み、服を少しだけ捲る。
そこには確かに赤いキスマークがあった。
シャオロンは俺の行動に気づくと、
パッと手を振り払ってきたがもう遅い。
しっかりと見えてしまった。
sha「え?ちょっ…急に何すんの!?」
rb「彼女おらんのなら…そのキスマは何や?」
sha「は?……キスマ?」
rb「首んとこ…赤いやろ?」
訝しげに俺を見ていたシャオロンはキスマを指摘すると、
首を捻ってしばらく考え込むようにしていたが、
やがて言葉の意味を理解したのか大きく溜息をついた。
sha「…..そういうことか…ほんまあの屑…..
違うって言ったのに….」
rb「……?…どういうことや?」
sha「これキスマやない…ただの虫刺されや」
rb「は?…いや….だって大先生は…」
sha「全部あいつの勝手な勘違いやろ…
俺は何度も違うって言ったで?」
rb「はぁ?何やそれ….」
sha「まぁでも…あん時…俺、これがそういう風に
見えたことにびっくりして動揺しちゃったから、
紛らわしくなったんかも?
刺された場所も首元やし…」
rb「…….なるほど…」
肩の力が一気に抜ける。
シャオロンに好きな人がいることに変わりはないが、
それでも…今は誰のものでもないみたいだ。
その事実が嬉しくて堪らない。
そう…つい、口に出してしまうほどには….
rb「……良かった」
sha「…..え?…ロボロ、今なんて?」
目を見開き、驚いた表情をするシャオロンを見て、
自分の失言に気づく。
(恋人がいなくて良かったなんて…
それじゃあまるで告白したようなもんやん!?)
急いで訂正しようとしたのだが、
今更何を言ったところで言い訳にしか聞こえないだろう。
それでも俺は、今の関係を終わらせたくなくて、
頭をフル回転させて打開策を見つけようとする。
rb「えっと…良かったってのは…その…」
sha「ロボロは…俺に恋人いてほしくないん?」
rb「っ……..」
確信をついてくるシャオロンに思わず言い淀んでしまう。
どんなに取り繕っても、誤魔化してももう遅い。
ずっと気持ちを隠してきたのに、
こんな所でバレてしまうなんて…
シャオロンの質問には答えられない。
こんな気持ち知られたくない。
下を向いてただただ時間が流れるのを待っていると、
ふわっと何かに包まれる感触を覚える。
顔を上げると…それは愛しい彼だった。
sha「ロボロ…なんで何も言わんの?
そんなんだったら俺…そういう意味に捉えちゃうよ?」
rb「シャオロンは…わかってるのに
俺のこと抱きしめるんやな….」
sha「アホ…お前以外ならこんなこと絶対にせんわ…」
rb「….は?それってどういう….」
そこまで言いかけてはっと息を呑む。
自分に抱きついてきてるから顔はよく見えないが、
シャオロンの耳は真っ赤に染まっている。
まさか…まさか…彼の言う好きな奴ってのは?
sha「何で気づかんねん…
俺はずっとお前しか見てなかったのに…」
rb「…..え?….え!!??う…嘘やろ!?」
sha「嘘ちゃうもん…ロボロのばーか」
そっと体を離し、正面からシャオロンを見ると
彼は真っ赤な顔でむすっと膨れながら
俺のことを潤んだ黄色の瞳で睨みつけていた。
ほんとに…今まで見てきたどの姿よりも可愛い。
こんな幸せがあっていいのだろうか?
永遠に結ばれることはないと思っていたこの気持ちを
シャオロンに伝える日が来るなんて…
とてもじゃないけど信じられない。
rb「はぁぁぁぁ…お前まじで可愛すぎるやろ…」
sha「なっ…別に可愛くねーし!!」
rb「いんや…可愛い。
お前はそこら辺におる女の何百倍も可愛い」
sha 「っ……そんなこと真顔で言うな!!
恥ずかしいやん!!」
rb「照れてる顔も世界一やで?」
sha「ぅ〜〜〜〜っっ…わかったもういい!!
お前の気持ちは十分伝わったから!ちょっと黙って!」
林檎よりも真っ赤な顔になったシャオロンは涙目で
俺の口を塞いてぐる。
正直まだ全然言いたりないのだが、
この辺にしといてやろう。
流石にちょっと可哀想に思えてきた。
すると、それを察したのか否かシャオロンは
俺の口からするりと手を退ける。
sha 「……で?付き合ってくれるん?」
rb「ぷっ….今更やなぁ…」
sha「お前のせいやろうが!!
俺の一世一代の告白を遮りよって…」
rb「すまんすまん…シャオロンが可愛すぎるから
気持ちが先走っちゃったわ…」
sha「….それ以上言うなら殴るぞ」
rb「はいはい…わかってる。シャオロン…大好きやで…
ほんと…ずっと前から好きやった。
俺で良かったら是非付き合ってください!」
sha「ん…..俺のこと大事にしろよ?」
rb「当たり前やん…死んでも傷つけんから安心しろ」
sha「そっか…..えへへ…」
その言葉にシャオロンはふにゃっと笑い、
また俺に抱きついてくる。
すりすりと頬を擦り付けてくる仕草が愛おしくて堪らない
俺も彼の背中に手を回し、抱きしめ返したのだが…
その時、服の隙間からチラッと赤い虫刺されが見えた。
キスマではないとはわかったのだが、どうにも腹が立つ。
元はと言えばコイツのせいで
俺たちはすれ違ってしまったのだ。
このイライラをどう鎮めようかと模索していると、
一つ良い案を思いついた。
rb「なぁシャオロン…その赤いの…キスマにせぇへん?」
sha「….へ?…どういうこと?」
rb「そのまんまの意味やで?
虫刺されやなくて俺からのキスマにしようや。
そしたら大先生みたいな勘違いを起こさずに済むやろ?
本物になるんやから…」
sha「え…いや…本物になったらそれはそれで問題が
生まれるような….」
rb「……….ダメか?」
sha「っ……い…いよ」
rb「やった♡んふ…あんがとシャオロン」
許可をもらったので、シャオロンの首元を少し捲る。
そしてそのままするりと赤い部分を撫でると、
虫刺され特有の膨らみがあり、
改めてキスマではないと気づかれた。
(ま…これからキスマになるんやけどね♡)
rb「シャオロン…膝乗って?その方がつけやすいねん」
sha「や…でも俺重いよ?」
rb「そんな細い体してよく言うわ…ほら…早く」
sha 「…..うん。わかった」
シャオロンはコクリと頷くと、渋々俺の膝の上に座った。
彼は俺よりも身長が高いはずだが…
成人男性1人の重さはとうに下回っており、驚くほどに軽い
これからのためにも俺が食育をしていこうと心に決め、
彼の肩に手をやり、狙いを定めて口を首元につける。
ピクッと跳ねたシャオロンが可愛くて仕方ない。
膝の上なんだからそういう腰にくるのは
もうちょっと控えて欲しいのだが、
無自覚な彼には何を言っても無駄だろう。
(….よし、準備万端やな…キスマつけるとするか)
rb「シャオロン…ちょっとチクっとするで?」
念の為注意をし、鎖骨がくっきりと浮き出ているほど
細い首元をじゅっと吸う。
sha「っ……..」
少し痛かったのかシャオロンは俺を抱きしめる手を
強めてくる。
やはり細い体には堪えるのだろうか?
ならば早く終わらせてやろう。
彼の頭をぽんぽんと優しく撫で、
最後に強く一吸いしてからそっと口を離す。
キスマをつけるのは初めてだったが
なかなかうまくつけれたと思う。
彼の肩はさっきの倍以上の赤みを帯びていた。
rb「はい!終わったよシャオロン。
ごめんな…痛かったやろ?」
sha「うん…ちょっと痛かった。
だからロボロ…俺からのお願いも聞いてや…」
rb「ん?…叶えられる範囲なら構わんよ?
シャオロンは俺に何して欲しいん?」
sha「……首じゃなくて口にキスしろや」
rb「……へ?」
sha「何で恋人になって初めてのキスが首やねん…
俺はお前からのちゅー期待してたのに….」
rb「…..お前マジで可愛いすぎん?」
sha「ええから早よしろや!!」
rb「ふふっ…喜んで♡」
(ほんと…俺の恋人の可愛さは留まる所を知らないな…)
頬にそっと手を置き、目を閉じたシャオロンに
チュッと軽い口づけを落とす。
シャオロンの唇は少しカサついているが、
柔らかくて気持ちいい。
夢にまでみた好きな人とのファーストキスは
甘酸っぱくなんてなかった。
でも…
(..キスってのはこんなに満たされるもんなんや….)
唇を離した時のシャオロンの心底嬉しそうな顔は
これから先…多分一生忘れることはないだろう。
sha「えへ…ロボロすきぃ〜…」
rb「ん”っ…..俺も大好きやで?
もうだいぶ遅い時間やし、そろそろ寝ような?」
sha「うん!…じゃあロボロは俺の隣ね?」
rb「ええよ。元々はお前を寝かしつけた後、
ソファーで寝るつもりやったんやけど
その必要は無くなったな…」
sha「…恋人になったから?」
rb「そうそ…遠慮なくシャオロンの寝顔を堪能できる」
sha「俺恥ずいからお前に背ぇ向けて寝るわ…」
rb「え!?…そんな….酷いで!!」
sha「じゃあ見んな!!」
rb「それは無理や!隣に天使の寝顔があんのに見ない男は
この世におらんやろ?」
sha「っ〜〜〜…お前キャラ変わりすぎやろ!!」
真っ赤な顔でキャンキャン吠える可愛いシャオロンを
一撫ですると、俺は彼のと二着分のパジャマを取るため
鼻歌まじりに自室へと向かった。
その後一緒のベットに入った2人だったのだが、
案の定シャオロンが此方に顔を向けてくれなくて
余計なこと言わなければよかったと
半泣き状態のロボロがいたらしい。
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<おまけ>
rb「そういえばシャオロンって
俺のことあんな風に思ってたんやなぁ…」
sha「??…..俺なんか言ったっけ?」
rb「ほら…お前言っとたやん。
優しくて声が良くて言葉じゃ表せないほど
大好き…やったっけ?」
sha「…….忘れてくれ」
rb「否定はせぇへんのやなぁ..そういうとこほんま好き♡
そうだ!お礼にお前の好きなとこ聞かせたるわ!」
sha「間に合ってます!!」
rb「なんでや!?
シャオロンは俺からの愛…聞きたくないん?」
sha「もう十分伝わってるから今はいらん。
それに…俺は言葉よりも行動で示してほしいねん。
ハグとかちゅーとかその先のことも…
ロボロと…もっとしたいもん」
rb「はぁぁぁぁぁぁ….ちょー可愛い!!!!」
sha「うるせぇ!」
おわり