『次のニュースです。最近相次いでいる「電車内の痴漢行為」についてですが、防犯カメラにも映っていないことが、昨夜発見されました。』
「昨夜じゃ遅いでしょw」
スマホの画面を見ながら、人通りの多い交差点を歩く。
周りを見れば、疲れて背中を丸めて歩く者、自分と同じようにスマホの画面を見ながら歩いている者、ナンパして怪訝な顔をされる者。
少し自分語りになってしまうかも知れないが、別にナンパは悪いことではないと、俺は思う。
商売のために身を尽くして働いていることが悪いことにはならないだろう?
それと同じように、彼らもまた、同じ理由で女性に声をかけているのだろうから。
「ちょっと、そこのお兄さん」
後ろから声をかけられる。
振り向くと、二十代半ばと思われる男性が一人、こちらを見て立っていた。
自身よりも少し身長の低いそれに可愛らしさが生まれる。
「…はい?」
「今、タレントを雇っているんです。良いなと思った人に声をかけているんですが、どうにも止まってくれなくって…。良ければですが、気が向いたらでいいのでここにお電話してくれませんか?」
都会の中心、それも交差点のど真ん中で勧誘をしてくるニンゲンは、大抵、空気が読めないニンゲンか…
はたまた、強制労働をさせられているかの二択だ。
「いえ、そういうのはやってないんで」
「少しだけでいいんです!」
しつこくしてくる人もまた、受け付けない。
「急いでるんで。失礼」
「あ…ちょっと」
近くにあった路地裏に駆け込む。
馬鹿正直に後を追ってきた彼を角で出迎える。
「おっと…」
「少しだけでいいんです!」
身長が低いからか、上目遣いになる幼い容姿に下働きをさせられている新人なのだとわかる。
新人に交差点のど真ん中で勧誘させる奴は一体…
「ねえ、君…」
「え?」
痴漢とかレ○プって言うのは、自分の下半身に余程自信がある人がする行為だと思うんですよね〜?」
手に持った銀のナイフをクルクルと指で回す。
先の尖り、傷ついたそれは、切り刻まれる、そう想像するととても痛かった。
「そう思いません?」
椅子に座った1人の男性。
スーツの彼は、黒髪の間からこちらをじっと睨んでいる。
「そんな目をせずとも、ただ、質問に答えてくれれば良いんですよ〜…?」
スーツのズボンに手を伸ばす。
「人って、自信のあるもの程無くなると生きる気力を無くすって…知ってましたぁ〜?」
抵抗出来ない体からズボンを下ろし、そのまま下着も脱がしてしまう。
「……ちっさw」
下着の中から出てきたものに嘲笑する。
座っていたスーツの顔が赤くなっていく。
口に挟まれた布が怒った拍子からか、唾液で染まっていく。
「あはははwそんなに怒んなってw」
馬鹿らしい。
そんなことを表情で示す彼は、まるで…
「あ、じゃあ…」
何かを思いついた彼が手を振るう。
その瞬間、音もなく血が飛び散る。
塞がれた口から発せられない悲鳴が響く。
「泣かせればいいのか…」
彼は、痛みというものを知らなかった。
コメント
4件
過激な部分があっても全然大丈夫です!!
注意喚起するの忘れていました… 少し過激な部分がありましたが…って、俺の作品は全部そうか😊 大丈夫でしたか?大丈夫ですよね?