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まずは、第一段階終了――即効性のある薬だけど持続力がないから、もうすぐ切れちゃうんだよな。それを克巳さんに悟られないように、ここから俺が頑張らないとね。
リコちゃんの愛した躰が、どんなものなのか。自身で体感させてもらおうじゃないの。
気だるそうにしながら息を切らし、上だけワイシャツを着て下半身丸出しの哀れな姿を、ほくそ笑みを浮かべつつ見下ろしてやる。
二口しかコーヒーに手をつけなかったとはいえ、俺がお薬をどばどば投入したから、克巳さんの躰には相当効いてるっぽい。しろーとさんには、ちょっとばかりキツかったかもなぁ。
俺も飲んでるのに効き目を感じられないのは、飲み慣れてしまったせいか。
「克巳さんホントに大丈夫? 汗がびっしょりだね」
額の滲む汗をてのひらで拭ってやると、気持ちよさそうな顔をする。
(なるほど……。母性本能を絶妙なタイミングでくすぐってくれるタイプだから、しっかり者のリコちゃんが夢中になっちゃったんだな)
ソファの上で倒れこんでる克巳さんの半身を起こしてやり、水の入ったペットボトルを手渡してあげようと、目の前に差し出した。
「はい、どーぞ♪」
「あ、済まない……」
なかなか手を伸ばさない克巳さんの手に、無理やりそれを握らせる。
「さてはその顔、俺に飲ませてほしかったんでしょ?」
「いや、違っ」
ぶわっと赤面した克巳さん。俺は隣に座り込み、乱れた自分の髪の毛をかき上げてから、大きな背中を優しく擦ってあげると、頬を紅潮さたまま、どこか困った顔をした。
(わっかりやす~、素直な人なんだね)
「欲しければくれてやるよ? その水みたいにさ」
言いながら、克巳さんの着ているワイシャツのボタンを外していった。
「なっ、何をするんだ?」
「自分だけイって、俺はイかせてくれないの? それってフェアじゃないよね」
持っていたペットボトルを取り上げて腕を引っ張り、ゴウインニ立ち上がらせると、寝室のある部屋に誘導する。
――さぁ、第二ラウンドのはじまりだよ克巳さん――