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―――――昔々。
過去に「地球」と呼ばれていた星があった。
今は朽ちたその星には、たくさんの動物たちが暮らし、山に川、季節ごとに姿を変える木や花などの植物が自然に芽吹き、育っていた。
それらはすべてが美しく、とても神秘的だった。
そんなある日、神々は今までにないほど高い知能を持つ生き物を生み出した。
そしてその生き物たちに「人間」という名を与えた。
今まで神々が作り出した動物とは似ても似つかない人間たち。
はじめは人間たちも、他の動物たちとうまく調和していた。
だが、だんだん彼らは変化していった。
意味のない争いや殺し合いをするようになったのだ。
その上次々と山を切り崩し、木を伐採し、どんどんと自然を破壊していった。
そして街や工場を作り、他の動物たちの住処を奪っていく。
それからしばらくして、人間たちは星の大半を占領し、他の動物たちにさえも無駄に危害を加えるようになっていった。
まるで、「この星は自分たちのものだ」とでも言うように。
人間と動物たちは、根本的にかけ離れてしまった。
それから何十年、何百年と過ぎた頃。
人間内ではあることが問題視されるようになっていた。
「自然破壊」
「大気汚染」
「地球温暖化」
「水質・海洋汚染」
「酸性雨」
彼らは自分たちの行いによって引き起こされた環境問題に、さまざまな名前をつけて報道した。
「このままいけば地球に住めなくなる」と。
人間たちは、なんとか食い止めようと試行錯誤した。
だが、止められなかった。
いや、止めきれなかったといったほうが正しいのだろう。
更に何十年も経ち、一度は踏みとどまったかに見えた。
実際汚染は軽減され、失われかけていた自然ももとに戻りつつあった。
でも、本当に人間は学ばない。
いつまで経っても、どれだけ間違えても、人間は欲を捨てきれない。
行き過ぎた欲は不幸を招く。
それがわかっていても、なお求め続ける。
「欲」という本質を持つが故の愚かさ。
人間とは本当に哀れなものだ。
知恵はあるのに、思慮深さに欠ける。
問題が改善され出したことで、人間たちは気を抜いたのだろう。
彼らはまたもや過ちを繰り返した。
そのせいで川や泉は干上がり、ほぼすべての植物が枯れ、海も大気も汚染された。
汚染された海では多くの魚が死に、植物がなければ酸素もなくなる。
動物も人間も生きていくことは出来なかった。
神々は怒り、嘆き、呆れた。
そして「人間」という生き物を生み出してしまったことを悔いた。
だがそれでも、神々は何度も世界を創り続けた。
植物を生み出し、生命を創り、人間がまた星を壊す。
それを何度も繰り返す。
いつか人間たちが、過ちを繰り返さず、真っ当に生きてくれると信じて。
―――――おしまい