menぼん
総受けシリーズ最後です。
総受けって難しいですね。ほんとごめんなさい。
「ゲームしましょうぼんさん!!!」
「….なに、流行ってんの?それ。」
「え、なんのことです?」
「いや、そのゲームしましょう!!ってくるやつ。この前おらふくんもそれ言いながら来たんだけど。」
「….へぇ、おらふくんも来たんですか。」
「?うん。一緒にマリカーして、それで…」
「…どうしました?ちょっと耳赤くなりましたけど。」
「あ、い、いや?なんでもないけど?それで?menはなんのゲームする?」
「そうっすね…まあせっかくリアルで会ってるんですし、カードゲームとか良くないっすか?」
「お、いいじゃん。トランプとUNOくらいならあるよ多分。」
「じゃあそれで!おじゃまします!!」
「はいはい。」
「じゃあ…ポーカーとかどうです?賭け無しで、単純に役が強い方が勝ち、ってルールで。」
「お、いいねぇ。この運の女神様に愛された俺に勝てるとでも?」
「ぼんさん、このゲームは経験がものを言うんすよ。どれだけ帰宅部のやつらとやってきたか、思い知らせてあげますよ!」
「…おう!かかってこい!」
気のせいかな。
少しだけ何かが。
俺の中の何かがもやっとしたのは。
「だぁ!!負けたぁっっ!!!」
menがスリーカードの手札を投げてばたん、と後ろに倒れる。
「経験がなんだって?おおはらくん?」
「くっそぅ…スペードのロイヤルストレートフラッシュなんて初めて見ましたよ….ぼんさんどんな豪運してるんすかぁ…」
「いやぁ~わるいね!俺の本気、見せちゃって?」
「うわぁ!!悔しい!!」
「もっかいやる?今度は罰ゲームでもつける?」
「あ!言いましたね!!いいっすよ!やってやりますよ!!」
「じゃあ罰ゲームは…」
「相手に好きなセリフを言わせる、なんてどうです?」
「うわぁ!いいなぁ、それ。よし、そーしよ。」
「じゃあ、第二ラウンド!絶対勝つ!!!」
そしてどうなったかと言えば。
「しゃあ!!きたきたきた!!ストレートフラッシュじゃい!!!」
「なんで?!まじでなんでなんすか?!うわぁぁぁ…」
menは2のフォーカード。
俺はスペードのストレートフラッシュ。
「くっそぉ…強い手札来たと思ったのに….」
「いやぁ…二回目の交換で良いの来てくれて助かったわぁ~」
「な、んでだぁ…」
「それでそれで?敗者は何をしてくれるんだっけ?」
「好きなセリフ言ってやりますよ!!こちとら企画でお嬢様になったりギャルになったりで慣れてるんですからね!!なんでも来てくださいよ!!」
「ふは、よかったじゃん。日頃の経験が役に立って?」
「あ”ーーー!!!悔しいーー!!」
「さーてと、どんなのにしよっかなぁ…?」
「なんでもいいから早くしてくださいね…」
特に言ってほしいセリフがあるわけでもなかった。
まあなんとなく面白そうだと思ったから、罰ゲームを受け入れた。
「きおきおはこれでガチで恥ずいやつ持ってきたんですから…ぼんさんっ…!勘弁してくださいっ!!!」
….やっぱり、なんかもやもやする、気がする。
なんでだろ。
何でだか分かんないけど、
menが他の誰かのことを話してるときに、心のどっかがもやっとする。
今、menの前にいるのは俺なのに?
「……俺のことだけ考える。」
「….っえ?」
「俺のことだけ考える、って言ってよ。」
「そ、そんなことでいいんですか?」
「そんなことってなんだよそんなことって。」
「ああいや、ぼんさんのことだからもっとなんか….いや、やっぱなんでもないっす。」
「なんだよ。」
「いえいえ。人は誰しも寂しくなっちゃう時ってありますよねぇ~」
「え?あ、おい、なんか勘違いしてないか?」
「お望み通り、言いますよ。」
「なあって。」
「ぼんさん。」
ゲームの時とは違う、真剣な目。
「俺は、あなたのことだけ考えますよ。だから、そんな顔しないでください?」
「…..っ!?!」
「…これでいいです?」
「….あ、お、おうよ!menにしては迫真の演技だったな!俺が圧倒されちまったわ!」
「…..ぼんさん。」
「さ、そろそろ帰んねぇと終電なくなるぞ?さすがにうちに二人寝れるスペースは…」
「ぼんさん。」
「….なんだよ。」
「演技じゃないです。」
「…..。」
「さっきの、俺の本音ですからね。」
「….んなこと….わかっとるわ、ばか….」
自分の顔を今だけは見たくない。
きっとひどい顔をしてる。
だって後輩に自分で考えたセリフを言わせて、
それに勝手に喜んでる男の顔なんて、
ろくなもんじゃないに決まってる。
「ねぇぼんさん。」
「うるせえ….いまは、なんも」
「寂しかったら俺を頼ってくださいよ。」
「….だから、寂しくなんか….」
「….ね?」
「….気が、向いたらな。」
「….はい。」
俺は寂しかった、みたいだ。
大人になるとそんなこともわからなくなってしまうらしい。
コメント
2件
素敵過ぎて...語彙力消えちゃいますわ
:(´◉ᾥ◉`):ウグッ[最高すぎて何も言えない顔]