[ 君 の 血 花 を 見 た く な い ]
闇の濃くなった 、午前2時 。人間界に降りる死神が多数 。
「 あれ薨溜さん資料読まなくていいんすか? 住所とか 」
後輩の死神が声を掛けてきた 。
「 大丈夫 。 私は住所も全て頭に入っているから 」
「 かっこいい 」
私は羽を広げ元愛しい恋人へ会いに行った 。
不用心な所は相変わらず直ってなくて、窓の鍵が開いたままだった 。
可愛らしい寝息を立て睡眠剤を片手に眠っていたのは 、5年前とは顔色が変わった〈 鏡 葉子 〉だった 。
睡眠剤の瓶は空っぽで床には散らばった 錠剤 。
死のうとしていたのか、唯容量を間違えたのか 。
認めたくないが答えは前者で彼女は苦しもがき続けていた 。私のあげた服を着て死のうというのなら、それは私に対しての嫌がらせだろうか 。
「 ██ くん…. 」
夢の中で私と君が話しているのか 。10年前のあの日はお互い学生で、手が触れただけで耳まで真っ赤にし無言になる 。初々しく女々しいあの頃。
君が浮気をして、別れたあの頃 。
全てが君を見るだけで思い出す 。
寝息が止まり布団が動く 。茶髪の髪が跳ね上がり薄目で此方を見つめている 。
「 死神? 」
闇の中でぽつんと置かれた言葉を、忘れないように手探りに探し掴み取る 。
「 えぇ今晩は 」
姿形の違う私を見て、████と分かって貰えたら。なんて死神には必要のない感情が思考を邪魔する 。
今魂を狩れば人間になれる 。
ゆっくり君が死ぬまで待ち狩っても人間になれる 。
なら私は後を選ぶ 。
「 私やっぱり死ぬんですね 」
窶れた顔に細い腕と首 。今になって視界に入る 。
「 えぇ 」
「 私 、自然に死ぬには何日掛かりますか?睡眠剤を幾ら飲んでも死ねないのです 」
死神には死期の近づきは分かるが具体的な死亡日は不明とされている 。
何となくで話したって彼女はきっと明日には自殺計画を立てて死ぬ 。
他の死神に私が見つける前に魂を狩とられてしまう 。
そんなの御免だ 。
もう二度と君の血と体を触れさせたくない 。
「 其の躰は 後5日は持ちます 」
死期の変化が訪れない5日間 。
君が死のうとしない限り、一緒にいられる5日間 。
「 分かりました 。死ぬ前にはしっかりやるべき事はやらないとですね 」
そういい 布団にくるまった彼女にそっと“ 刺青 ”を書き足しといた 。
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