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【山本視点】
寂しそうな目をしていた。
だから、
嫌だった。
「すみませーん!あの、入ったばっかで
よく分からないんですけどー…」
北村さんは俺をじーっと見つめた。
「あ!僕、男ですよ!?」
「…いや、制服で分かりますよ…」
少し嫌そうな顔をして
また読んでいた本を見返した。
まるで「お前に興味は無い」と言われている。
まぁ別にいいけど
「北村先輩!何の本読んでたんですか?」
僕より本に興味があるんでしょ?
って聞いてやるから。
「あーこの本は…って、
何で名前知ってるんですか?」
やっと興味を示してくれたから
名前を知っている理由を話した。
「高校同じなんですよ!僕たち!
先輩が賞とかいっぱいとってるの見て、
同じ高校がいいなぁーって!
だから先生たちに!!
どこの大学に行ったか聞き回って!!
話せて良かった!!」
「…はあ。 」
(むっ、これは聞いてないなぁ。)
北村さんはなかなか興味を示してくれない。
憧れの先輩なのに。
すると少し遠くで歓声が聞こえた。
「ああ!!国際科の王室先輩たちだ!!」
「王室?」
北村さんが分からないようなので
教えてあげた。
「ええ!知らないんですか?!
国際科の王様と呼ばれた藤本大志さんに!
国際科の王女と呼ばれた長谷川奈緒さんに!
国際科の姫様と呼ばれた月岡蒼葉さん!
もぉすごいんですよ!!」
また北村さんは興味がなさそうだった。
すると王女さんが話しかけてくれた。
「む、なあ、あんさんら、ここええ?」
「……どうぞ。 」
と、北村さんは王室さん達にも素っ気なかった。
それを見て三人は少し驚いていた。
「あたしらに話しかけられて
驚かへんかったやつ初めて見たわ!!」
と王女さん。
「大阪での話やろ?
隣の県とはいえ、知らん人の方が多いやろ。」
と王さん。
「君たち、名前は? 」
と姫さん。
「…北村樹です。」
そこで思い出した。
「あっ、北村先輩にも言ってませんでしたね!!
山本颯樹です!!」
社会では自己紹介が肝心だって。
「ところでさ、北村くんと山本くんは、
彼女おんの?」
彼女なんていらない。
妹以外の女は嫌いだ
「んー俺は…特に?」
すると北村さんも言った。
「え、俺、も…いないですけど。」
北村さんは、女のことを
どう思っているんだろう。
と思いながら言った。
「そーゆー、王室先輩たちは?」
姫さんは、笑顔でそう言った。
「私は、ここの大学最近卒業した
先輩と付き合ってるんだ。」
へぇとも思わなかった。
「僕は…奈緒、と。」
「え、気まずくないですか?」
またやってしまった。
思ったことはなんでも言ってしまう。
時には人を傷つけてしまう。
「いやいや、そんなことないよ。」
姫さんは優しい声でそう言った。
「…うせ。 」
「ん?姫さん、なんか言いました??」
どうせ?姫さんは、
どうせと言っていた気がする。
「いやいや。」
でも、誤魔化した。
今日は楽しかった。
これから地獄が始まるとも知らずに……