ボウルと泡立て器がカチャカチャとぶつかり鳴り響く音と、冷蔵庫を開ける音、また少し移動する時の足音…
色んな音が飛び交うキッチンの中。
音は音とは言えど、よく学園内で巻き起こるトラブルとかの音ではない。
キッチン外には寮生も寮長もいる。だがキッチン内へと入ればそれはクローバーのⅢだけの居場所。
「ん…あぁ、いいところに。〝なんでもない日のパーティー〟の為に、今ケーキを作っていたんだ。味見、してもらえるか?」
そう頼んだのは目の前の男。アイビーグリーンの髪に、マスタード色の目、黒縁メガネの下…左目元のクローバーのスート。
結果として、貴方は美味しそうな甘いお菓子の匂いに抗えず、味見という名のキッチンでの小さなお茶会をすることにした。
クローバーのⅢは紅茶を淹れて、ハーブティーだと貴方に渡した。
美味しそうに頬張る貴方を見ては、少し嬉しげな顔をして、
「あまりがっつくなよ、喉に詰まったらどうする」
と優しく諭した。ただ黙って静かに食べるのもなんだか味気ない、と思った貴方は新鮮ないちごの味が口いっぱいに広がるのを堪能しながらも、彼自身について聞いてみた。なんとなく、ノリで名前とかも問いかけた。
「俺はトレイ・クローバー、ハーツラビュルの副寮長だ。…まぁ、これは分かるよな?」
くすりと笑いながら、目を逸らす彼。どうしたのかと思えば、「自己紹介もなにも…何を話せばいいか分からない。」とのこと。
さて、貴方は何を問いかける?きっと、今の彼ならなんでも答えてくれるはずだろう。フルーツの話でも、寮や部活の話でも。
問いかけずとも、話を聞いてほしいと言えばなんでも聞いてくれるだろう。
───恋愛や人生相談も、真面目に。
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コメント
7件
トレイ!!これすっげー美味しいな!!! 俺も料理とか、一人でやる! って張り切ってしてみたんだけどさ ジャミルに怒られちまった……