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「どう……?遠藤君」
木村晴美(きむらはるみ)は、首だけ出して廊下の様子を見ている遠藤和治(えんどうかずひろ)を心配そうに見つめた。
「何の音も気配もしない」
遠藤はそう言いながら顔を戻すと、1年6組の扉を閉めた。
「どうなっちゃうんだろう……私たち」
木村は遠藤を見つめた。
「本当は、新垣君のそばにいた方がよかったんじゃない?」
「馬鹿言え!あんなゲス野郎のところにお前を置いておけるかよ……!」
遠藤は右手を握りしめて言った。
わけのわからない世界「ドール☆ズナイト」。
そのゲームをプレイしたことがあるという新垣。
確かに彼についていた方が命の危険は少ないだろうし、クリアという名の生還の可能性も上がるかもしれない。しかし――。
************
「パンツ脱いでもらおうかな」
新垣が言った信じられない言葉に、
「そんな……!」
「なんてこと言うの!?」
「そういうのはダメだよ!」
3嶺トリオと呼ばれている、赤嶺、稲嶺、仲嶺が立ち上がった。
しかし彼は、
「じゃあいいよ?出てけよ。前園もお前らも。自分たちであのキャラ達から逃げて、このゲームをクリアできるって言うなら、どうぞご自由に。」
そう言いながら口の端を引き上げた。
「でも言っとくと、あのゲーム、その間に激ムズすぎて一発クリアとかまず無理だから。簡単に殺されるし。スマホゲームだったらリプレイできるけど、この場合はどうなのかな?」
新垣の言葉に、3嶺トリオも、他の男子生徒も女子生徒も黙り込んだ。
「はは。わかってくれたみたいで嬉しいよ」
新垣はクラスメイトを見回すと楽しそうに笑っていった。
「――今からお前ら全員、俺の奴隷な?」
************
それから彼は、自分と前園、そして護衛用にと大城を放送室に残し、他のクラスメイトを隣の校長室に移動させた。
メイク直しをしていたはずのピエロはいなかった。
それに放送室を強制的に追い出された渡慶次の姿も。
「……てか、渡慶次くんにはがっかりだよ」
木村はため息をついた。
「ずっと新垣君は渡慶次君の取り巻きだったのに。こんな簡単に形勢逆転しちゃうなんてね」
「……ああ」
遠藤は短く答えた。
女子にはわからないかもしれないが、新垣はずっと我慢していた。
渡慶次の人を顎で使う横暴さに。
渡慶次の人を小馬鹿にする冷徹さに。
渡慶次が人気者だったなんて、幻想だ。
みんなあいつに嫌われまいとビビっていた。
あいつに見捨てられまいと縋っていた。
2人がああなったのは、言わば必然だ。
だがしかし――。
遠藤は不安そうに暗い教室を見回す木村を抱きしめた。
「……遠藤……君……?」
木村の小さな体が自分の腕の中で震える。
「晴美……。お前だけは、俺が守ってやる」
「―――遠藤君」
木村の大きな目が遠藤を見つめた。
遠藤からの告白で付き合い始めたのは夏の終わりだった。
大切に……、大切に……。
まだ触れるばかりのキスしかしたことがなかった。
でも―――。
「……んんッ」
その桜色の唇を自分の唇で塞ぐ。
嫌がらないとわかると、その間に舌を挿し入れた。
「んふ……」
木村から艶っぽい吐息が漏れる。
抱き合った体がもぞもぞと動き、唾液を嚥下する小さな音がコクン響く。
ダメだ。
もう止まらない。
遠藤は深く舌を挿し入れると、制服の中に手を入れた。
――あったけえ……!
ブラウスの上から撫でた胸は温かくて、それだけで自分の下半身にキンと熱が走るのを感じる。
遠藤はもう一つの手で、木村のスカートをめくり、パンツの上から臀部を撫でた。
「……遠藤く……んっ」
拒否ではない。拒絶でもない。
恥じらった雌の声。
遠藤は一気にブラウスのボタンを外すと、指を挿し込んだ。
制服の上から見たよりも大きな胸。
その膨らみを手繰り寄せるように掴むと、突起が指先に触れた。
「あぁッ!」
木村の身体が跳ねる。
――ヤバい……。ヤバい……!!
「晴美……!!」
裏腿から指を入れる。
すべすべの臀部。
滑らかな割れ目に指先を這わせて、その中心に沈めていく。
―――濡れてる……!
女というのはこんなに簡単に濡れるのだろうか。まだ胸の突起をつついたくらいなのに。
チュクチュクという水っぽい音が、1年6組の教室にやけに響く。
「ああ……んあッ……はぁ……」
呼吸が乱れた木村の別人のように色っぽい声が、自分の指の動きに合わせてに漏れ出てくる。
撫でていた胸の突起をつねる。
濡れそぼった足の中心、その入口に指を突き立てる。
「……はぁッ!!!」
――夢中だった。
だから忘れていた。
ここがドールズ☆ナイトであることに。
――興奮していた。
だから油断した。
危険が迫っているのに気づかないほどに。
初めに感じたのは、臭いだった。
腐ったような生暖かい酸っぱい匂い。
次に感じたのは音だった。
ズルズル、グチュグチュと、木村の陰部から響いてくる音とは別の水っぽい音がした。
「!!」
「……?」
顔を見合わせた後、2人は同時に振り返った。
「……な……」
そこには、映画やゲームの中でしか観たことのない、ソレが立っていた。
しかし、
かつて映画で観たように、
かつてテレビゲームで遊んだように、
遠藤は、
――銃を持っていなかった。