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かくしてリビングに招き入れられた俺は、鼻を啜りつつソファに座っていた。カウンターの向こうでは、菊がコーヒーを淹れてくれている。香ばしい匂いに、少しばかり心が癒える。
暫くして、菊が俺の目の前に現れた。芳しい湯気を漂わせる二人分のマグと、皿に載せられたチョコレートブラウニーをテーブルに置くと、彼は俺の隣に腰を据えた。
「…………辛かったですね」
俺の背中に手を添え、菊は言った。刹那、再び滲んでいく視界。
「っっ…………菊…………」
「はい」
「俺は…………俺は何も、間違ってないよな?」
「ええ。貴方は何も、悪くありませんよ」
「そうか…………そうだよな…………っ、ぐす」
またしても咽ぶ俺に、菊は何も言わず、寄り添い続ける。
早く涙を拭わないと。折角淹れてくれたコーヒーを、冷めないうちに頂かないと。