テラーノベル
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数分後。
おそるおそる演奏を始める3人。
ピアノの音に合わせて、ギターのフレーズが鳴り、ボーカルが乗る。
そのときだった。
「カタッ」
部屋の隅の棚が、小さく揺れた。
「カタカタカタカタカタカタカタ」
いや、思ったより揺れた。
「えええええ!?!?なに!?!?!?」
叫ぶ藤澤、ギターで防御の構えをとる若井。
しかし大森だけは冷静だった。
「たぶん、音に反応するタイプだね」
「知ってたんかい!!」
「なんでそんな冷静なの!?」
現れた“それ”は、白いワンピースにロングヘアという、定番すぎて逆に安心する(?)ような女の人の霊だった。
でも、妙にリズム感がいい。
ボーカルに合わせて、揺れる。
ベース音に反応して、ステップを踏む。
「おい、ノってるぞあいつ」
「もしかして……」
藤澤がそっとキーボードを弾くと、“それ”はうれしそうに腕をふわりと広げる。
「……完全に、ライブモード入ってるやん 」
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