──────目の前には、赤く塗れた液体が広がっていた。
ぼくは、それを見ていた。
これは全て『ぼくが殺ったもの』だ。
ぼくが『勝手に殺ったもの』だ。
……嗚呼……。
『初めて"人"を殺してしまった』んだ……。
ぼくは、目の前が真っ暗になった。
自分の言う『悪い事』をしてしまったからだ。
……でも。
……そうだ。
研究員から……ぼくを……『人形』のように……扱われていたんだ。
……なら、やってみせようじゃないか。
そして、ぼくは、妖しく笑った。
ぼくが、なんなのか、分からなくなった。
ぼくは、何をしているのか、分からなくなった。
ぼくって何?
ぼくって、なんで生きているの?
ぼくは、貴方達の言う事を聞く為に生きているの?
そんなの……。
……『無意味な生き方』ではないか。
その瞬間、僕の心は『狂い始めた』……。
『人生の時計の針が狂った』のだ。
どうして、言う事を聞かないといけないの?
……ぼくの、『思い通り』に行動出来ないの?
そう思い始めたぼくは、少しだけ赤くなった服を着たまま、部屋へ向かう。
そして、ぼくは、隠して持っていたものを手に取った。
いつか、限界が来た時に使おうと思っていたもの。
そう、『ナイフ』だ。
……ぼくは、なんの為に居るんだろう?
……分からない……。
なんで、研究員達は、ぼくを『人形』のように扱うの?
……知らない……。
──────もう、どうにでもなれ。
その瞬間、ぼくの心の中に溜まっていた『冷気』が爆発してしまい、『心が凍ってしまった』……。
ぼくは、ひたすらナイフと睨む。
そして、ぼくは歩き出した。
……少し歩くと研究員がお目にかかる。
ぼくは、ナイフを片手に、研究員を……。
──────ザシュッ!!!
……と、また殺してしまった。
嗚呼、何故だろう?
もう『何も感じない』な……。
でも……人を殺している事は分かるんだ。
ぼくは、このナイフですぐに、人を殺せる事を知ってしまった。
……そうか……。
これで、人を……。
ぼくは、ニヤリと笑った。
ついにぼくは、完全に狂ってしまった。
人間は弱いから……力を求めるんだ。
そうか……だから、ぼくらのような仮人間を作り上げるのか……。
ならば……。
──────殺してあげるよ。ぼくの手で。
ぼくは、殺した研究員の首を掴む。
そして、ナイフの刃を研究員に向ける。
クロノス「ぐちゃぐちゃに……してやる……。」
ぼくは、クスクス、と笑うと、ナイフを振り落とす。
──────グサッグサッ!!!
──────グチャッ!!!グチャァッ!!!
──────ザシュザシュッ!!!!!!
かなり酷いくらいに、研究員を刺し続けた。
あぁ、これが人間を刺す感覚……。
これが、『人を殺す』と言う感覚……。
クロノス「ぐちゃぐちゃに……なっちゃったね……ふふ……ふふふ……あっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは……!!!」
──────ぼくの狂ったような笑い声は、真っ暗な部屋全体に広がった。