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どうなる事やら…次の話が全く予想出来ない感じがすごい好き ノベルの書き方が凄い上手い(╹◡╹)♡
文章が上手い... 情景が頭にちゃんと浮かんでくる!
な、なんだと…結構rdすごいことしてる🤔 どんどんこれから色んなことが見えてくのかなって感じがしてワクワク(*´︶`)
荷物を運ぶのを手伝ってくれた彼が、僕と目を合わせてくれることはなかった。
思えばこの時からだろうか。
ドブに足を突っ込んだり、ゲーム機に水をぶち撒けてしまったり、下校中に読んでいた本を水溜りに沈めてしまったり。
この時はドジで間抜けな人間だと自分を責めていたが、今思えばどうだろうか。
アイツが鍵を握っていたのかもしれない。
「で〜?何ですかぁ〜?俺の顔なんて「二度と見たく無い」んじゃ無かったんですかぁ〜?」
月光をバックに草花を踏み締めていく彼の背中をゆっくりと追う。
バレないよう警戒心を募らせながら。
「お前が依頼人だろ」
「さぁ〜…?何のことやら…」
両手をさも分からないと言うような形にする目の前の彼に確信がいく。
「依頼内容、何であれにしたの?」
「………」
自分の質問に口を継ぐんでしまう彼。
振り返る眼鏡は月光が反射し、その中の瞳は目視出来なかった。
唯一見える口がへの字になっているのに、彼は何かに納得がいっていない様子なのだと分かる。
「何で彼らが生きているっt」
「そんな話どうでも良くないですか?」
サクサクとこちらに歩みを進めて来た彼が、僕の肩に両手を置く。
親が子供に何かを言い聞かせるようなそんな素振りに一瞬、体がピクリと跳ねる。
「今は罪悪感に苛まれて下さいよ…」
「……は?」
月光をも影になる程顔を近づけられる。
両肩を強い力で握られる。
それほど大した力ではないことが分かるも、対抗したいのに体が金縛りのように固められていて動けない。
自身の額を冷たい汗が伝うのが分かる。
「『俺を殺した』罪悪感に…さ?」
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数時間前
「あ、前回話した物語の他にも、そういえばもう一つ話があったな」
今、偶然思い出したかのような素振りを見せる彼は館内のベッドへと腰かける。
顎に手を当てながらも何かを考え続ける彼の他にはこの館内に人の気配は無い。
突然、何かを思い出したように勢いよく顔を上げると同時に立ち上がる。
「そうだ…話していない。彼の最大の「過ち」を!」
目を大きく見開ける彼の服が、言葉を発すると同時に徐々に変化していく。
真っ黒な学ランにベルト、赤いスニーカーに変わらない白いキャップや眼鏡。
その胸に突き刺さった包丁は月光を反射し、赤い液体をドロドロと流している。
「では「モノガタリ」を始めましょう」
彼の手の中には一冊の赤い本があった。
それの表紙を、1ページをめくり始める。
『彼は中学生の時、隣人を「殺しました」。』