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大森 side
目を開けると、そこは楽園のような場所だった
僕は上手く死ぬことが出来たようだ
「涼ちゃん?どこにいるの?」
僕は必死に涼ちゃんを探す
早く会いたい。会って抱きしめて欲しい。頭を撫でて欲しい
涼ちゃんが居なくても、ここまで生きた僕を褒めて欲しい
「元貴…なんで来ちゃったの?」
いつの間にか後ろに涼ちゃんが立っていた
悲しそうな顔で。失望したような顔で
なんでそんな顔をするの?僕は君の笑顔を求めてここまで来たのに
「なんで来ちゃったの?なんで若井を1人にしたの?
…僕は1人でもいいのに。生きてて欲しかったのに」
「僕は…涼ちゃんがいないと無理だよ
いや…無理だったんだ。ごめんね」
涼ちゃんの優しさだろう
謝れば涼ちゃんは許してくれる。また僕と一緒に居てくれる
そんな呑気な期待は一瞬にして裏切られた
「そんな元貴…僕は愛してない
僕は夢に向かって一生懸命に頑張ってる元貴が好きだった
今の元貴は好きじゃない。もう、僕のところに来ないで」
そう言って君は去っていった
なんで?僕は君に喜んで欲しくて、寂しい思いをさせたくなくて言ったのに
「好きじゃない…か」
傷ついたなぁ…僕は求められてなかったんだ
若井にも申し訳ないことしちゃったな
自分勝手でごめんね、1人にしてごめんね
僕はすることがないので少し散歩をした
大きなドアがあった。近くの人に聞くとこのドアを通れば存在そのものが無くなるらしい
今生きている人の記憶の中からも消されるらしい
…涼ちゃんの記憶からも消されるらしい
行こうかな。僕はもういらないもんね
そう思いドアノブに手をかけた
その手は誰かに掴まれていた
「なんで行こうとしてんだよッ馬鹿野郎!!」
涙を流している涼ちゃんだった
僕を付けてきていたみたいだ。なんで?僕はもう必要じゃないんでしょう?好きじゃないんでしょう?
「離してよ…もう僕はいらないでしょう?」
「そんなことないから…僕が悪かったから
ねぇ?離して?居なくならないで泣」
「わかった。わかったから…泣かないで?
涼ちゃんは笑ってた方がいい。可愛いよ?」
大好きな人をここまで泣かせて、僕は何がしたかったのだろう
ごめんね、涼ちゃん。でも、君のおかげで僕はこれからも存在し続けようと思えたよ
「もう、こんな馬鹿なことしないでね」
少し怒ったような顔で君が言う
「もちろん」
君が笑った。僕の大好きな笑顔だった
何十年か経って、若井もこっちに来た
…出会ってそうそう、思いっきり顔面を殴られた
「馬鹿野郎!なんで先に行くんだよ!
涼ちゃんはしょうがないかもしれないけど…
いや、しょうがなくない!馬鹿野郎!」
寂しかったらしい。大変だったらしい
そりゃそうだろうね。ごめんね
「でも…待っててくれてありがとう」
転生するのをだろうか
「来世でもまた…僕と一緒に居てくれる?」
2人に向かって聞いた。なんて返ってくるだろうか
「「もちろん! 」」
「あっでも居なくなんなよ!!」
あぁ…僕は恵まれてるなぁ
いつまでもこの友情が美しいままでありますように
そう思いながら、僕たちは今度こそ3人で新しい人生をスタートさせた