ボクは夏希の家の前まで行こうとした__が、絶望で声が出ない。
人がザワザワと話している。救急車、警察が来ていて、何が何だか分からなくなってきた。
最大限落ち着いて状況を整理したが、
『ぁッ、あ、ぁぁぁ、、』泣き叫ぶことしか出来なかった。
おばあさんは1回ボクを無視したようだが、すぐにこちらに向かってきた。
「夏希のお友達よね?確か菜乃葉ちゃんでしたっけ。」
ボクは上手く話せる気がしなくて、頷くことしか出来ない。
「これ、夏希が菜乃葉ちゃんに渡してくれって言っていたものなの。出来れば、読んでくれないかい」そう言われ、ボクは夏希からの何かを見てみることにした。
菜乃葉へ。
この前は告白を断った上、酷い事を言ってしまってごめんなさい。私が臆病だから、酷い事を言ってしまいました。文字に頼ってごめんなさい。
けど、菜乃葉には謝りたかった。
実はさ、私菜乃葉に告白された時には余命宣告されてて、余命半年だったの、笑
だから辛い思いをさせない為にもって、この手紙を書いたんだけど、これを見て泣かないでね?笑私、菜乃葉の一人称が『私』でも『僕』でも反対しないよ。菜乃葉の人生なんだから私の事は忘れて他の人と幸せになってね。最後のお願いがこれね!貴方の幸せは私の幸せ。これだけは覚えておいて欲しいです。
それじゃー、また会えるとしたらあの世だね!
元気でね! 夏希より。
夏希は謝らないで。君を忘れたくない。そのお願いだけは聞きたくない。文字に頼ってもいいんだよ。 ボクはそんなことしか頭になかった。
「どう、読み終わった?」おばあさんが聞く。
「はい、読み終わりました。」
この時点で、沢山泣いていたらしい。
「どんなことが書いてあったんだい?」
泣きながらだからざっくりとしか言えなかったけれど、手紙の内容を言った。
「実は私も余命宣告されている事は知らなかった」おばあさんは驚いた表情で言っていた。
だが、ボクにはその表情にはなにか裏があるように見えてしまった__。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!