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海の中に住んでいたエビ 潔が 食べ物を狩りに来たフクロウ 凛 に食い散らかされて死んでしまう。 潔 /家族と平和に海の中で暮らしてきた。ある夜の日その日は大変綺麗な月だったので地上に見に行った。 なにか物音がすると、手でつまみあげられ鳥のくちばちで食われ 死んでしまう。 死体が発見されたのは翌日の朝 ドロドロでしっぽだけ残った状態で発見された とけた 凛 /家族に捨てられ月が綺麗な日に追い出された。海辺を飛んでいると笑顔で海から出てきた潔を見つけ、その笑顔が憎くて憎くて、思わず狩ってしまった。 気が冷めると自分は血まみれで気持ち悪くて 知らないところに飛び立った。
月の光が、穏やかな海面を銀色に照らしていた。
潔は、一族のしきたりを破って、海の外へと顔を出した。水面から突き出した体。エラにまとわりつく空気は、ひんやりとしていて心地よい。「綺麗だ……」と、彼は小さく声を漏らした。深海では決して見ることのできない、透き通った真珠のような満月。この光景を家族にも見せてあげたい、そんな平和な願いで胸をいっぱいにしていた。
その瞬間、頭上の空気が重くうねった。
バサリ、という巨大な羽音。逃げる間もなかった。鋭い爪が、潔の小さな体を無慈悲に掴み上げる。
「あ……」
視界が上下に揺れ、銀色の月が遠ざかる。強靭な力で陸へと運ばれた潔の目に映ったのは、燃えるような、それでいて凍てつくような冷たさを湛えたフクロウの瞳だった。
フクロウ、凛は絶望の中にいた。
つい先ほど、一族の序列に敗れ、血を分けた家族から「役立たず」と突き放されたばかりだった。居場所を失い、荒れ狂う感情のままに夜の浜辺を飛んでいた。そんな時、視界の端に映ったのが、水面から顔を出して無邪気に笑う潔の姿だった。
その、何も知らない幸せそうな笑顔。
愛され、守られて生きてきた者特有の、濁りのない表情。
それが、凛には耐え難いほど憎かった。自分の内側で渦巻く真っ黒な孤独が、その光を握りつぶせと叫んでいた。
「……消えろ」
凛は低く呟き、潔を鋭いくちばしで引き裂いた。
「待って、痛い、やめて」
潔の細い叫びは、硬いくちばしが殻を砕く音にかき消された。平和に生きてきた潔にとって、それはあまりに突然で、あまりに残酷な暴力だった。温かな血が月夜の砂浜に飛び散る。一口ごとに、潔の意識は遠のき、愛する家族の顔も、見たばかりの美しい月の記憶も、ドロドロとした痛みの中に溶けて消えていった。
やがて、凛の衝動は冷めた。
我に返った時、自分の足元にあるのは、原型を留めないほどに食い散らかされた肉の塊だった。潔だったものの残骸。自分の羽根は返り血でべっとりと汚れ、鉄臭い匂いが鼻をつく。
「……気持ち悪い」
凛は吐き捨てるように言うと、自分が犯した惨状から逃げるように、夜の闇の奥深くへと飛び去った。
翌朝。
朝日に照らされた浜辺に、潔の家族が彼を捜しにやってきた。
そこで彼らが見つけたのは、変わり果てた「かつての潔」だった。
美しい体は見る影もなく、砂にまみれてドロドロに溶け、ただ一つ、誇らしかった自慢の尻尾だけが、虚しく砂浜に残されていた。静かな波の音だけが、命の消えた現場を洗っていた。
叶汰
5,008