館内を案内してくれると一番に名乗り出た紫色の子供とは思えない空気を醸し出す彼。
その背中を追って行き、彼が少し舌っ足らずな口で説明を加えては進んで行く。
と言うものを繰り返していた。
「そろそろ食堂に帰ろや」
ゾムのお腹が盛大に鳴り響く。
そういえば昨日の夜から何も食べていないな、と思い返せば自分の腹の虫も鳴きそうになるのが分かる。
「俺も腹減ったな」
「それでしたらもどりましょうか」
目元だけが笑う、口元には変な柄の布を被せた彼。
顔立ちが良いと一目でわかるそれに少しだけ、ほんの少しだけ羨ましいと感じてしまう。
3人との交渉が終わった。
彼らが提案を寄越したのは「この館からは離れたく無い」と言うもの。
そして、俺が提案したのは「自身が匿う」と言うもの。
どちらとも意見の決定があるようで、なかなか上手く意見が合わない。
が、彼ら側が早々に懲り、大人しく着いて来てくれるということでこの話はまとまった。
「おれらのほかに、まだひとりおる」
黄色い彼がそう言ったので、今、僕らは優雅にティータイムを楽しんでいるというわけだ。
3時のおやつにもちょうど良い時間帯だしね。
「おまたせ〜」
手を振って出入り口の扉から入って来たのは、顔の下半分を布で隠した少年だった。
ピクリとも動かない満面の笑顔が不気味さを引き出していた。
「おぉ〜おそかったなこんちゃん」
「いやぁ〜わるいね。それもおきゃくさん?」
「おう。さっきまではなしてたんや」
黄色い彼が先程の立案を事細かに説明する。
説明の仕方があまりにも大人びたもので、彼らの「本当」の年齢が気になった。
「…ふむ」
彼が考える素振りを見せると同時に、出入り口からまた違った足音が聞こえる。
あー、この足跡は厄介だ…
「…あれ、誰か他の人おるやん」
「うっわ顔良…うざ」
判断基準終わり過ぎててワロタ…w
あー…簡単に説明しよう。
彼らは俺を知らない。
そして、俺は彼らを「知っている」。
だから「バレないよう」、警戒をしているという訳だ。
「こんにちは。お兄さんたち」
ここでは彼らとの交流は「逃れられない」。
だから警戒を強め、彼らに「情報」を漏らさないようにしなければならない。
じゃないと…
「こんにちは〜」
「………」
既に気がついている
あの「狂犬」に、噛みつかれてしまう。
コメント
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舌足らずな喋り方してる小さい子供なのに口元に布被せてんのかよ..... 狂気.....?チワワか....ポメラニアンか...........