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梨々「ッ!」
バシッ!
武道「うわっ!何すッ」
その瞬間、俺は自分の過ちに気付いた。
武道「ごめッ」
梨々「ハッ、ハッ…」
武道「り、梨々…」
梨々「ッ…」
ダッ
梨々は、自分を女だと再認識した瞬間、とても
悲しそうな、悔しそうな顔をした。
梨々「…はっ君は?」
武道「…へ?」
はっ君。基、柴八戒。何故、八戒の名前がここで出てきたのか、俺は理解が出来なかった。
武道「な、何、が?」
梨々「知ってるの?俺が女だって」
武道「し、知らないと思う…」
梨々「そう… 」
梨々は俺に梨々が性別を隠して生きている事を八戒が知っているのかを確認してきた。
知らないかもしれないという事実を知ると、
梨々は少しほっとしたような、でも何処か寂しそうな顔をした。
〜武道の家〜
プルルルルルルル プルルルルルルル
ピッ
大寿「もしもし」
武道「あ、大寿君」
大寿「武道か、どうかしたか?」
武道「八戒に聞きたい事があるんだけど、
代わってもらえる? 」
大寿「分かった」
俺は家に帰った後、八戒の家に電話をかけた。八戒は梨々が男装をするようになった後、中学に上がってから出来た、他校の友達で不良だ。まだ知らない可能性がある。
そう思った俺は、八戒に直接確認しなければ、
気が済まなかった。
八戒「武道?どうしたの? 」
武道「い、いや💦大した事じゃない
んだけどさ」
八戒「?もしかして龍ちゃんの事?」
八戒が言った梨々の呼び方に、俺は内心、冷や汗が止まらなかった。
武道「そ、そう💦」
八戒「龍ちゃんがどうかした?」
武道「八戒は知らないよな…」
八戒のいつも通りの反応に、俺は気が抜けた声でそう言った。しかし、それは八戒のこの後の発言で一気にかき消された。
八戒「…龍ちゃんが本当は女子って事?」
武道「ッヒュッ!」
何で?何で八戒が知ってる、知らないんじゃないのか?柴家で知っているのは?どれくらいだ?梨々に、梨々に何て説明すれば
八戒「武道!」
武道「ヒュッ、な、何?」
八戒「大丈夫、まだ俺、誰にも
言ってないし、 絶対に言わない」
武道「な、何で」
八戒「今の龍ちゃんが知ったら
きっと多分、暴走する」
電話の八戒は震えた声で、でも淡々と話して
いた。
八戒「だから、暴走させない為にも」
武道「分かった」
〜数日後の休日〜
武道「…」
八戒「…」
梨々「…」
俺達2人は梨々に呼び出されていた。
雷亜「…何で3人とも喋らないの?💦」
梨々「お兄は黙ってて」
雷亜「ハイ」
どうしよう…怒ってる…
俺達が内心ヒヤヒヤしながら俯いていると、
梨々「やっぱ…気持ち悪いよね…」
八戒「…え?」
梨々「いいよ、我慢しなくて
分かってるから、自分でも」
梨々は苦笑いをした。
梨々「はっくんは、いつ気付いたの?」
八戒「元々、最初から違和感があったけど、
確信を持ったのは最近、柚葉が
勘づいてて」
梨々「そっか…やっぱ
同性なだけあって 鋭いね」
ほっとしたようにそういう彼女の瞳は冷静ながら何処か、寂しげだった。
確かその数日後からだった。梨々がまるで俺達の届かない何処かへ行きそうだと思うようになったのは。