君に目を奪われたあの春の夜。散るように靡く桜色は白い靄に包まれていた。
蘭はる 梵天軸
「竜胆、明日の会議に使う資料24部印刷しろ。鶴蝶、お前はプレゼンのスライド最終確認」
テキパキと部下に命令を下すのは三途春千夜という男。そんでもって俺の好きな人。幹部一同、仕事が出来る面ではNo.2の三途を慕っているし、何ら気遣いのできる所も気に入っていた。たまに発される怒号や罵倒…薬やらなんやらでヒステリックを起こす彼には恐怖と呆れを持っているが。
彼に逆らう者は居ない。逆らえば殺されるから。などという恐怖では無く、
「従わざるを得ない雰囲気」
を彼自身が放っているから。それが何なのかと言えば難しいが、視線や話し方、全てにおいて麗しく、反社とは思えないほどの誠実さを感じるんだ。(人柄で言えば極悪だけどね)
彼の良いところは自分が上の立場だからといって、部下に全てを投げやりにしない所。○○やっとけ。では無く、何々をこうしろ。とするべきことを鮮明にして指示を出す。だから部下は動きやすいし、間違うことも数少ない。
(間違えたら拳が飛んでくるけれど。)
業務において完璧人間な三途。加えて恐ろしいほどの美人。美麗で女々しさを感じる事が多くある、だが骨ばった手や美しく突起している喉仏を見れば、しっかりと男らしさもある。それ故、男女問わず彼に見蕩れてしまうのだ。
既に何人かの部下は勇気を出して告白をしたようだが、見事撃沈。幹部の中では狙っている人は俺以外にいないようだ。
俺は今年の春から三途に想いを寄せている。昔からお互いの認識はあるが、何故かあの日
「一目惚れ」
をしたような感覚で惚れ込んだ。数え切れないほど顔を合わせていたのに、一目惚れをしたんだ。
あぁ。好きだ……俺のモノにしたい。
腑に落ちたようにそう思った。今まではただの上司でしか無かったのに。その一夜から変わったんだ。あの日の事を今でも鮮明に覚えている。
「あ〜さっみ……」
俺はまだ寒い春の夜に煙草を吸いに外に出た。ヤニカスなもんで夜通し机に向かっていてニコチンが切れたのだ。
(今なら1box全部吸えそう。)
そんな出来もしないし、しようとも思わないことを考えながらアジトの裏へ向かう。1度息を吐き、煙草を咥えたその瞬間、
俺の目は吸い込まれるようにある一点を見た。
白い煙を薄らと纏う桜………..の様な男に。
彼は月を見上げ、煙草を吸っていた。ちりっと紅く光った煙草の先 月に照らされてほんのり見える瞳。何故か悲しそうに下がっている眉。桜が散るように揺れ動く長い桜色の髪….そして透けて見えるように白い肌。
その全てが今まで見てきた何よりも美しいと思った。そこしか見えない呪いにかかったのかと思う程、俺はその男から目を離せなかった、それに体も動かなくなった。
ふとその男は勢いよくこちらを見た。驚いているような、怖がっているような。そんな表情で。そこで俺の呪いは解けた。
「ぁ。あー驚かせてごめん。」
三途は静かに俺の方を見て、肩で息をしていた。そんなに驚いたのだろうか。まぁ夜だし暗いな…。
「ごめんって…煙草吸いに来ただけだから」
三途は未だ何も言わない。ずっと肩を揺らしている。暗くてよく見えなかったが、目を凝らして見ると彼の瞳が大きく揺れていた。ただ驚いた様子には見えなかったし、これはやばそうなやつ。
駆け足で近寄れば、尋常じゃない冷や汗と、正気を保てていない表情をしている事が分かった。
「おい、三途….どうした?」
そう声をかけてやれば、彼は視線を俺に定めて、直ぐに落ち着きを取り戻す。まるでさっきの俺みたいに、変な呪いにかかった様だった。
「吃驚した….お前怖すぎ、いきなり来んな。心臓止まる。死んだかと思った…」
30秒程して呼吸が落ち着いた彼が俺に近付き、口を開いた。まだ少し焦っているのか、いつもより少し早口で額には汗をかいている。
「ごめんごめん、てかやばそうだったけど大丈夫なん?そんな怖かった?」
目の前にいる先程惚れた男はやっぱり綺麗で、以前とはまるで違った人間に見えた。美しくて、儚くて、守ってあげたくなる、そんな人に。
「違う、違うんだ….なんか。お前から目離せなくて。いや、怖いのは間違いなかったけど怖すぎたんかな、金縛り的な….w」
目を離せなかった。それは俺がさっきなった呪いと同じだ…。でもただ怖がらせすぎただけだったらしい。俺と同じ境遇を少し期待したけれど、あんな震えてたんだから、単純に怖かったんだろう。
「金縛りって…..w俺悪い呪いかけたみたいじゃん辞めてよ〜」
煙草に火を灯しながらそう笑えば、三途も可愛らしく頬を綻ばせていた。
「銘柄何…..その匂いPeacёか?」
俺より少し背の低い彼は背伸びをして俺から伸びる白煙に近付いた。あぁどうしよう、何もかも美しく綺麗に見えてしまう。
全ての動作に目を奪われた。
「そうそう、よく分かったね。」
「ん。昔吸ってた」
三途が上げた踵を地に着けて、俺に倣って壁によりかかった。先程俺に寄ったせいで、距離が縮まってしまった。あと7cm横にずれれば肩が触れるだろう。寄ろうかな、とバレないように三途に視線を向ければ、俺に興味も何もなさそうな様子を見て、気恥ずかしくなり肩を寄せる勇気は消え去った。
「今年、桜見れなかったな….」
三途が横でぼそっと呟いた。確かに今年は数日前の暴風雨(台風)の影響で桜を見ることが出来なかった。咲いて直ぐに散ってしまったのだ。
「俺はすっげえ綺麗な桜見れた気がするわ…」
言ったのはいいが勝手に恥ずかしくなってきた。先程の三途が桜のように、いや、桜以上に綺麗だったと、彼に伝わらなくとも直接言ったのだから。彼はそんな事も知らず、知るはずもなく
「来年見れっかな。」
俺に上目遣いでそう問いかけた。無意識な上目遣いに、俺はほんの少し足を引いてしまった。
「きっと見れるよ。今年は運が悪かっただけだろうし。」
そう言うと、ゆっくり息を吐き出した三途は、再び白煙に包まれ
「だな….!」
と桜色の髪を靡かせながら嬉しそうに笑った。可愛らしいその表情に心躍らせながら、俺も優しく微笑み返した。
そんな夜が三途に思いを寄せたきっかけ。
もうすぐ春が来ようとしている。
「蘭、手止まってんぞ。」
思い出に耽っていると、先程まで竜胆達を相手していた三途が俺の真後ろに居た。しかも仁王立ちで。
「考え事してた。でももう終わったから大丈夫だよ。」
資料をファイルに保存したかを確認し、その後ウィンドウを閉じる。
「あ、終わってんのか。お疲れ。」
「うっす。一服行ってきまっす。」
デスク上の煙草とライター、スマホを持って席を立つ。三途と目を合わせ、会釈のように頭を少し下げてから俺は部屋を出た。
向かっているのは、先程まで思い返していたアジトの裏。基本一服する時はここに来ている。2階に喫煙所はあるのだが、違う銘柄の匂いが混ざるのが苦手だから。三途も同じ理由らしい。ニコチンだけ摂取したいような奴は喫煙所で吸ってスッキリして戻っていくが、好きな銘柄の匂いに包まれて落ち着きたい俺みたいなやつに喫煙所は向いていない。
いつものように煙草に火をつけ、白煙を冬の空へ登らせた。惚けてその様子を見ていると、砂利を踏みしめる音が聞こえた。ゆっくりそちらに視線を向ければ、そこには三途が居た。
「着いてきてたの?」
揶揄うつもりでそう言えば、三途は1度首を傾げて、俯いて、「んー」と唸った。
「なになに….w」
何を意味したのか、肯定なのか否定なのか、何も分からなかった。
「ただ俺も吸いたかっただけ。」
煙草の火を灯しながら俺に近付き、壁に寄りかかった。
「そっか。」
『あのさ….』
煙草を吸い終わり、数分秒の沈黙が有ったが、同時に口を開いてしまった。三途は慌てて「先言え。上司命令」と言い放った、命令は仕方ないなと思い、俺はここ数日思っていたことを伝える。
「…..桜、綺麗な公園が車で2、3時間のところにあるんだよね、。そのーなんて言うか、一緒行かない?」
三途の為に桜が見れる場所を徹夜で探したのは内緒、まるで元々知ってるかのように言って見せた。当の三途は吃驚したようにこちらを見ていて、そして微笑みながらこくりと頷いた。嬉しさに舞い上がりそうなところを堪えて
「三途は?何言おうとしたの?」
と話題を切りかえた。三途は髪の毛をくるくると手に巻き付けて、顔を伏せてから
「桜見に行かねぇかって….誘おうとした、」
言い終わった三途は顔をほんのり赤く染めていて、頑なに俺から目を逸らしている。まさかの考えが頭をよぎったが、そんなような事があるはずが無いと自分を正し、「そっか!良かった〜!」と笑って見せた。
未だ恥ずかしそうな三途を見て、何故か俺も恥ずかしくなった。
「蘭、」
弱々しく声を発した。
「なあに?」
あまりにも覇気のない声だったから何か心配だ。顔を覗き込むように少し前屈みになる。
「仕事疲れた………」
子供のように口を尖らせた三途に目を疑った。初めてみる顔だ。5秒ほど固まっていた俺に、三途はもう一度「つかれた….」と言った。駄々をこねる小さな子供にしか見えなくて、正直な所、薬やったか?とも考えた。でもその瞳に嘘があるようには見えず、
「お疲れ….」と言って抱きしめてやった。恐らく、甘やかしてほしかったのだろう、きっと三途は人に甘えるのが苦手だと思うから、遠回しな表現で。
三途は一瞬驚き、その後、切なそうに眉を八の字に下げて俺のスーツの袖を掴んだ。
全てが可愛くて仕方なかった。ムスッとして、膨れた頬、不貞腐れたように尖る唇と眉….そして抱きつく俺の腕を掴んでくれたのが。
「……これでいい?」
好きな相手に拒まれず抱きつけるのが嬉しくて、離したくないな。と思った。過去の俺ならばすぐに手を出して自分のものにしていた筈。けれど三途だけは綺麗に美しいままに見ていたかった。
三途は「ん…」と小さく声を零して、俺の胸に頭を擦り当てた。
「どしたん、なんか嫌なことでもあった?」
ここまで甘えてくるのはやっぱ可笑しい、なにか苦しい事があったんだと思った。でも、三途は静かに首を振って、落ち着いた様子で俺の腕に抱かれていた。
何分経っただろうか、三途は俺の腕の中で静かな寝息を立てて眠ってしまった。寝顔を晒すなんて無防備だな。と思いながらも、心を許してくれているんだろうか。と嬉しくなった。
雪は無いと言えどやはり冬は寒いので、誰にもバレないよう、三途を抱き上げ裏口から自室へと運んだ。
それから、三途は俺の一服に数分遅れで着いてくるようになった。ちょこちょこと俺に近寄って、煙草を吸って…..ふとした時に甘えてくる。期待しちゃうから辞めて欲しい…。嬉しいけれど、期待させないでくれと。
今日もまた猫のように現れた三途が俺の胸で心を落ち着かせている。
「蘭は落ち着く……」
伸びきったと思っていた三途が不意にそんな可愛いことを言った。取り乱しそうなところを抑えて、
「三途が落ち着くなら良かった…」とゆっくり頭を撫でた。疲れ果てているのは間違いないから、俺の好きな人が、俺をどう思っていようと、安心できて休めるのならそれで良い。高望みはしないことにした。
「……ん…ずっとこのままがいい。」
取り消そう。早く俺のモノにしたい。ずっとこのまま。なんて1種の告白じゃないか?口が滑りまくって「俺も。」と言うところだった。でも、正直に言えばこの距離に居てくれてるのだから、キスのひとつはしたい所だ。許してくれそうな気がするから。
それでもしないのは、恋愛感情以外の好きもあるからだろう。上司として、昔から見てた俺からしては生意気な弟のような存在、そして今、甘えてくる子供のような彼が好きだから。大切にしたい。大切に大切にして今の形でも良いから傍にいたい。あわよくば、俺の想いが報われたのなら、その時に初めてキスをしたい。
そんな事を考えているうちに三途は眠りに落ちていた。
そして、再び春が訪れた。
「三途、行くよ。」
車の鍵を指に掛け、くるくると振り回しながら三途を呼ぶ。彼は今、「待って、待って、!」と言いながら手首と左側の首筋に香水をつけている。慌てる姿も、首を片側に傾げて首筋を手首で擦っている仕草も愛おしかった。今すぐにでも手を伸ばして抱き寄せたい。そんな想いを心にしまい、こちらに来た三途と一緒にアジトを出た。
「〜〜〜♪♬」
車を走らせれば、三途は音楽にのって鼻歌を歌っていた。リズムに合わせ、体が左右に揺れている。どうしてこうもこの男はこんなに可愛いのだろうか。
窓の隙間から春風が入り込む。ひらひらと花弁のように揺れる桜色の髪が視界に入って、その度に目を奪われそうになった。
「なぁ蘭。」
アジトを出てから2時間がたった頃 パーキングエリアで昼食を取ろうと車を停めた。その時、三途が俯いて何か言い始めた。
「今日、蘭とドライブできて嬉しい…。」
三途はぎゅ。と自身のズボンを掴んでいて、今、勇気を出しているのだろう。でもなぜ?俺と同じ想いなの?また期待してしまう。
「……俺もちょ〜嬉しいよ♡」
意識しすぎるのも良くないかと思い、おどけて言って見せた。すると、三途はこちらを見て少し残念そうに微笑み、「昼飯買いに行こ」と行って、車を後にしてしまった。
最近、彼の行動が理解できない。急に抱きついてきたり、幹部がいる中で俺の真横に来て疲れた。と訴えてきたり、寝る前に部屋に来ておやすみ。とだけで告げたり……。期待していいの?同じ想いだと喜んでもいいの?
けどふと見せる君の悲しそうな表情で、俺への思いに靄がかかり君の想いが解らなくなる。
「着いたよ、三途。」
助手席で眠っている三途の肩を揺する。目的地はマイナーな公園で、大きな桜の木が1本だけ佇んでいるような場所だ。ここを選んだのに大きな理由は無いが、俺からしたら全ての桜が君には劣るから、それなら人の少ないのどかな所にすればいい。そう思った。
「ん、着いた…..?」
薄らと目を開ける。長いまつ毛の隙間に見える緑色の瞳が俺を捉えているのが分かった。
「うん。着いたよ。」
三途シートベルトのロックを外し、寝ぼけている彼を車の外へと出した。
「綺麗………..」
車を出るなり、三途は桜の木に向かって走って行った。隣を歩きたいとも思ったが、彼が見せる子供のような無邪気さが可愛くて、俺は様子を眺めつつ、歩いて桜の木の下に向かった。
「蘭、ここすげえ綺麗な桜。連れてきてくれてあんがと!」
桜の木の下に辿り着いて、それに気付いた三途が開口一番 満面の笑みでそう言った。それで充分だった。可愛らしい笑顔を俺一人が見れて幸せ。そのはずなのに、君に惚れてから1年。ずっと留めてきたこの想いを伝えることにした。
「三途 1年前のあの夜から、俺は三途が好きだ」
産まれて此方、本気で愛を伝えたことなんか無くて、色々な感情が制御出来ず、泣きそうになってしまった。語尾はきっと鼻にかかった震えた声だったと思う。
三途は驚いた顔をしていた。でも彼に発言出来る隙を作らず、俺は言葉を続けた
「こんなに好きだって思ったのは三途が初めてで、相手に想われてなくても愛おしいと思ったのも初めてで。だから、俺と付き合ってくれないかな。」
言い終わる頃には、鼻腔が少し痛くて、もう涙が零れそうだった。感情的になるとはこういう事なのかと初めて知ったし、想いを伝えるのがどんなに勇気のいることなのかもよく分かった。
「蘭……」
ゆっくりと三途が足を引いていくのが見えた。1歩…2歩、3歩……。嗚呼、ダメか。そう思った。困らせてるかもしれない。だから俺は
「ごめ〜ん♡冗談、じょうだ、ん……」
冗談で済ませようと思ったんだ。けれど、そうする必要はなかったみたい。
三途はぼろぼろと泣いていて、足を引いたのはよろけていたから。木の幹に背を当てて
「ょ、よかッ……たあ….」と座り込んでしまった。この涙は嬉し涙だと分かったから、君の想いを知ることが出来て俺も泣きそうだった。
木の幹に頭を撃つようによろめいていたので、すぐに駆け寄って、屈んで視線を合わせた。三途はしゃくりを上げながら、ゆっくりと俺に想いを伝えてくれた。
「ずっと好きだったけど、俺なんか好かれるはずないと思って言えなくて。でも蘭が俺にだけ優しく微笑んでくれるから期待しちゃって、甘えてみたら、甘やかしてくれたから、同じなのかなって思って、でも気付いたら悲しそうに微笑むから、わかんなくて…」
全く同じように思っていたのかと驚きが隠せなかった。それと同時に、こんなに泣くほどまでに不安にさせていたことが申し訳なかったし、早く伝えれば良かったと後悔も襲ってきた。でも後悔しても何にもならないから目の前で泣きじゃくる三途を抱きしめて、
「愛してる」
と言った。三途は何度も何度も頷いて、「俺も愛してる。」と涙混じりに言い、そんで服に鼻水を擦り付けてきた。
「あーもーww汚ったないなぁ…w」
笑いながらそう言う俺の目にも溢れんばかりの涙が浮かんでいて、堪えるのが大変だ。
三途の涙やら鼻水やらが落ち着いて、俺らは1度車に戻った。夜桜を見るのに外で待つのはまだ寒いから。お互い車の中でソワソワしていて、一度キスをしようとしたが、近寄ろうとしたら随分驚かれたのでとりあえずはお預けにした。
「いい時間だね。降りよっか」
辺り一面が暗がりに包まれていて、ただ1つ月夜が桜の木のを照らしているのだけが見えた。
「夜桜って俺何気に初めて見るかも…」
外に出てからぎこちなさの減った俺ら。密閉空間だと謎に謎な意識をしてしまったのだろう。
「夜桜….綺麗だな。昼間とは違う色に見える。」
まだ少し目元の赤い三途が、桜を見上げてそう言う。
俺が煙草を吸い始めれば、それに倣って三途も煙草を吸い始める。
三途は少し離れた月の木漏れ日の場所に行き、夜桜を眺めていた。
深く息を吐いた三途は白煙に包まれた。
伸びる白煙は靄となり三途を霞ませる。春風が吹き、その白煙が桜と同時に散った時、
また恋に落ちた気がした。
靄が晴れて、君の美しい横顔が鮮明に見えて、そして君はこちらを向いて微笑んだ。
再び息を吐き、白煙に包まれる君は何よりも美しい夜桜のように見えた。
駆け寄って腕を引いて….初めてのキスをした。まっずい組み合わせの煙草のフレーバーの味__
白煙を纏う夜桜 ║ 2023 1⁄12 灰皿
コメント
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あ、神がいる 天才すぎて泣く
わぁぁ!最高すぎです…♡清華様の表現力というかストーリー性というか、もう全部が神がかってます✨すっごい素敵なお話でした!ありがとうございます🍀
いつもの弱い感じの春ちゃんじゃなくてカッコいい感じの春ちゃん最高‼️ もう、言葉選びが最高だからストーリーもめっちゃ最高だし感動できる 1話が長いのってホントに暇な時しか見ようと思えなかったけど清華ちゃんのはどんなときでも引き込まれる