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気付けば私は大きく勇敢な木に手を触れていた。私を光が包み込んだ。包み込まれたとき、私は微かに何かに吸い込まれるような感覚を覚えた。
「……」
私はゆっくり目を開けた。そこには、ある空間が広がっていた。木の中のはずなのに広々とした空間があった。そして広い空間と共に1人の人も目に入った。私は混乱していた。だって木の中に空間があってその中に人がいたから。考えても分からないものを考えていると、
「あなた、誰?」
とその中の人に聞かれた。私は少しドキッとしたがその人が悪い人ではないと本能的に感じ、小さな声で名乗った。
「レミリア・スカーレット」
私が名乗るとその人は私を少し見つめて見透かしているように言った。
「あなた吸血鬼ね?」
私はビクッと驚いた。外見だけでは到底吸血鬼と思えないほど人間に似ていたはずなのに、それを正確に言い当ててきたからだ。
「その反応…やっぱりね。貴方は自分では理解していないほどの霊力、力がある。それはもう私でも太刀打ちできないぐらいのね。」
私は大きく目を見開いたままだった。誰かも知らない人が何故そんなことを言ってくるのか不思議に思っていた。そもそもなんでそんな事が分かるのかも不思議に思っていた。そんなことを考えているとその人は言葉を発した。
「ごめんなさい。名乗るのが遅れてしまったわね。私はパチュリー・ノーレッジ、魔法使いだわ。」
どうやらその人はパチュリーと名乗った。そこで私は疑問に思ったいた事を聞いた。
「パチュリーさん、ここはどこなんですか?なんで木の中に部屋があるんですか?」
そう聞くとパチュリーは少し自慢げに答えた。
「この部屋があるのはあなたも知っての通り、木の中よ。そして、この木の中に部屋があるのは、私の拡張魔法でこの中の空間を広くしているからよ。」
私は感心した。そんなことが出来る人がいるなんて知らなかったからだ。パチェの器用さと魔法の技術に感心していると、
「あっ、そうそう。私に敬語は使わないで欲しいわ。敬語だと隔たりというのを感じてしまうからね。名前は……そうね、パチェとでも呼んで欲しいわ。」
パチュリーは優しく私に声をかけてくれた。
「で、なんであなたはここに来たの?まぁ、大方、吸血鬼ハンターに、追われて行く宛てがなくてここに来たんでしょうけど」
私はコクっと頷き、今までの出来事を全て話した。
全て話すとパチェは私を元気づけるように
「じゃあ行く宛てがないなら私が匿うわ。今まで辛かったわね。」
と言った。この時、私の胸は暖かくなり、初めて自分の境遇を理解してくれる人が出来たと思えた。私は嬉しさのあまり、ずっと堪えていた涙をボロボロとこぼした。