_熱い癖に非道く冷える夏だった。
短く儚い夢を君と視た。
いつまでも君を捜した。
🍵「…。」
ツンと鼻を刺す塩素の匂い。
そのなかでひとりだけ。
一輪の花の様に咲いている君。
そんな君が俺を視て、
👑「こんにちは、!」
凛としたさっきまでの表情とは違って、
ふにゃっとした柔らかい笑顔を魅せる君。
はじめて、美しい、と感じて、
🍵「!…こんにちは。」
👑「俺みこと!…なぁ、」
「名前なんて言うん?」
🍵「すち、」
👑「!」
👑「すちくん?」
🍵「うん。」
👑「宜しくね!」
🍵「うん、宜しく。みこちゃん」
👑「!…ふふ、っなんか、その呼び方、変」
(笑
可笑しそうに笑う君。
🍵「やだった、?」
👑「ん~んっ!嬉しいからい~よ!」
年齢も近く同姓同士の俺たちは
すぐに打ち解けた。
👑「なぁ、!すちくんっ!」
🍵「ん?」
👑「すちくんって告白されたことある?」
🍵「え、…。」
入院する前、学校で何度か。
🍵「まぁ、すこし。」
👑「え~!ええなぁ…、俺、ない…。」
🍵「え、~、…こんなに可愛いのに…」
(笑
👑「んなぁっ、ぉ俺はッ 可愛じゃなくて」
「かっこいいなのっ、!…てゅかっ」
「馬鹿にしとるやろっ!」
(むすっ、
そう言って頬を膨らませる君。
🍵「してないよ、。」
(笑
看護師「すちくん。ちょっとこっち。」
いつもより低くて震えた様な看護師の声
『すちくん』だなんて幼子を宥める様な
話し方。俺一応高校2年生なんだけど。
少しの違和感を覚えながら
🍵「…?はい、今行きます。」
「ちょっと待っててね、みこちゃん。」
「変な人についていっちゃ駄目だよ、」
👑「すちくんは俺のことなんやと」
「思ってるん?!」
「そんくらいできるからっ!」
🍵「…ふふっ、わかったわかった、」
「じゃ、ちょっと待っててね、」
(撫頭
👑「…んぅ、」
(照
🍵「…?」
変に大きな部屋に連れてこられて、
より一層違和感が強まる。
🍵「あの…、」
看護師「すちくん…、落ち着いてね。 」
🍵「…、?」
え、なに。この感じ。
医者「あ、すちくん、こんにちは、」
🍵「こんにちは、…、?」
さらに違和感が強まる。
こんな部屋に医者がひとりと
看護師が3人。
大きなモニターが医者の目の前にある。
誰かの心臓が映っているようだ。
医者「すちくん、落ち着いて聞いて、 」
…なんだか見たことある光景。
ドラマとか、映画とか、そ~ゆ~ので
よく見る…脳裏に嫌な想像がよぎって、
冷や汗が止まらない。
🍵「は、い…。」
医者 「…重度の心不全です。」
🍵「ぇ…、? 」
心不全…、?
医者「心不全の5年後の生存率は50%以下」
頭が真っ白になって、耳がキーンとなる。
ちょうどいい温度の設定のはずなのに、
汗が止まらない。
医者の説明は続いている様だけど、
何も聴こえてこない。何も入ってこない。
ばたたっ、
母「すちっ、!!」
シングルマザーの母が来てからやっと
医者の話の内容が入ってきた様な気がする。
「…ぐすっ、なんでっ、なんですちが…っ」
強くていつも凛としていた母が
一眼も気にせず泣きじゃくる顔と声。
深刻そうな表情の医者と看護師。
そしてモニターに映る
何よりの証拠である俺の心臓が。
逃げられない現実を突きつけてくる。
俺、あと1年で死んじゃうんだ。
コメント
2件
神作だ、、、ピエエ 続き楽しみすぎる、、、!