Teller Novel

ホームホラーミステリー青春恋愛ドラマファンタジーノベル

第3話

311

2022年08月05日

#ドズル社#BL
山本

山本


おんりーを病院に連れていってから、そろそろ1ヶ月がたつ。


医師から出された診断は若年性健忘症。


それによる出来事の一部を忘れる記憶障害。


軽度なら自然と記憶を取り戻す可能性が高いらしい。



でも───




カララララ


「おはよ、おんりー。」


「....おはよう、ございます...」


「僕のこと分かる?」


「...えっと...ど、ずるさん?」


「...うん。よかった、今日は覚えてたね。」


「...はい。」


「...今日はねー、バナナ持ってきた。一緒に食べよ。」


「....はい。」


「...どこか体に違和感とかある?」


「いえ...ただ、何かを忘れてる...みたいな、感覚がずっとしてて...でも、それが分からなくて。」


「....うん。大丈夫、ゆっくり思い出してこ。焦んなくていいよ。」


「...はい。」




おんりーは、日によって調子が違う。


良い日には僕のことも、おらふくんのことも覚えてる。


でも、悪い日には自分のことすらも覚えていないことまである。



何か、きっかけがあれば記憶を取り戻してくれるはずだと思って、

病室にこっそりバナナとか、なすとか、雪だるまのぬいぐるみとか、豚のシールとか、

見せてみたけど、どれもきっかけになってくれなかった。


医師曰く、とにかく受け入れるしかないとのこと。


今一番辛いのはおんりーだ。だから、僕が今諦める訳にはいかない。



いつかの調子がいい日に、おんりーが言っていた。







「ドズルさん。」


「んー?なに、おんりー。」


「...僕のこの記憶障害のこと、おらふくんには絶対に言わないでください。」


「....いいけど、どうして?」


「...いつか、病状が悪化し続けて、おらふくんのことも忘れちゃったら...一番悲しいのはきっと、おらふくんなので。」


俯きながら言う。


「...うん。」


「...だからせめて、俺のことは忘れてほしい。」


「....おんりーは、それでいいの?」


「...おらふくんが悲しまないのが俺の望みですから。」


儚げで、今にも壊れそう。そんな印象を受けた。


仲間にそんな顔をさせてしまうなんて。


「...絶対に、治す。そのために僕にできることなら、なんでもしてあげるから。」


「....ありがとう、ございます。」


そのときおんりーは、ふにゃ、と入院して初めて、少し安心したような笑顔をうかべた。





だから、今までおらふくんにも、メンバーにも伝えていなかった。


おんりーが記憶障害なのも、


入院していることも。


でもいつか、言わなければいけないんだろうなと、思っていた。



そして、その日は案外早く来た。




「ドズルさん!」


「...どうしたの?おらふくん。」


「どうしたの?じゃ、ないですよ。」


「....。」


「おんりーがどこにいるか、知ってるんですよね?」


「....知ってるよ。」


「...っ!どうして、僕に教えてくれんのですか?」

「それは...」


「....僕じゃ、だめだったんですか?」


「え....?」


「僕じゃ、おんりーの支えになれんかったんですか?頼りなかったんですか?」


だんだんおらふくんの目に涙が溜まっていく。


今にも溢れ落ちそうだ。


「僕は、おんりーのこと...ずっと、ずっと愛してるのに....おんりーは、僕のことっ....」


「それは、違うよ。」


「じゃ、じゃあ、なんでっ!」


「....もう、限界かな。」


「えっ...?」


「...いいよ。全部おらふくんには話すよ。でも、....覚悟はある?」


「...っそんなの、あるに決まってるじゃないですか。」


まっすぐな瞳でこちらを見る。



「....わかった。行こう。」




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