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🌸 海浜高校・第1話「新しい春」
春の柔らかな光が海浜高校の校門を照らしていた。
桜の花びらが舞い、制服の肩や髪に軽く触れる。
藤嵜晴真は、少し肩をすくめながら校門をくぐった。
今日は新しい生活の始まり。緊張が胸の奥でじわじわと膨らむ。
駿斗
「晴真、ちょっと緊張してる?」
晴真
「うん…校舎に入るのに少し勇気がいるかも」
千春
「二人とも落ち着いて!楽しい一年になるんだから!」
千春の明るい声に、晴真は肩の力を少し抜く。
駿斗も小さく頷き、三人は校舎へ向かって歩き出した。
校門前の広場では、新入生たちが笑い声を上げ、友達同士で自己紹介や談笑をしている。
晴真は少し離れてその光景を眺め、深呼吸をひとつする。
晴真(心の中)
「みんな楽しそうだな…俺も早く打ち解けたいけど、どうやって話しかければいいんだろう」
桜並木を抜けるたび、舞い落ちる花びらが制服に触れる。
千春は指で花びらを弾きながら、楽しそうに笑った。
千春
「ほら、晴真、桜の花びらが肩に乗ってるよ」
晴真
「わ、ありがとう…」
駿斗
「…あまり照れるなよ」
教室に入ると、窓際に一人の少女が座っていた。
長い黒髪、落ち着いた表情――小松山しおんだ。
晴真(心の中)
「…あの子がしおんか。静かそうだな…話しかけるのは少し怖い」
千春
「しおん、今日もよろしくね!」
しおん
「…うん」
晴真は机の上で入学式のパンフレットを整え、少し視線を向ける。
教室内にはクラスメイトたちの笑い声が広がり、和やかな雰囲気が少しずつ生まれる。
伊藤先生が入室した。
伊藤先生
「皆さん、海浜高校へようこそ。まずは自己紹介から始めましょう」
順番に名前と趣味を言いながら、クラスメイトたちの個性が見えてくる。
前列の男子
「〇〇。趣味はバスケットボールです。よろしくお願いします」
後ろの女子
「〇〇です。趣味は絵を描くことです。よろしくお願いします」
中央の男子
「〇〇です。趣味はゲームです。よろしくお願いします」
順番が回ってきて、晴真が立ち上がる。
晴真
「藤嵜晴真です。趣味はサッカーです。よろしくお願いします」
クラスの数人が拍手し、少し注目を浴びる。
千春は隣でにこりと笑う。
千春
「わあ、サッカー!かっこいい!」
晴真
「ありがとう…」
駿斗も隣で微笑む。
駿斗
「晴真、落ち着いてるな」
窓際のしおんが立つ。
しおん
「小松山しおんです。趣味は読書です。よろしくお願いします」
しおんの声は静かだが落ち着いており、教室の空気が少し引き締まる。
晴真は一瞬見とれるが、すぐに机に手を置く。
千春
「読書かぁ…かっこいい!いっぱい本読んでるの?」
しおん
「ええ…まあ、そこそこ」
少し頬を赤くして微笑む。
駿斗
「青木駿斗です。趣味は剣道です。よろしくお願いします」
千春
「春野千春です。趣味は料理と裁縫です。よろしくお願いします!」
晴真(心の中)
「…みんな個性的だな。これから毎日が楽しみだ」
昼休み、教室の片隅で晴真は少し勇気を出して、しおんに話しかける。
晴真
「…あの、最初の教室、少し緊張するね」
しおん
「…うん、ちょっとだけ」
晴真
「よかったら、少しおしゃべりしてもいい?」
しおん
「…いいわね」
千春
「わー!二人で話してる!」
駿斗
「晴真、焦らず自然にだぞ」
短いやり取りだが、互いの緊張が少しずつほぐれ、距離が縮まる。
笑顔や小さな頷きで、安心感が生まれる。
晴真(心の中)
「初めてちゃんと話したけど、思ったより自然だ…」
しおん(心の中)
「少しだけだけど、話してよかったかも」
入学初日が終わり、教室を出ると校庭は夕陽に染まる。
千春
「駿斗くん、今日は一緒に帰ろうよ!」
駿斗
「いいぞ、千春。入学初日だし、いろいろ話したいこともあるしな」
二人は並んで歩き始める。
千春は元気いっぱいに今日の出来事を話し、駿斗は笑顔でそれに応える。
千春
「晴真くんとしおんは海辺に行ったのかな…?」
駿斗
「そうみたいだな。二人のペースで楽しんでるんだろう」
夕陽が二人の影を長く伸ばし、親友としての安心感と穏やかな時間が流れる。
千春は道端の小さな花を指で触れ、駿斗はそれを微笑みながら見つめる。
千春
「初日からこんなに楽しいなんて…高校生活、きっといい一年になるね!」
駿斗
「そうだな、俺たちならきっと大丈夫だ」
二人は笑いながら、夕焼けに染まる道を歩き続ける。
初日の緊張や不安は少しずつ解け、友情の土台が静かに築かれていった。