『おんりぃー!』
突然電話がきた。
ただ、第一声が涙声で俺の名前を呼んでいたから、なんとなく何があったかは察した。
今日はぼんさんが家に来るからって楽しみにしてたはずだ。
「どうしたの?」
「ぼんさんに気になってる人…」
『うん…俺、知らなかったから、びっくりして…』
特徴を聞く限り…おらふくんのことだなこれ。
ぼんさんには申し訳ないけど、これはチャンスだろ。
だって俺もおらふくんが好きだから。
でも、おらふくんが好きなのはぼんさんで、俺じゃない。
だからいつも一歩引いたところで見ていた。
でもこれは、ぼんさんが回りくどく伝えようとしたから起きた過失だ。
「…おらふくん。」
『…なに?おんりー。』
若干呂律の回らない声で聞き返してくれる。
「俺も…俺だっておらふくんが好きだよ。」
『…え?』
「ごめんね、弱みにつけこむようなことして。でも、こうでもしなきゃおらふくんは、俺の方を見てくれないでしょ?」
でも、分かっている。
おらふくんがどれだけぼんさんを好きかも。
このあとの返事も。
だからこれはただの自己満足だ。
『おんりー。』
「…なに?」
『ありがとう。』
「…うん。」
『でも、ごめん。俺やっぱぼんさんが好きみたい。』
「…うん。知ってた。大丈夫。」
わかってた。
わかってたはずなのに。
なんで涙が出ちゃうんだろう。
『…今おんりーに会えたら、絶対ぎゅーってする。』
「…なんで?」
『ぼんさんのこと相談してごめんねっていうのと』
「…それはおらふくんのせいじゃないよ。おらふくんが俺のこと頼ってくれて、嬉しかった。」
『…うん。おんりーのこと、すごく頼りにしてる。』
「…それで、もうひとつは?」
『おんりーが泣いてるのを止めるため。』
「!」
『さっきからちょっと涙声やんね。ごめんね、無理させて。』
「そ、そんなことっ….!」
やさしい。だから好きになった。
いまはそのやさしさがつらい。
『おんりーの好きとは違うかもだけど』
涙が溢れてくる。
『俺もおんりーが好きだよ。』
そんな言葉は聞きたくなかった。
コメント
2件
す、すきです涙
バッドエンド嫌いって言ってたのに書いちゃった... ごめんおんりーさん...