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柳沢瑠菜、見事に二十歳を過ぎ、現在求職中。父さんも母さんも心配性だから、早めに職に就きたいところ。でも…………
これまで入社試験を4つ程受けたけど、全部落ちた。なぜなら……
「御社を希望した理由を教えてください。」
「は、はい、えっと、おんじゃ、あ違う、御社の……」
昔からとても本番に弱い性格だった私は、面接試験で緊張してしまい、結果はダメダメ。そのため不合格が続いた。
今ではアルバイトで必死に貯めて節約したお金と、就職するまでの親からのお金やら、食べ物やらの仕送りで暮らしているが、間もなくお金は底をつきそうだし、親からの仕送りも、何処となく申し訳ない。そもそも家を出る前に、私は親に仕送りの件で散々断ったのに、話聞いてないかのように月イチで食べ物がパンパンに詰まった段ボールを送ってくる。だからこそ申し訳ない。
「はぁ。どうしよう。」
当たり前の生活を続けるために、それを支えるために、お金が必要。
「平凡な生活を築くには、労力とお金が必要、か………。社会って大変。」
なんとも当たり前な事を呟き、机につっぷした。
「平凡な家庭を築くって、夫婦みたいな事いいますね〜。彼氏さんいらっしゃるんですか?」
カフェの店員さんが、コーヒーを持ってきてくれた。
「はい、こちらご注文のコーヒーです。」「あ、ありがとうございます。………あ、さっきの彼氏の話ですけど、今はいませんから。」「そうでしたか。あ、すみません、俺ごときがプライベート的な所踏み込んじゃって。」「いやいや、大丈夫ですよ。」
この店員さんは、愛想良い笑い方がお客さんにも人気。確か、和月舞斗さん、だったっけ?
「そうです。瑠菜さんよく覚えてましたね!」「まあ、通い始めて数ヶ月は経ったし………。そういう有紗さんは店員さんの顔とか名前とか覚えてるんですか?」「もちろんです!!えーと………………………さっき話した和月さん。あと、店長の小宮寿理愛さんと、副店長の小宮勇人さん。ご姉弟で経営されてたんでしたよね。」「確か、そうだったわよね。」「え?それって瑠菜さんも全部覚えてないんですか?」「いやいや、そういうわけではないわよ!あと橘雪羽さんと中山凪さんでしょ?」「そう。」「ほら合ってたでしょ!」「そうですね〜若干悔しい気持ちもありますが、、。」「アハハッ!」
この人は及川有紗さん。カフェの開店当初からの常連さんで、カフェに来る日時などがよく被り、趣味の絵描きも一緒で、よくカフェだけでなく近くの公園などでも話したりする、大人での初めての友達なのだ。