「はぁ…なんか依頼来やんの?暇すぎて惰眠を貪るのにも疲れて来ましたけど…」
「まぁまぁええやん?あの一件がある前は逆に依頼が多すぎて困ってたくらいなんだからさw」
「でもここまで暇だと流石に…あ」
机に溶けていた緑色のフードが勢いよく起き上がった衝撃で肩より前に飛び出す。
「アイス買いに行きません!?✨」
「アイス…アイスか……」
しばらく考え込んだ後、黒縁メガネの青色のスーツを着た男はニコリと笑う。
「せやな。どうせ暇やし」
「よっしゃ!一番高いやつ買お〜」
「おいおい待て?w流石に自腹な?」
「あざぁ〜っすw」
「おっ前なぁ〜!w」
近くのスーパーに箱のアイスを買いに行く二人。
その帰り道、眼鏡の男が一人の人物に気がつく。
「ゾムさんあれ前の依頼の時におった奴とちゃいます…?」
「え?」
溶けかけた棒アイスを咥えたまま肩を叩かれた方向へと視線を向ける。
そこには青色の髪をした「あの時」の彼がいた。
「…待てや大先生w」
「ん?」
「その後ろにおるのって…まさか、」
彼の後ろにいた四色。
背の高い彼らは道すがる一般市民たちの視線を独占していく。
決して背が低いわけでもない青い彼が何故か低く見え、俳優並みの男共が後ろを並んで歩いていればそりゃ注目も浴びるだろう。
「うっわぁ…めっちゃ目立ってるわアイツら」
「正確には後ろ四人組だけな…」
棒アイスの表面に垂れた液を舐める。
他に考え事をしているせいか、溶けるスピードと珍しく比例しない食べる速度。
自分の指にアイスが垂れる。
ああ…あれじゃあまるで…
「ボディーガードみたいやな」
「え?」
あの一件から少しの時が経った後、事務所へと一通の手紙が届いた。
手紙は依頼に関しての内容だった。
[依頼は他の者がこなしてくれたので報酬のみ同封いたします。ご迷惑をお掛けしました。]
同封されていたカードには依頼をこなされたと同時に送金される額がきちんと入っていた。
妖怪を見た
この依頼は元々、写真やらなんやらで解決されるものでは無かった。
「死ぬ事」
それだけがこの依頼を「こなした」ということに繋がったのかもしれない。
「はぁ……最悪な気分に逆戻り…」
自分の先で足を止めていた大先生を追い越す。
後ろから小走りの音が聞こえると共に、それが横に並ぶ。
「ゾムさん…?」
「所詮、俺らは使い捨ての駒なんや」
食べ終わった棒を指でひっくり返す。
「当たり」という文字が目に飛び込むと同時に自身の口角が釣り上がるのが分かる。
「ならお望み通り…」
「存分に暴れてやろうじゃねぇの…w」
コメント
2件
ちゃんと箱を買って行くところに口角があがってしまう😏