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「冬真も魔物を狩ってみようか」
「…狩り」
「うまく使えこなせるようになったからな。実戦は大事だ」
狩りか…両親が魔物を倒すのを見るのは平気だ。確かに魔物が死体になるところ解体はグロい、だが見届けることはできる。それは自分自身に影響がないからだ。自分がやってるわけではないから。だからこそ、自分でやることは怖い。うまく戦えるかも分からない。剣術が自分に合っているのかも分からない。できると期待を受けてそれを絶望へと変わりそうで怖い
「ほらやってみよう。うまく隙をついて…」
魔うさぎ、見た目はうさぎそのものうまく隙をつく…
スカッ
『キーーー』
避けられ鳴きながら逃げていった。それから何度も何度も隙をついてやってもできなかった
「惜しかったな」
「…うん」
(父さん…がっかりしたかな)
怖い。いざやろうと思うと怖くて哀れに思って殺せなかった。どうやったら瞬時にできるのだろうか。怖い
何でできないのだろうと悩み悩み夜はぐっすりと眠ることができなかった。
「冬真…大丈夫」
「え…」
「顔色がよくない」
見抜かれてしまった。期待を裏切りそうで怖い。だけど…
「母さん…うまくできなかった」
「焦らなくていいよ」
「でも…」
「剣が無理なら他の武器にすればいい。自分らしいやり方は一つじゃない選択肢はたくさんある。分からないなら全て試せばいいよ」
一つじゃない…たくさんやって自分らしさを見つける
「知ることも大切だよ。冬真は何を知りたい」
俺が知りたいことは…
「彰…仕事に行ってくる」
「いってらっしゃい」
「母さんいってらっしゃい」
母さんは仕事の時大きめのローブを身に着けている
「母さん…母さんの仕事ってなに…自分らしさってなに」
「知りたい」
「うん、知りたい」
「一緒に仕事にいこうか」
「いいの…」
「知りたいんでしょ」
「うん」
「母さんここは」
母さんについていった先はとあるお屋敷だった。真っ暗な中ある屋敷は不気味に感じる。そして、母さんは白いゴスロリの格好に着替えていた
(あやしさ満点でカッコいい)
「仕事場…静かについてきて」
俺を抱えベランダに飛び乗り耳を澄ませる
中から怒鳴り声や笑い声が聞こえてくる。一時すると静かになった。
カチャ
窓を開け風のように中へと入っていった。
部屋には大勢の人達がいた。宴会をしていたのか酒を持ち寄り皆笑顔だ。相手は気づいていないようだ。真後ろにいるのに…
パーン
微かな銃声と血しぶきそして氷のような冷たさ
(美しい…)
彼女の動きは息をのむほど美しかった。白いドレス…白い銃…動き一つ一つが踊るようにしなやかに穏やかに見惚れてしまう。その場にいた人たちは殺されたときの恐怖や悲しみの表情をしておらず先ほどまでと同じ笑顔のままだった。
氷のように冷たい顔をしているのに聖母のような慈悲に溢れた表情をしていた
「…これが私の仕事」
「…綺麗」
「貴方もそう言ってくれるのね…知りたいことは知れた」
「うん」
「戻りましょう」
母さんは殺しの仕事をしていた。人を殺すのは前世の記憶の中では駄目なことだと分かっている。分かっているけど…だけどさっき見た殺しは美しかった。興奮している自分がいる。今でも胸が高鳴る。音がうるさいぐらい高鳴っている。
「母さんは殺し屋…それが仕事」
「そうよ」
「いつから」
「始めたのは子供の頃」
「何で人殺しなのに美しく感じたんだろう」
「わからない」
「母さんはどうしてあんな顔をしたの…どうしてゴスロリ…」
「誰かの時間を奪うことはその人の終わりを意味する。あわれみと感謝を込めて失礼の無いようにちゃんとした礼服を着て殺すの」
「どうして悟られないようにするの…恐怖とかしないの」
「その人がどんな人であれ時間を奪ってしまうの…せめて幸せのままでいてほしいから」
「この仕事楽しい?」
「楽しいのか分からないけど…やりがいは感じてる」
「俺…母さんみたいに美しくやりたい…銃を覚えたい」
「いいわよ…教える」
「うん」
その夜は穏やかに眠れた。興奮と胸の高鳴りがあったが感動的な夜と共にぐっすりと眠った
それから母さんに銃の使い方殺しの覚悟を教えてもらった。初めての挑戦。ゆっくりと狙いを定める。相手は気付いていない。幸せな空間。頭を狙い
(…感謝を込めて)
パーン
「ハァ…ハァ…ハァ」
始めての殺しだ。魔うさぎは銃弾があたり先ほどと変わらぬ体制のまま死んだ。
「…すごい」
俺は銃で生きる。こっちの方が落ち着き思いを込めれる。俺だけのやり方
「母さんできたよ…俺できたよ」
魔うさぎを持って母さんのもとに飛び込んだ。
母さんは「すごい」とか言うのではなく優しく頭を撫でてくれた。とっても心地がいい。
「…お願いがある」
「なに」
「俺…母さんみたいに腕が上がったらその…あの…えっと…母さんが使っている銃を俺に繋いでください」
「いいわよ…約束。将来きっと似合う大人になってね。…白い礼服でも着て」
「うん」
約束…絶対になる。自分の目標で尊敬だ。もしかしたら俺も母さんみたいな殺し屋になっているのかも知れない…
○○がいなくなるまで後……日。