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「私、シルバー先輩のことが好きです」
その言葉が、私の口からようやく零れ落ちた。震える声で告げた瞬間、心臓が高鳴り、何度も深呼吸しないと息ができなくなった。これまでずっと胸にしまっていた気持ちをどうしても先輩に伝えたくて、どうしても彼の目を見たくて
シルバー先輩はしばらく黙って私を見つめていた。その顔に浮かぶのは優しさだけではなく、どこか痛みを感じさせるような表情だった。普段の穏やかな先輩の顔が、今は少し固くなっているような気がする。
「その気持ちは嬉しい。でも…お前は元の世界に帰らなくてはいけないのだろう?」
その言葉が私の胸に深く突き刺さった。元の世界に帰らなければならないことは私も分かっていた。でも、それでも私は先輩と一緒にいたかった。この気持ちだけはどうしても諦められなかったから
「…私は帰りたくないです。シルバー先輩と一緒にいられるこの世界が好きだから、だからシルバー先輩と一緒にいたいです。ずっと」
私の声は震えていた。でもどんなに弱くてもこの気持ちは伝えたかった。シルバー先輩は黙って私の目を見つめ、深い溜息をついた。
「お前は…本当に俺のことが好きなんだな」
その言葉に私は頷いた。本当に好きだから、愛しているから。その瞬間、先輩が何かを強く決心するように目を閉じたのが分かった。
「俺も監督生のことが好きだ、だがお前がここに残ることは、きっとお前にとっての幸せでは無いだろう。お前には元の世界で幸せになってほしい、だから俺はお前の気持ちには答えられない。」
その言葉を聞いた瞬間、私の心は音を立てて崩れていった。
私の幸せを先輩は心から考えてくれていることを分かっているのに、それでも痛みが込み上げてくる。彼の優しさが胸を締めつけて、どうしてこんなに苦しいのか自分でも分からない
「わたし…」
私は声を震わせて何かを言おうとした。だけど言葉は上手く出てこなくて、ただ涙が溢れるだけだった。そんな私の涙を拭いながら、先輩は優しく微笑んだ
「お前にとって、この世界はとても生き辛いだろう。だからお前には元の世界で俺じゃない誰かと幸せになってほしい。お前にとって最も大切なことは、俺と一緒にいることではなくその先で幸せになることだ」
その言葉に私は無力さを感じた。先輩と私の想いが通いあってもそれはこの世界の私たちの未来には繋がらない。先輩の優しさも私の想いも、結局は交わることなく静かに消えていくだけなのだと
「…なんで」
その一言だけが私の口から零れ落ちた。先輩はもう一度私の目を見つめて静かに言った
「好きだからこそお前には一番幸せになってほしいんだ。これは好きな人に向ける普通の感情だろう?」
その言葉と共にシルバー先輩は静かに私の手を離した。温もりが消えた手のひらは冷たく、空っぽな感覚だけが広がっていく。温もりが消えた手のひらを見つめながら私は心の中で呟いた
ねぇ先輩、私たちどうしたら一緒に幸せになれたかな
その言葉は暗闇の中で木霊し、答えを探し続けるけれどどこにも答えなんて見つからない。先輩の優しさが痛みとなって今はただ悲しみに溺れそうになるだけ