「ほほ〜…てかそれ、らっだぁには言ってないんか?」
事務所に務める人間の情報をある程度丸めた内容で聞いた四人のうち、黄色の彼が問う。
執事は図星を突かれたのか驚いたような表情をするとともにすぐに真顔へと変わる。
「…今回、坊っちゃんがあの事務所へ向かうことを知らなかった私のミスです」
真顔へと変わったはいいものの、彼の態度からすぐに落ち込んでいることが分かる。
この時、おそらく四人が考えたことは一緒だっただろう。
その中の一人、赤毛の彼がその疑問を難なく唱える。
「じゃあ、らっだぁにあそこまでの地図を渡したのは…?」
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「あっぶ…!な…、なになになに怖いんですけどぉ〜?w」
「らだセン大丈夫ッスかー!?」
「なんとかね〜…!」
なんとか飛んできた弾を避け、臨戦態勢へと移行する。
避けた弾が崩れかかっていた建物に被弾し崩壊したそれを避けたはいいものの、それがぐちつぼとの壁を作ってしまった。
煙幕のように視界を塞ぐ粉を意図的に作り出したのかは分からない。
だが、初めて足を運ぶ自分たちがこの場所で無作為に戦うのはリスクが大きすぎる。
煙幕に紛れて壁を壊そうと試みるが、次々と飛んでくる弾を避けるのに精神が持っていかれる。
「クッソ…このままじゃ……っ」
崩れ続ける瓦礫を避け、弾を避け、崩れる建物のガラスを避け。
足が何本あっても足りない目の前の現状をどう打開するか…
キャーー!!
外から女性の声がする。
そうだ、ここはビルで横は普通の…
「…っ間に合えぇ!」
割れた窓から身を乗り出すも下にいる女性の目の前まで瓦礫が迫っていた。
自らを落下させる速度と比例しない女性に迫る瓦礫の距離は心に余裕を失くした。
ドゴッ
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「はぁっ、コンちゃん!次どっちや!」
「次の角を右!」
「了解!」
全速力で走るも、人間の姿ということもあってか上手くスピードを出すことができない。
そういち早く感づいた俺は姿を隠し翼を広げる。
「このままじゃ埒が明かん!先に上から見てくるわ!」
動かすとともに風を切る翼は、一瞬で目的地へと運んでくれた。
だが、そこで見た景色は散々なものだった。
外にまで出る煙幕と半崩壊した建物。
下には大勢の人間が何事かと肩を並べ、興味本位で入ろうとしている。
これだから人間は…っ
人気のない近くの路地で羽を仕舞い、姿を表し人混みへと走る。
瓦礫が大量に落ちた中、一人の女声がアワアワとスマホを片手にうろついていた。
「危ないので離れて…」
建物の一番近くに居た彼女に離れるよう促そうとすると、瓦礫の下に見覚えのある青色が見えた。
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