「いっぱいとれたねー」
「はい!ちょっと頑張り過ぎちゃいましたw」
「流石にこの量持ったまま歩き回るのもあれだし、一旦ドズルさんちに置かせてもらおっか。」
「そうっすね!」
「じゃ、俺置いてくるからちょっと待っててネ?」
「あ…僕も行きますよ!」
「いや、結構量あるからこの辺で待ってて?」
「…わかりました!ありがとうございます!」
「ん。じゃ、行ってきまーす」
去り際に僕の頭をポンポンとしてから、ドズルさんちの方向に歩いていった。
とりあえず人の邪魔にならないように端の方に立つ。
自分が調子に乗って取っちゃった景品なのにぼんさんに行かせてしまって、ちょっと申し訳ないと思いながらも、手伝わせてくれなかったのは僕が非力だと思われたからなのか、と少しモヤモヤした。
にしても、おんりーもmenと楽しんでたみたいで、良かった。
僕のせいでいろいろ気にしとったみたいやから心配だったけど、menにまかしとったら大丈夫そうやな。
あれからしばらく経ったけど…ぼんさんがなかなか帰ってこん。
結構人多いし、もしかしてここ分からんくなったんかな…
どーしよ…もうこの辺に着いとるかもしれんし、ちょっと移動しよっかな…
立ち上がって周りを見回す。
でも、ぼんさんらしき人は見つからない。
「ちょっとだけあっちの方行ってみよ…」
やばい。やらかしたかもわからん。
さっきから五分くらい歩いとるけど、
これたぶん…迷子になってもうた。
この辺人少なくて目立たんし、見つけてもらえんかもわからん。
やばい。
おんりーもmenもドズルさんも見かけんし、
お祭りやから迷子センターなんてないし、
浴衣やからスマホも持っとらんし、
…もうぼんさんとも会えんのかな。
二十歳にもなって、泣きそう。
「…ううっ…ぼんさぁん…」
泣いたらあかんのに。
寂しい。
「おらふくん!!!」
振り返ると、ぼんさんの焦った顔があった。
「ふぇ…ぼんさぁん…」
「びっくりしたぁ!さっきのとこにいないからどっか連れさらわれちゃったのかと思ったよ!」
「ごめんなさいっ…なかなか帰ってこんから探そう思って…」
涙を拭いながら言っているうちに、ぼんさんが僕を引き寄せる。
「ほんっ…とに、心配した。」
ぼんさんの胸に顔をうずめさせられる。
ぼんさんの香り。安心する。
「…ごめんなさい…」
「…ううん。ごめんね、俺も帰ってくるの遅くなっちゃって。」
「…いいです。会えたんで。」
「…ん。」
ぼんさんの手が僕の頭を撫でる。
不安でどうしようもなかった気持ちが落ち着いてくる。
「…怖かったね。ごめん。」
ゆっくり体を離しながらも優しい言葉をかけてくれる。
「..,怖かったです。もう、会えんかと思った。」
「…うん。」
「…ほんまに、心配で、不安で…」
また涙が出てくる。でも多分これは怖いからじゃなくて、安心したからだ。
「…ありがと、心配してくれて。」
ぼんさんの言葉が聞こえた直後、ぼんさんの顔が目の前にあった。
気づいたら唇に柔らかい感触。
ちょっと煙草みたいな味がした。
あれ、もしかして今───
「…安心してくれた?」
「え、今、ぼんさん…ち、ちゅーしました…か?」
「うん。ちゅーした。」
「わ….!」
顔が熱くなる。
「ふふ。真っ赤だよ、おらふくん。」
「だ、だって、初めてですもん!」
「そーなの?じゃ、おらふくんの初めて、俺が貰っちゃったネ?」
微笑みながら言うぼんさんがなんかいつもより色気駄々漏れでやばい。
「あ、今から花火あるみたいだから、もっと高い所行こ?」
そういいながら羽織っていた濃い紫の着物を僕の肩にのせる。
「あ、は、はい!」
「…あとさ、またはぐれちゃわないようにさ、手繋ご?」
ぼんさんの大きい手が差し出される。
「…はい。」
ちょっと恥ずかしいけど、手を繋ぐ。なにげにこれも初めてかも。
「あー…そうじゃなくてさ。」
なにか言いたげな顔。
「ん?」
ぼんさんが、一旦手を離してからスルっと僕の指とぼんさんの指を絡める。
なんかその感触で一気に心拍数が上がったのが分かる。
というか、これって、いわゆる恋人繋ぎってやつじゃ
「ん。じゃ、行こっか。」
満足そうに僕の顔を見てから、歩き始める。
なんか今日イケメン過ぎませんか?!
コメント
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待って、まって、まって、まっt((( 好きです……