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【北村視点】
「山本。」
「……山本?」
「聞こえてる?」
「山本?…やまっ……」
「山本!おい!!」
「やめっ…やめろっ!」
「山本!!!!!」
屋上で
落ちそうな男の片手を
掴んでいた。
「…北村さん?」
いつもの馬鹿面でそいつは俺の名を呼んだ。
「山本、上がれる?」
「離してください」
そいつは抵抗した。
今すぐにでも手を離したいくらいだ。
でも、手が離せなかった。
「も、無理…っ」
その時、
王室三人が手を出した。
「山本くん!」
山本の目から雨が降った。
ため息をついて、
長谷川さんが言った。
「山本くん、なんかあったん?
無理せん方がええで。」
山本は黙っていた。
「ん〜…北村くん、何があったの?」
はぁはぁ言いながら月岡さんが聞いてきた。
「わかんないです…朝来たら屋上で
誰かがって 噂が……
気づいたら屋上に来てて、
山本がいて……」
「俺…死のうとしたわけじゃ…」
山本がそう言った瞬間、
王室三人は口々に説教した。
まとめると多分、
「心配するだろ」ということだ。
「山本…無事ならまぁ…。」
そう言うと俺を見て
一呼吸したあと
「屋上おったら怒られるやろ。
下行こか。」
と、笑顔で言った。
「北村さん。」
「……ん?」
「なんで俺を助けたんですか?」
助けるつもりなんてなかった。
気づけば手を握っていた。
その手も離したかった。
せめて、礼が欲しかった。
「…昔、俺の親友が死のうとして
それ思い出したかな。」
すると、山本が
真顔になって俺の背中に言った。
「…でも俺の事嫌いなんでしょ?」
「……………….. 嫌いやな。」
振り返らずそう言って、進んだ。
「っじゃあ!!
なんで親友と重ねるんですか!!」
考えろよ。そのお花畑で。
「似てるから………嫌いやねん…」
「分かんないですよ!!!」
「親友は!死んだんですよね!?だったら! 」
「…山本。先入観。 」
嫌だった。過去を探られるのが。
「……せんにゅーかん?」
「何があったんか話せよ!親友四人にさ!!
私らならちゃんと聞くし!!」
と、長谷川さんが割って入ってきた。
「そやで。僕らはもう友達やろ?」
俺はそうは思ってない。
思えない。
「うん!!一人で抱えるのは良くないよ!」
「俺の親友は、自殺未遂を犯したんです。」
なぜか、口が滑っていた。
「その時、俺が助けました。そしたら」
《おみゃあのせいで死ねんかった!!》
「助けてもらっとんのに?」
「…まじかぁ。 」
どうでもよかった。
ただ、「ありがとう」だけで良かった。
「北村さん!!
俺も、北村さんみたいになれますか?」
そんな言葉、求めてなんてなかった。