小学生のビョウキ
6年3組
定原 六ツ花
イヤだ。こんな授業受けたくない。
イヤだって思ってだらけることの何がダメなの?
「おい!ちゃんと授業受けろよ!お前ただでさえ頭悪いのによ!」
音楽の時間。だらけて何も書かずに机に突っ伏していると 隣の席の岸田 翔平に注意をされた。
「お前に関係ない。」
私はすぐにそっぽを向いた。
「翔平!あんたなんでいらんこと言うんよ!」
そう声を張って言ったのはひなたちゃん。小4の時大阪から転校してきて、今じゃ私の大親友。
「あなた達ふたりとも、授業を受ける気がないなら出ていきなさい!!」
そして音楽担当の平井先生がひなたちゃん以上に声を張って私達を叱る。
「保健室行こや。熱出たゆーて」
「いいよ。」
私は翔平への不満で頭にぽっかり。穴が空いているような気分だった。
「保健室の先生ってさ、なんか凄い綺麗やけど、変な人やったよな」
「うん」
私は中身のない返事をする。
「待ってたのだよ」
保健室の扉を開けると、すぅ、と先生の甘い香水の匂いがした。
「えっと…ね、熱が出て、」
「そうなのだね?ならベッドに座るのだね」
ひなたちゃんはそう言うとベッドに腰をかけた。
「で?君はどうしたのだね?」
私も熱が出たんです
「翔平がウザい」
気付けばそう口に出ていた。
「そうなのだ?なら、我の新作薬があるのだ!」
「え…う、そ」
そういうと先生は1つの箱から小瓶を出してきた。
「イヤイヤドラッグなのだ!」
「イヤイヤドラッグ…?」
私は先生から渡された小瓶の中のラムネのように綺麗で小さな薬を1粒飲んだ。
「それはイヤイヤするとすぐに乗っ取られるから注意するのだね!で、そっちの君…ひなたくんは?」
私にはひなたちゃんと先生の話がよく聞こえなかった。私は保健室から背中を押されるように出ていった。音楽は終わっていて、次は社会。
翔平と席の近い私は、すぐに注意される。
「もう!いい加減にしろ!真面目に授業を…」
「うるさいうるさいうるさい!!!!アンタに関係ないでしょ!!!!もうこんな席、イヤ!!!!」
すると私の心臓ら辺から紫の糸のようなものが出ていた。
「え…?」
私の視界は真っ暗になった。
「あの子、イヤイヤッ子なんでしょ」
「ワガママなのよね」
「いっつも1人で怒ってばっか」
遠くではひなたちゃんや翔平が悪口を叩いている
「そのくせ1人じゃ何も出来ない」
「臆病なんだわ」
「きっとそう」
ほかのクラスメイトも加わった。私は息苦しくなってすぐにひなたちゃんの服を掴もうとする。
「ま、まって…ひなたちゃ…ん…」
目の前でみんなが溶けて黒い液体になる。私の足にまとわりつくと、ドロドロと膝小僧まで登ってきた。
「大丈夫やで!!!!そんなんみんな思っとらん!!!!」
後ろからはひなたちゃんの声。私はドロドロした液体から咲く白い薔薇が腰まで来る前にひなたちゃんに抱き着いた。すると、いつの間にか保健室のベッドに座っていた。
「先生!!!!ひ…あれ…?」
私はさっき誰に抱きついたんだろう。
「ひなたちゃんは一緒に居ないのかね?」
「…誰…?」
ひなたちゃんって誰だろう。私はひなたちゃんが笑っているように眩しい太陽を窓から見上げた。
…え?
ひなたちゃんって…だれ…?