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「ふー、つっかれたぁ」
「邪魔、する、」
本人でさえ2人の非番が重なった時にしか来ない保科宅。2人の非番が重なるなんて奇跡は月に1、2回あればいい方だ。その為生活感の無い簡素な家。自分の家とさほど変わりはないのだがやはり彼氏の家。となると多少の緊張はする。
いや、結構する。
「ふふ」
保科が笑う。
「何だ」
と問うと保科は目を細めて
「いや〜?」
「弦くんが照れくさそうにしてんの可愛ええなぁって」
「!?!?」
もう〜毎回照れてんねんから〜と続ける保科に照れてなんかいないと悪態をつく。でもそれは保科には通用しない。もう、このやり取りを何十回と続けているから。
「ほら、突っ立ってへんとお風呂入ろ」
スルッと鳴海の腰に手を回して風呂場に誘導する。これもいつも通り。明日が非番となれば今日いくらヤッても明日があるからと保科の意味のわからない理屈でまずは風呂場でボクのを……解される。
自分でやると言っても僕がやりたいねん。と聞いてはくれない。だがソコは本当ならただの排泄器官、解せば女のように濡れる訳でも無いのに。保科は毎回ニコニコしながら自身の手にローションをたっぷり垂らして鳴海のソコを念入りに解す。
「ん、っ、ふ、ッ、……ぅ、はぁ、っ」
風呂場に甘い声と水音が響く。自分の下からぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえ耳を塞ぎたくなる。しかも出したくもない喘ぎ声。女のように可愛らしい声なんか出てくる訳もなくひたすら唇を噛んで声を抑える。
「ひっ、ぅ、……ん、っ、」
手の甲を口に当てて声が漏れるのを少しでも抑える。だがそれを保科は阻止する。
「ダーメ」
「はっ、な、ん、、ッ、はな、せ、」
「やって、鳴海くんの可愛い声聞きたいやん」
「な?聞かせて」
子供に分からせるように下から可愛らしい顔でお願いしてくる保科。それにめっぽう弱い鳴海は結局
「わかっ、たから、ッ、」
「その、顔、やめ、ッ、ぁ、!や、ッ、」
「やった♡♡」
こう言ってしまう。
風呂場から出てほかほかしていると保科が何かを持ってこちらへ近づいて来た。何となく、嫌な予感。
「げーんくん♡♡」
この呼び方は、絶対ダメなやつ。保科が持っているのはきっと何かのコスプレ衣装。この前もメイド服を着させられてそれに興奮した保科がこれでもかと言うほど抱いてきて死ぬかと思ったんだ。もう出ない、イきたくないと何度保科に訴えても聞く耳を持たない。弦くんならいけるやろ?と鳴海を煽りに煽り結局鳴海を抱き潰す。
もう散々だ。明日は休みだが、休みだからこそ一日中ベッドとよろしくは避けたいのだ。明日はやりたいゲームがあるし鳴海だって保科とまったりといい休みを過ごしたい。だがこの男と行ったら……。
「なぁ弦くーん。聞いとる〜?」
間延びした声でソファの後ろから鳴海を呼ぶ。
「あぁうるさい!!うるさい!!」
「ボクは絶対着ないからな!!!」
勢いよく保科の方に振り返って大声で言ってやる。
眉毛をグッと寄せて保科を睨む。心の中では言ってやったぞとドヤ顔の自分がいる。エッチが嫌いな訳ではない。寧ろ男なんだから普通に性欲だってあるし恋人とセックスをしたいと思っている。思ってはいるが保科は毎回と言って良いほど何かしらの小道具を持参するのだ。コスプレ衣装だのいつ取り寄せたのかも知らない健康器具……だとか。色んな弦くんを見てみたいと言う保科の思いを否定する訳では無いがどれもハードルが高いものばかりで毎回鳴海は途中でギブ。
コスプレでヤッた後、結局服を脱いでその後何回も抱かれるので鳴海のメンタル、体力が持たない。防衛隊の第1部隊隊長を務めている鳴海だがそちらの方の体力は持ち合わせてなんかいない。
でもそれらを正直に言うのも嫌だ。自分の方が弱いなんて相手に告白するのは鳴海のプライドが許さなかった。
「アカンの?」
「ぅぐ、」
少しの身長差を利用して保科は鳴海の両腕を取り、グンっと保科の方へ寄せて鳴海との距離を詰める。色っぽい声で聞いてくる保科に鳴海は耐えられなかった。
「〜〜〜〜ッ!着れば良いんだろ!着れば!!」
「そこで正座でもして待っていろ!!」
乱暴に衣装を引ったくって寝室へ向かう。衣装がよれるだとか知った事じゃ無い。あの鳴海様が仕方なく着てやるんだ。泣いて喜べ。
──────着替えたくない。
3分前の自分を殴ってやりたい。
前回のコスプレがメイド服だった。それはスカートの長さが膝下程度で嫌なのは変わりないが男のゴツイ太ももが隠せる程の丈があった。だがどうだ、今回は。
セーラー服のスカートが短すぎる!!!
膝より更に上の太ももが全く隠れない丈の長さ。上は半袖仕様のセーラー服でリボンはボタンを留めるだけで付け外しが出来るもの。ご丁寧に靴下まで揃えてある。それもくるぶし程度の長さで足の露出が激しい。
保科より更に上背のある鳴海だが今回も難なく衣装に腕が通ってしまう。だからさほど違和感が無いのがまた腹が立つ。着終わった後、全身鏡に映る自分を見るがあまりにも滑稽だ。色気も可愛さもない成人男性がセーラー服。泣きそうだ。
「鳴海さ〜ん?」
自分の姿に気を落としているとドアの向こうから保科の声が聞こえた。着てやると言って15分程経っても部屋から出てこない鳴海を心配してとの事だ。
「何だ」
「着替え終わりました?」
声だけで楽しそうなのが伝わる。男のセーラー服姿何か見て何が楽しいんだ。ボクも保科も女な興味は無いがセーラー服はボクらよりずっと小柄な学生達が着るから良いんだろ。こんなトレーニングで鍛えられまくったゴツイ体の男が来ても何の得にもならない。
いっそ脱いでしまおうか。
「あぁ。一応」
「そうですか、なら」
「お邪魔しますー」
着替えられたと返事をした瞬間間髪入れずにドアノブが回され鍵の無い寝室に保科が入ってくる。
「は!?」
「おお〜これはこれは」
普通着替えられたと言えば次は「じゃあ入ってええですか?」と聞くのが妥当だろう。保科は部屋に入るなりセーラー服姿の鳴海をまじまじと見つめる。
「やっぱ短めにして正解やったな」
やはりこのスカートの丈は保科の仕業らしい。先程から言っているが男の足なんか見て何になる。
「似合ってる」そう言った。
どくんと心臓が変に跳ねるのが分かる。好きな人に言われる言葉は何だって嬉しい。鳴海は目を逸らして照れくさそうにスカートの裾を弄っている。
「ほんなら鳴海さんも着替えられた事やし」
「セックスしよ」