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武道目線
俺は、昔からヒナの事が好きだった。
武道「はぁ…やっぱり好きだなぁ」
梨々「あっそ」
幼馴染の梨々はいつだって冷たい返事しか
返してこない。
でも、何故か色んな奴によく好かれていた。
それは悪い意味でも。
あれは小学校高学年の秋の寒い日だった。
武道「さっみぃ〜」
梨々「武ちゃんって馬鹿だよね。
何で寒くなるって分かってる癖に
半袖半ズボンな訳?脳みそないの?」
武道「うるせぇなぁ…
お前は俺の母ちゃんかよ」
梨々「違うなら自分で体温調節したら?」
武道「ぐぬぬ…」
いつもの帰り道。俺はいつも通り、梨々と一緒に帰っていた。
俺は夏と言わんばかりの黒の半袖とはえる灰色の半ズボン。 梨々はサラサラの髪を下ろして黒の薄手の長袖に灰色のワンピースを来ていた。
俺と梨々は日直の当番でたまたま帰りが遅くなってしまった。
梨々「てかさ、武ちゃん告んないの?」
武道「誰に?」
梨々「ひなさんに」
武道「ばっ、なんっ、しっ、」
梨々「見てたら分かるし」
武道「え?エスパー?」
梨々「馬鹿なの?」
そんな話をしていて途中で 梨々と分かれた。
でも、その時分かれなければよかったと後悔
するなんてその時の俺は知る由もなかった。
次の日
梨々「…」
武道「え…梨々?」
敦「武道どうした?って…紺野か?お前」
タクヤ「アッ君、武道〜…って
梨々ちゃん?何で男子の格好?」
梨々と分かれた次の日。
梨々は灰色ののパーカーに黒のジーンズ。
白く長い髪は綺麗に一つにまとめられていた。
しかし、頬には白い湿布腕には包帯が巻かれている。
梨々「…別に」
いつも明るい梨々がその日以降、あの笑顔に
戻る事はなかった。
中学に上がっても、梨々の見た目は変わらなかった。それどころか、悪化していく一方
だった。
山岸「俺、山岸!不良博士だ!よろしくな」
マコト「俺、マコト」
梨々「…」
武道「よろしく!俺、武道」
敦「敦だ、よろしく」
タクヤ「タクヤだ、よろしく」
山岸「そっちは?」
武道「あぁ、コイツは」
梨々「龍 」
武道「は⁈お前ッ」
梨々「何?」
その時の梨々の瞳は今でも目に焼きついている。濁った紅玉のような瞳。宝石のような色をしているのに、何処か寂しげなひとみだった。
武道「ッ…いや、何でもない」
タクヤ「武道? 」
俺は梨々の瞳が怖くてたまらなかった。
あの日、怖くても言えばよかったのだろうか。
何、名前偽ってんだ…って。
…言えない。言える訳がない。
…だって
〜帰り道〜
俺と龍は小学校と同じように並んで歩く。
武道「何で名前、嘘ついたんだよ。性別も」
梨々「そうすれば皆、俺を女扱いしなくなる
から」
武道「ッ…だからって!」
俺が言い返そうとすると、梨々は話を逸らした。
梨々「てか俺とじゃなくてヒナ先輩と帰れよ」
武道「…ヒナとは付き合ってねぇよ」
梨々「…意気地なし」
武道「他に好きな奴が出来たんだよ!」
梨々「へー…」
武道「信じてねぇな、この野郎」
梨々「ヒナ先輩に明日聞こーっと」
梨々はそう言っていきなり走り出す。
武道「ッ…てめッ、!」
咄嗟に梨々の腕を掴んだ時に俺はふと、思ったことが口から出ていた。
武道「腕、細っそ…女みてぇ…」
それは梨々を傷付ける言葉だった。