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17歳。進路の事で悩んでた時期だ。
涼太は俺の相談によく乗ってくれていた。
俺は、歌うのが好きだった。
自分で言うのもあれだが、まあまあ実力もあった。
よく歌ってたし、独学だけど勉強も多少なりともしてたからだ。
だから、俺は音楽の方へ行こうか迷っていた。
大学はお金も高いし、そっちの世界はそんなに甘くないことも分かっていた。
先生にも迷ってる事を言った。
もちろん、普通の大学に行く方を勧められた。
そんな時、背中を押してくれたのが涼太だった。
「なんで自分の人生なのに自分のやりたい事をやるか迷っちゃうの?」
「…だって、金も高いし、そんな甘い世界じゃない事も知ってる。」
「親にも涼太にも…迷惑かけたくないんだよ」
「…翔太の歌への気持ちは人の為に辞めれるくらいの物だったの?」
「え?」
「そんくらいの気持ちなら行かないままでいいんじゃない?」
「…ッ!」
「何言ってんだよ!そんな訳ないに決まってるだろ!」
「俺はそんな簡単な気持ちで音楽したいとか言ってねぇ!」
俺はついカッとなってしまった。
だって、涼太には分かって欲しかったから。
「じゃあ、翔太はどうしたいの?」
「それは…」
肯定して欲しかった。
涼太には、夢を諦めたらダメだって…
誰に何と言われようと…好きなようにしたら?って…
「……あ…」
そこで気付いた。
「俺…、音楽を…したい…ッ」
「…うん、知ってた」
「初めっからそれを言えばいいんだよ笑」
涼太は優しい笑みを浮かべてた。
涼太は気付いてたんだ。
俺が音楽をしたいことを。
それを、しっかり自分で気付かせてくれたんだ。
その時既に、涼太の為の曲を作っている最中だった。
その曲で有名になれたら、なんて事を考えていた。
「涼太。俺、涼太の為に作った曲で有名になるから」
「え?」
涼太は驚いた顔をしていた。
でも、すぐいつもの優しい顔に戻って、
「うーん、それは俺にだけ聴かせて?」
「2人だけの曲みたいでロマンチックじゃない?」
「なんだそれ笑」
「わかった!涼太にだけの曲を作るから待ってろよ!」
「うん、ずっと待っとくね」
そう、約束を交わした。
あれは18歳の頃だったか。
10月…11月だったかも。
そこら辺は覚えてない。
でも、あの出来事だけはしっかり覚えてる。
あの日、俺と涼太は河原に行っていた。
前日が雨だったからだろうか。
少し荒ぶっていた。
涼太と来る日間違えたかもね、なんて話しながら散歩をしていた時だ。
「うわっ!!」
「翔太っ!?!?」
俺が足を滑らしてしまった。
「ゴボッ!…ガハッ、ア゛」
「しょッ…た”ァ”、!ゴホッ」
涼太は俺を助けようとして一緒に落ちてしまった。
川は意外と深く、流れが激しかった。
とても、苦しくて、息が出来なくて。
でも、何よりも、涼太が死んでしまうんじゃないかということが1番怖かった。
涼太はしっかり俺の手を握っていた。
それだけでまだ、安心できた。
「しょッ…たぁ゛生きッてね…ッ」
「りょ゛た…ァッ?」
そこで俺は意識を手放した。
「お父さん!起きて!」
「んぁ?」
「お父さんお寝坊さん!」
きゃははという声に起こされる。
「お父さん、高校生の時からお歌上手だったの?」
「なんで?」
「お母さんが言ってた!」
「…まあな笑」
「お母さん、高校生の時からお父さんと出会ってたけど、すごい真剣に曲作ってたのよ」
「へ〜!どんな曲?」
「私も聞いたこと無いわね…」
「聴かせて頂戴よ」
「…それは友達との約束の曲だからダメ…笑」
「え〜、ケチー!」
「ケチー笑」
「ケチで結構でーす笑」
「じゃ、俺行ってくるわ」
「どこに〜?」
「…友達の所に」
「…〇〇ちゃんはお母さんと一緒にお散歩行こっか!」
「うん!」
「貴方、ゆっくりしてきていいからね?」
「…あぁ、ありがとう」