コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
【山本視点】
四人は俺を引き上げた。
「山本くん、なんかあったん?
無理せん方がええで。」
長谷川さんはそんなに疲れてなさそうな声で
心配してくれた。
俺は何も言えず下を向いて黙っていた。
「ん〜…北村くん、何があったの?」
すると疲れてる月岡さんが北村さんに聞いた。
きっと何も知らないが。
「わかんないです…
朝来たら屋上で誰かがって噂が……
気づいたら屋上に来てて、
山本がいて……」
まるで俺が死にそうだったみたいな言い方だ。
「俺…死のうとしたわけじゃ…」
すると王室の三人が口々に怒った
「死のうとしたと思うやろ!
てか落ちそうになってたんは変わらんし!」
「そんなあんな落ちそうやったのになんで…
んーも!死ぬかと!もう!」
「そもそも屋上にいる時点で
死ぬ気だったんじゃないの?
すごく心配したんだから!」
説教は嫌いじゃなかったけど
なんだか悲しかった。
「山本…無事ならまあ……」
ハァハァ言って、北村さんは笑った。
胸がキュッとした。
(お母さん………)
また泣くかと思った。
王室の三人は北村さんを見て、
1回息を吸ってから
また俺を見た。
「屋上おったら怒られるやろ。
下行こか。」
北村さんは無言で降りていった。
疑問を抱いていた。
ずっとモヤモヤした。
「どうしたんやろ?
怒っとんのかな。」
先に行く北村さんを見て
長谷川さんが言った。
「確かめたいことがあるんです。
後ろから見てて貰えないですか?」
三人は1度少し考えてから笑顔で承諾した。
「北村さん。 」
「………ん?」
北村さんは振り向いた。
でも、俺だと確認してまた前を見た。
「なんで俺を助けたんですか?」
北村さんは何かを思い出すように
斜め上を見て言って前へ進んだ。
「…昔、俺の親友が死のうとして
それ思い出したかな。」
分からなかった。
嫌いならしない。
だから本当は嫌いじゃないんだ。
自分にそう言い聞かせた。
嫌われるのは嫌だから。
「…でも俺の事嫌いなんでしょ?」
嫌いじゃない
そう、言ってくれると思った。
「……………………嫌いやな。 」
一瞬腹が立った。
「っじゃあ!!
なんで親友と重ねるんですか!!」
すると北村さんも怒った声になった。
「似てるから………嫌いやねん…」
「分かんないですよ!!!」
気づけばストレスをぶつけていた。
「親友は!死んだんですよね!?だったら!」
俺と重ねる理由ないじゃないですか。
「…山本。先入観。」
北村さんはもっと怒った顔になった。
「……せんにゅーかん?」
分からない。
口が止まった。
北村さんを追いかける足が止まった。
(何を言えば……)
「何があったんか話せよ!親友四人にさ!
私らならちゃんと聞くし!!」
長谷川さんが後ろから出てきた。
北村さんの足が止まった。
「そやで。僕らはもう友達やろ? 」
「うん!一人で抱えるのは良くないよ!」
北村さんは全部話してくれた。
自殺しようとした親友を助けたら
《おみゃあのせいで死ねんかった!!》
北村さんはただ耐えてきたんだ。
悪い人なんかじゃない。
俺なんかと違って
「北村さん!!
俺も北村さんみたいになれますか?」
北村さんは何も答えなかった。
家に帰る前月岡さんに出会った。
「、、、山本くん!」
「色々あるよね、
ストレスとか溜めすぎないようにね。」
月岡さんは、あの時「どうせ」と言った。
それが気になって聞いてしまった。
「あー、ね。
私、月岡財閥の娘だから
お金としか見られてなかったんだよね。
だからグループに入れられてただけだった。
それが嫌で、転校して、
奈緒ちゃん達に会ったんだ。
今も、どうせ一人になるんだって思ってるだけ。
自分語りしてごめんね。
山本くんも、何か話したいことある?」
俺は少し身体が震えた。
口も震えた。
震える手を震える手で押さえて
俺は言った。
「俺、両親がいないんです。」
月岡さんは真剣な顔になって
ちゃんと話を聞いてくれた。
「なんなんだお前は!」
俺の母親は父に暴力を受けていて、
「痛いっごめんなさっあぁっ 」
俺には妹がいて、
妹にはバレませんように、と
願うことしか出来なかったです。
ある日父は事故で死にました。
きっと事故じゃないけど
俺からすれば死んでくれて清々しました。
でも母親は違いました。
「あぁ、お金が無い、どうしよう、どうしよう」
父だけがお金を稼いでいた我が家は
生きていけなくなりました。
「お腹すいたよぉ。」
妹はまだ小さいのに
お腹いっぱい食べさせられませんでした。
「おにぃちゃん……」
妹は俺にねだることしか出来ませんでした。
ある日母親は育児ノイローゼというもので
亡くなりました。
俺たちは孤児院に引き取られ、
母親の写真一枚と
母親の上着一枚だけを持っていました。
それと母親は長い髪の男が好きなので、。
そこでは
お腹いっぱい食べられたので
妹が死ぬことはありませんでした。
俺たちは今、二人暮ししてます。
月岡さんは真剣な顔のまま
涙を流していた。
「うん、頑張った。頑張ったね。
だから髪が長かったんだよね。」
それ以上は何も言わなかった。
言えなかった。
次の日、見知らぬ男が
俺のロケットペンダントを壊した。
「やめろよ!おい、離せ!返せ!」
俺は叫ぶことしか出来なかった。
「北村の指示だっつの。」
俺はその言葉を聞いて
絶望した。
そして北村さんの宝物の
親友の写真を破った。