そんなこんなで、来日して初めて迎える夜。
一つのベッドに、俺と菊、二人で横になる。菊は既に夢の住人と化し、静かな寝息を立てていた。
俺と菊は、これでも10年以上の付き合いだ。日本と韓国、住む場所は遠く離れていても、菊は手紙やメールで、いつも俺のことを気にかけてくれていた。それは俺が芸能界入りし、多忙になっても変わらなかった。
加えて、俺のペン第一号として、デビューの頃から俺のことをずっとずっと応援してくれていた。ファンミーティングで俺の姿を目にする度に、「格好良いです」「私のチングは世界一ですね」と声を掛けてくれて。
その時に、必ず浮かべる表情たるや──頬を紅く染めて、目に喜びを滲ませて。友達だからという義理以上に、本当に俺そのものに惚れ込んでいる、そんな顔だった。元の綺麗な顔立ちも相まって、それはとてもとても、美しくて。
「…………」
俺はお前に助けられてばっかりだな、菊。初めて出会った時から今日まで。出会った時は俺に色んなことを教えてくれて、アイドルになった時は本気で俺を推してくれて。そして今回の件でも、行き場のない俺を受け入れてくれて。
「……いつか、恩返ししてやるんだぜ」
その時はチング以上の愛を、お前に。
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