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その執事ってコンちゃんなのかな.......?
うわぁ…意味深だぁ…
彼らがいなくなった日常には色が無くなった。
モノクロに映る世界にただ一人、置いて行かれたような喪失感だけが僕を縛る。
刑務所から出た時にはもう教育期間なんて物は無くなり僕は成人になっていた。
幸いにも他の人から嫌われていた事もあってか、僕が成人式に出席しようがしまいが、深く気にしていないようだった。
いや、それ以前に招待されていないことから僕は「いない存在」なのだと思った。
僕以外誰も他に住んでいない家に帰ると、そこには見知らぬ人たちがいた。
そんな現象に驚かない人なんているのだろうか。
「らっだぁ坊ちゃん」
その中でも、アニメや漫画の中に出てくるようないわゆる「執事」の格好をした老人が話しかけてくる。
夢のような光景をこの時、意外とすんなりと受け入れられた自分を褒めて欲しい。
「まずは話を聞かせて?」
大量にいる黒のスーツを着こなした男性たちがいる中、僕は執事さんの物語を聞いた。
彼は何故か数年前からここに配属され、依頼通りの仕事をこなして来たらしい。
なんでも、依頼内容は「掃除」だったらしいが。
「家主が帰ってこなかった点についてなにも思わなかったの?誰も帰って来ない家を掃除して、意味があるかとか思わなかったの?」
僕は考えた言葉を全て彼に放った。
彼は困ったような表情をしたものの、一言だけ僕に返答した。
「仕事なので」
後々連絡が来て彼が正式に僕の「補佐」をする事になったその日から、僕は依頼をこなすようになった。
「依頼内容は極秘?」
布をかけた顔を傾ける。
「流石コンちゃん。痛いところを突くね」
「いやぁ〜それほどでもあるね」
真顔で言う彼を置いて話を続ける。
「依頼内容は…」
【暗殺】
場の空気が一瞬凍りつく。
やっぱり無理だったか、そう思った瞬間、空気を溶かす口が開く。
「かっこいいね…」
顎に手を当てた赤毛の彼が言う。
一番真面目で完璧な彼が真剣な顔をして冗談を言っているとは到底思えない。
「……はい?」
「だってらっだぁのした事でしょ?」
顎から手を離し、彼が言葉を続ける。
「ならそれは相手にどんな理由があれ「正しい」事なんだと俺は思うんだけど…」
また、真剣な顔で首を傾ける。
「違うかな?」
どれほど人を信頼すれば、判断が「殺人」になっても正しいのだろうか。
否、僕は知らない。
「俺もそう思う〜」
語尾が伸びる黄色い彼。
また新しい煙草に火を付ける。
「んで?」
吸って…吐いて。
「そんなんが、お前の隠し事かぁ〜?」
そんなの…
「……うっせぇやい」
俺にとって、
そんなことじゃ無いんだよ。
「…痛いなぁ……」